屋外に暮らす猫たち、暑い中で懸命に生きている…
今年の夏もすこぶる暑い!
おそらく、一滴も汗を垂らさずに暮らしているという方は、かなり少数派ではないだろうか。
筆者は日課にしているウォーキングを泣く泣くこなしているが、本当に嫌になるほど暑いし、何度も泣きながら座り込みたくなった。
でも、座り込んだところでアスファルトが激アツなのでそうもいかない。
犬を飼っている方の場合は、その犬の散歩をさせる時間帯にもかなり気を遣っていることだろう。
早朝か、夕方以降の散歩でなければ愛犬の肉球がやけどを負ってしまう。
ところで、こういう猛暑下でも涼しい家を持たない動物たちが日本各地に暮らしている。
それが、飼い主のない猫たちだ。
野良猫、地域猫たちは原則、この真夏の時期も暑さをどうにかして耐えて生き延びることに必死になっている。
そんな彼らは、どういう工夫をして暑さを凌いでいるのかということを、今回は紹介していきたい。
都市部の野良猫は基本、物陰に避難する!
都市部や、緑の少ない整備された住宅地の付近にも猫は普通に生息している。
彼らは暑い日も寒い日も、人の手助けを受けることができないまま、必死で生きているわけだが、緑が少ない場所であっても日陰はある。
なので本当に、日中の気温が急上昇している時間帯は、せめて直射日光だけでも避けるべく、日陰・物陰に身を潜めているものだ。
あるいはちょっとした植え込みがあると、その中に入って休んでいることもある。
ただし蚊も多いので痒みとも戦う必要があり、そもそも物陰程度ではさほど涼しいわけでもないので、かなり苦労を強いられているのが現実となる。
都市に暮らす動物全般に言えることだけど、本当に夏の暑さを避けることは難しい。
人と同じく熱中症リスクもついて回るし、野良猫の場合は食事をまともに摂ることもままならない。
いろんな意味で、都市部に暮らす猫というのは困難と隣合わせと言える……。
自然豊かな土地では、日中は木陰でじっとしている!
一方で自然がある程度豊かな地域に住む野良猫はどうかと言うと、こちらも基本的にはしんどい生活を強いられていることに違いはない。
食べ物だって毎日ちゃんと摂れているかも怪しいし、蚊もいるしノミ・ダニは都市部よりもはるかに多いから、こういったものに体を咬まれている猫がほとんど。
また、イノシシなどと生活領域が被っていることもあり、こういう場合は猫も喧嘩をしたり、追いかけ回されたりして災難も多い。
もっとも、イノシシはれっきとした在来種で、猫はもともと日本にはいなかった外来種。イノシシからすると猫も厄介な存在なんだけど……。
ただし、危険も多いこういった地域だが、猛暑下では木々に覆われた場所に入ることで、かなり涼しい思いをすることは可能。
皆さんも真夏に、木陰に入ったところ非常に涼しく感じたという経験があるはずだが、本当に木々に覆われた場所では体感温度も低くなる。
だからそういったところに入って暑さをやり過ごす猫というのは多い。
中には、木の上に登って、枝で休息をとっている猫もいるほど。
直射日光を防いでくれる木々を、効果的に活用して暑気逃れをしているのである。
中には個人の土地で涼もうとする猫もいるけど…
猫はしばしば、涼を求めて人の暮らす家々に出入りすることがある。
時にはエアコンの効いた家に侵入し、そのまま居座るような堂々とした猫もいるほど。
ただ、これも可愛いんだけどノミやダニを媒介している可能性があるので、本来は野良猫を家に上げることはオススメできない。
どうしても部屋で涼んでもらいたいなら、いっそ飼い猫にしてあげるべきで、そうすることが猫のためにもなるだろう。
しかも猫を飼うと、毎日とても楽しい!
ただ、時には猫嫌いの人が住む家に入り込もうとして、追いかけられたり、攻撃をされるという猫もいる。
みんながみんな猫好きというわけではないので、これは仕方がないところ。
涼しい場所を求めて人家に近づくことが、必ずしも猫の成功体験に結びつくことではない……。
結論!猫は本来、屋外での生活には完全に適応できていない!
日本だけでなく、世界的に野良猫は多く生息しているし、その野良猫を拾って飼い猫にする人も多い。
つくづく思うが、拾われる猫というのは本当に運がいい。
暑さ、寒さと無縁でご飯も清潔な水も手に入り、蚊に食われることもなく名前までつけてもらえるのだから。
野良猫はそういう手厚い扱いを受けることができない。
そして夏の暑さで体力を奪われて死んでしまう個体もいるし、冬は冬で寒さに耐えきれず命を落とす猫もいる。
猫は日本の夏の猛暑、冬の厳寒に本来はちゃんと対応できていない動物なのだ。
今年の夏も本当に暑い。もしも屋外で猫を見かけたら、彼らはきっと暑さで体力を極限まですり減らされているだろうから、極力構おうとせず、そっとしてあげるのがいいかもしれない。
もちろん、ちゃんと最後まで面倒が見られるのなら、そんな猫を家に連れ帰って大事にするのもいい。
文/松本ミゾレ
編集/inox.