最近ではプロジェクター自体が小型化し、手軽にホームシアターを楽しめるようになった。
しかしそれよりももっと手軽に、大画面での映画視聴を楽しめるとしたら?
今のプロジェクターがどんなに小型軽量だったとしても、さすがにARグラスには敵わないだろう。
クラウドファンディングGREENFUNDINGに登場した『GRAWOOW』は、172インチディスプレイをいつでもどこでも楽しめるガジェット……と書けばいいだろうか。
172インチを身に着ける
筆者は国家公務員の息子である。親父が刑務官だったのだ。
従って、中学校を卒業する頃まで法務省管轄の官舎に住んでいた。
もっとも、官舎とは実際には何の変哲もない団地である。六畳間×2と三畳間×1の狭い部屋に澤田家は住んでいた。
そのような部屋に広大な画面のテレビなど置けるはずもなく、「自宅で大画面を堪能する」などということは30代になるまで経験したことがなかった。
ガジェットライターという仕事を始めてから、ようやくホームシアターというものを体験できるようになったのだ。
そして時代は進化し続けている。自室がどんなに狭くとも、或いは車の助手席に座っていようとも、『GRAWOOW』を使えば映画館のような具合の動画視聴を楽しむことができる。
ケーブルをPC、スマホに接続すれば、そこはもう映画館。やや宣伝文句のような表現になってしまうが、本当に映画館っぽい光景が目の前に広がるのだから仕方ない。
画面サイズは6mの距離から172インチのディスプレイを眺めるのと同等で、フルHDに対応。実際に視聴してみると、確かに画質の粗が殆ど見受けられない。自分の目を疑ってしまうほど綺麗な映像だ。
日米の時代劇を堪能する
とりあえず筆者は、Amazon Prime Videoで『大岡越前』を視聴してみた。
子供の頃は夕方4時から始まるTBS時代劇の再放送ばかりを観ていた筆者。そんな少年だったから、クラスでは明らかに浮いていた。
他の子はトレンディドラマの話題で盛り上がっていた中、ひとりだけ「村上の源さんかっこいい!」と言っていたわけだ。
それはさておき、『GRAWOOW』で昔の時代劇を見ると「意外な明るさ」に気づかされる。
光の差し具合、衣装の発色、そして意外な奥行き。スマホの小さい画面では気づきにくい点だ。
もちろんこの映像美は、デジタルリマスタリングの賜物でもある。が、だからこそ大きな画面で観ないともったいない。
次に視聴したのは、アメリカのドラマ『大草原の小さな家』。
この作品は、日本の時代劇以上に「ディスプレイの性能」が試される。
というのも、昔の米ドラマはハイクオリティのフィルムを使っていたりするからだ。これが果たして70年代後半に制作されたテレビドラマなのかと疑ってしまうほど、優美な映像が繰り広げられる。
『GRAWOOW』なら、雄大な自然やマイケル・ランドンの凛々しい顔も余すところなく映し出してくれる。
寝ながら映画を観たっていいじゃないか!
ARグラスは「どのような姿勢にも対応できる」という利点も持っている。
何もきっちり座って真正面を向く必要はない。その気になれば、床にゴロンと寝転がって動画を視聴することもできる。
「寝ながら動画視聴など不作法だ!」という声もあるかもしれないが、現代人から支持されるガジェットとは極端な話「不作法を想定したもの」である。
不作法で結構ではないか。どうせ誰も自分の姿を見ていないのだ。
裸で寝ていようが、鼻をほじっていようが、放屁を連発しようが、自室にいる限りは好き勝手できる。そしてその好き勝手に丈を合わせてくれるのが『GRAWOOW』だ。
金曜日の夜、『GRAWOOW』を使ってひとりで映画を視聴し、その最中に寝落ちしてしまうのもいいだろう。
また、『GRAWOOW』にはデュアル3Dサラウンドスピーカーというものが搭載されている。
この製品を使用した際に流れる音声は、まるで聴覚に直接働きかけるかのような迫力を含んでいる
。こればかりは文章では表現できかねるが、『GRAWOOW』は音響面でも妥協のないパフォーマンスを発揮してくれるということだけは記述しておきたい。
こまめな休憩を
『GRAWOOW』はGREENFUNDINGにて5万8,156円(製品1台・8月5日現在)からの出資を募っている。これよりも安い出資枠は、既に満員御礼。
ここで注意点。『GRAWOOW』が映画館顔負けの大迫力画面を生み出すことはその通りだが、これで長時間動画を視聴するとさすがに目が疲れてくる。
2時間の映画を1本観終わった後に『GRAWOOW』を外したら、若干ながら目のピントが乱れていた。ここはしばしの休憩を取りたいところ。
それにさえ気をつければ、自分の好きな時に自分の好きな動画を172インチ画面で楽しむことができる。
【参考】
まるで現実の景色に透過した172インチ大画面のポータブル映画館! iPhone/Android両用かつ69gの超軽量ARグラス「GRAWOOW」-GREENFUNDING
取材・文/澤田真一