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「Nothing Phone(1)」と「Google Pixel 6a」真っ二つに割れた最新スマホの評価

2022.08.08

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、日本市場に初参入となる「Nothing Technology」のスマートフォンや、新登場の「Google Pixel 6a」について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

ブランド初のスマートフォン、「Nothing Phone (1)」の評価は?

房野氏:イギリスのデバイスメーカー「Nothing Technology」が、スマートフォンを初開発、日本でも8月初旬に発売です。どのような印象をお持ちでしょうか。

「Nothing Phone (1)」

房野氏

石野氏:正直、背面が光る以外は普通ですよね(笑)

石野氏

石川氏:結局そこだよね(笑)

石川氏

石野氏:初めてのスマートフォンとしては良くできていると思いますし、不満があるかといわれると、全然そんなことはないです。ただ、ちょっと神格化されすぎているというか、期待値を上げすぎた気もする。意識高すぎる感じがどうしてもしてしまいます。

石川氏:新規参入メーカーがみんな同じことをいっているのが、もうお腹いっぱいかなとも思いました。確かに、今あるスマートフォンに飽きているのもわかるし、新しいスマートフォンを作りたいと思うメーカーが、ソニーに憧れを抱くのもわかる。そこで、実際に作ってみたというのもわかるけど、それみんな言ってるよね? という感想を抱いてしまう。メディアの悪い癖というか、素直に見られなくなっている自分がいるのが、少し申し訳ないです(笑)

石野氏:発表会を聞いていて、少し日本市場を軽んじているのでは? と気になりましたね。ソニーと任天堂の名前を出しとけばいいと思っている節があるというか……。

法林氏:それは少し感じたよね。ソニーと任天堂の名前を出して、日本ユーザーに媚びようとした印象はあるし、欧米人にも評価されるであろうブランド名を出すことで、「うちはアジア系のメーカーではない」とアピールしている気がする。

法林氏

石野氏:セルフブランディング大好きです、みたいな匂いはしましたね。

房野氏:新規参入メーカーということもあり、「BALMUDA Phone」に似ていると報道されることも多かったですね。

「BALMUDA Phone」

法林氏:バルミューダの話が出てくるのは、既存の端末とは違うことをやってみたいという発想が、バルミューダのアプローチと重なる部分もあったから。とはいえ、Nothing Phone (1)とBALMUDA Phoneは全然アプローチが違いますね。

 ただ、今の日本のユーザーには、興味を持つ人はいてもわざわざ購入する精神的な余裕があるのかというと、少し厳しい。コロナ禍など、いろいろな状況を加味すると、新しいものに手を出す余裕はほとんどない。日本のユーザーに寄り添った端末といっているけど、実機を触ってみるとそうでもなかったりする。実際に試して思ったのは、独自に開発されている通知音が気になる。ちょっと耳障りな印象です。

石野氏:あと、日本市場を甘く見ている感じが出ているのが、独自に開発した、ドットのフォントが日本語に対応していない点。「グリフインターフェース」という表示にも、変な改行がある。「ス」だけ改行しちゃうこの字組はだめだと思う。

石川氏:長体かけるべきだよね。

法林氏:長体って今の人はわからないんじゃない?(笑)

房野氏:文字の横幅を狭くすることですね。

石野氏:そう。長体をかけるか字間を詰めるか、文字の級数(大きさ)を下げるかして、一行に収めてほしかった。ローカライズの甘さは感じるし、おサイフケータイに関する質問をした時も、いまいちわかっていない印象でした。

 日本に参入した理由も、2021年発売の「Nothing Ear(完全ワイヤレスイヤホン)」が売れたし、日本からのアクセスが世界で5番目に多かったからとしていますが、5番目って人口や所得水準を考えるとそこまで多くないですよね(笑)

法林氏:日本は、新しいものを好きな層がいるのは確かなので、その層の反響を見て、今回の製品を投入してきたのはわかる。ただ、世界を代表する、サムスンやシャオミのようなメーカーが、それなりの戦力を割いて日本に挑もうとしているけれど、それでも思うようにはビジネスができていない。「反響があって、投入したら、売れる」なんていう簡単な話ではない。日本法人を起こして、スタッフを揃えてからじゃないかな。

石野氏:規模をどうするのかという話はあると思います。最先端のガジェットを買う人たちが日本に多いのは確かですし、超小型スマートフォン「Unihertz Atom」も、販売台数の半分が日本だから、FeliCaにも対応したという話もある。日本にコア層が多いのは確かだけど、Nothing Phone (1)に関していえば、コアな人があまり注目していない印象です。

「Unihertz Atom」

法林氏:製品を見た瞬間は「おぉっ!」ってなるし、背面が光っているのを見ても「おぉっ!」ってなるけど、実際に触ると、テンションが下がるというか、そこまで面白くない気がしてしまう。

石川氏:今スマートフォンメーカーとして生き残っている会社の端末を見ると、センサーとかAIとか、すごいところで勝負している。単に背面が光るという話だけで、わくわく感を提供するというのは、難しいところがあります。スマートフォンを作ること自体はできると思いますが、ユーザーの目も肥えてきている中で、人気メーカーに立ち向かっていくのは、厳しい部分もありますよね。

法林氏:我々もこの業界に長くいるからわかるけど、日本は、ヨーロッパやアメリカが電話とテキストだけの時代に「iモード」や「EZweb」をやっていたり、ケータイでできる可能性をすごく広げていて、コンテンツやサービスに対しての興味関心が強い。そんな中で、背面が光るといわれても首をかしげる人は多いはずです。

房野氏:背面が光るというデザインは、「フィーチャーフォンでさんざん見たな」とも思いましたね。

法林氏:そうなんだよね。スケルトンボディなり、光るデザインなりは、経験している人がいる。BALMUDA Phoneが独自アプリで特徴を出したり、Nothing Phone (1)がデザインで個性を主張したのもわかるけど、それだけでは売れないよね。

Nothing Phone (1)

石川氏:ただ、我々は経験があるからいえるけど、今の若い人たちにとっては、目新しく映るかもしれませんね。

石野氏:アイディアとして、背面を光らせて、通知がわかるようにするというのは悪くないけど、それだけを推されるのも違うんですよね。

法林氏:来年になったら、各メーカーが着信でLEDを光らせているかも。先日の「POCO F4 GT」も、通知が来るとカメラユニットが光るデザインになっているので、今後流行っていくのかもしれません。

「POCO F4 GT」

石野氏:流行る可能性はあるし、結構簡単にマネできてしまいますよね。

法林氏:もう、「ナイトライダー」に出ていた「ナイト2000」みたいに、「おはよう。今日の予定は……」みたいな光り方をしているかもよ(笑)

石野氏:シャープの「エモパー」みたいですね(笑)

房野氏:そういわれてみれば、エモパーも光りますね(笑)

ミドルレンジのスマートフォン「Google Pixel 6a」は今が買い!?

石野氏:Nothing Phone (1)と同時期に発表された、「Google Pixel 6a」を見ると、Nothing Phone (1)は表面的な差別化に走ってしまった気がします。

「Google Pixel 6a」

法林氏:Pixel 6aは、極端なことこそしていないけど、5万3900円(Google Store価格)というお値段も含めて、「これでいい」と思うスマートフォンですね

石野氏:搭載されたチップセット「Google Tensor」によるサクサクした動作感といい、良くできています。

石川氏:Pixel 6aの完成度がかなり高くて、もはや「Google Pixel 6」や「Google Pixel 6 Pro」はいらなくないか? と思ってしまいますね。

法林氏:まあ、Pixel 6とPixel 6 Proがあるからこその、Pixel 6aではあるからね。あと、アップルのiPhoneは秋にまとめて出るけど、Pixelは春と秋に分けて出すという意義もある。これはこれで悪くないと思いますよ。

石野氏:Pixel 6aに関しては、iPhoneでいう“SE”みたいな存在ですけれどね。SEをもう少し良くしたというか、「iPhone 13の筐体に近づけたiPhone SE」みたいなイメージです。この出し方ができるのは、半導体を自社設計しているメーカーの強みというか、GAFAならではですよね。会社のパワーで戦っているというか(笑)

石川氏:販売価格に関しては、円安になる前に取り決められたものだと思います。

法林氏:そうですね。本国と日本の間でいつ決済を切っているかという話です。

石川氏:キャリアとの契約もありますからね。なので、もしかしたら今後価格改定があるかもしれません。買うなら今だと思います。

石野氏:正直、この価格で「安い」という評判をもらっちゃうと、あとは損を飲むしかないんじゃないですかね。

法林氏:去年、Google Tensorが初めて出てきた時のベンチマークスコアは、当時のSnapdragonの上位モデルに近い数値が出ていました。Pixel 6aが同じチップを積んで、5万3900円で発売されたことで、20万円近いハイエンド端末の存在意義はどうなのかなと思ってしまう。何でスマートフォンの価格が決まっているのかを、考えないといけません。実際にPixel 6aを触っていてもストレスを感じないし、これくらい動けばいいなと思います。

石野氏:サクサク動きますよね。グーグルの物づくりがひと皮むけた感じがします。

法林氏:あと、サイズ的にPixel 6 Proが大きくて、Pixel 6aがコンパクトというバランスもいいです。Pixel 6aは程よいサイズ感で、扱いやすい。

石野氏:軽いですよね。

石川氏:このサイズがいいですよね。

石野氏:あと、去年の「Google Pixel 5a」までは、あからさまに安い感じが出ていたというか、コストを抑えるために1色展開だったりと、あまりやる気を感じられない要素がありましたが、今回は上位モデルとデザインを揃えてきているし、カメラもダウングレードしているとはいえ、その下げ幅よりも、AIの補正力が強力なので、あまり違いがわからない。

石川氏:超解像度ズームも、かなりきれいに撮れていい感じですよ。

法林氏:よくできているよね。もう少し評価されてほしい端末です。これだけのスペックを揃えたら、10万円くらいの価格でもおかしくないのに、5万円台に収まっているのはすごい。売れると思いますよ。

石川氏:ただ、カメラ機能として紹介されている「消しゴムマジック」機能は、カメラの機能ではないだろうと思いました(笑)

法林氏:とはいえ、消しゴムマジックを人に見せた時のインパクトは、絶大だよね。

石川氏:そうなんですよ。子供が「すごい! 消えた!」って大喜びしていました(笑)

石野氏:これをオンデバイスでやっているというのがすごいですよね。

法林氏:そうだね。5年位前までは、重いものは一度クラウドに回して、編集後にもう一度、端末に持ってくるという流れだったのに、デバイス上でこんなに処理できるようになった。

石川氏:しかもそれを、クラウドの会社でもあるグーグルがやるという驚きもあります。それでいえば、アップルも含めて、チップでガリガリAIを回しましょうという感じになってきている。クアルコムもやっているけど、そこはOSといかに組み合わせるのかという話にもなるので、ただボディが光るだけだと厳しいですよ。

石野氏:iOS 16の「切り抜き」機能も、実際に使うとすごいですよ。髪の毛なども細かく切り抜けるので、これを端末上でできるのかと感動します。

石川氏:しかもメッセージに添付できるからね。今後面白くなっていくと思います。

法林氏:これはよくする話だけど、かつてパソコン業界で言われた「CPUで買うものを決める」のではなくて、「できること」で決めるべきだと改めて思いました。Google Tensor搭載というのは、あくまで裏付けでしかなくて、それで何ができるのかという話です。

石野氏:Pixel 6aに関しては、Google Tensorを搭載して、その理由をソフトウエアで説明できているのが、グーグルがしっかりできているところですね。

石川氏:ただ、これはGoogle Tensorだからできることなのか、という点をはっきりしてもらいたい。似たような機能がSnapdragonでもできるとなると、じゃあGoogle Tensorって何? という話になってしまいます。

法林氏:もちろん、秋にあるSnapdragonの発表会で、似たような機能が出てくる可能性はある。ただ、去年の段階で消しゴムマジックのような機能ができていて、それを半年後に、5万円台の端末に搭載したというのは、純粋にすごいです。あとはもう好みの世界だけど、デザインがこれでいいのかという話はある。僕は気に入っているけど、「なんだ、この帯は」と思う人もそれなりにいます。

石川氏:あと、ドコモが使っている周波数帯の「n79」に非対応なので、ドコモからは出ないですね。

石野氏:どっちが先なのかという話にもなりますよね。n79に対応するなら出すよとドコモがいうのか、ドコモから出すならn79に対応するよとグーグルがいうのか。

石川氏:グーグルはお人好しというか、キャリアに売ってもらうためにもう少し策を練ってもいいのかなと思います。

石野氏:ただ、今回に関してはauが結構売る気満々な印象もありますよ。価格も最安ですし、アップグレードプログラムも使えます。かつてのフィーチャーフォンというか、3万円くらい出せば機種変更できるようになっていますね。ソフトバンクも発売初日から割引を積んできましたが……。

法林氏:そうだね。だから、5Gサービスが始まったころに端末を買った人とか、そのまま4G端末を使い続けている人にとっては、良い選択肢になると思います。

……続く!

次回は、アップル製品の値上げなど、海外ブランドや国内メーカーへの円安の影響について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦


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