レモン1個分のビタミンCってどれくらい?
スーパーやコンビニでよく見かける「レモン1個分のビタミンC」の表示。これは果たして多いのか、少ないのか、改めて考えたことはありますか?
というわけで今回は、よく見かけるのに意外と知らない “量” についての真実をご紹介します!
その1 レモン1個分のビタミンC
<レモン1個分のビタミンC=20mg>
レモンの個数でビタミンC含有量を表示する場合、全国清涼飲料工業会と日本果汁協会 両名の規定では上記の基準値が定められています。
2008年4月まで交付されていた農林水産省の「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」を踏襲したもので、現在でも様々な商品に広く使われている一般的な基準値です。
しかし面白いことに、本物のレモン1個には20mgよりもっと多くのビタミンCが含まれているのです!
実際に文部科学省の食品成分データベースで確認すると、生のレモン100gあたりに含まれるビタミンC含有量は「100mg」とのこと。一般的なレモン1個の重さが大体100~160g程度なので、生のレモン1個にはレモン5~8個分のビタミンCが入っているといえてしまうのです。
というのも、前述のビタミンC規定量は果汁のみを目安としたもので、後述のビタミンC含有量は果肉を含めたレモン丸ごとを目安としたものだから。果汁のみか、果肉まで含めるかということでこのようなギャップが生まれるんですね。
ちなみに厚生労働省が定めるビタミンCの推奨摂取量は<成人男性90mg/1日><成人女性75mg/1日>(非喫煙者の場合)なので、「レモン1個分のビタミンC入り!」と記載されているドリンクであれば大体4~5本飲まなければなりません。
「レモン1個分のビタミンC」と書いてあるとなんだかものすごくたくさんのビタミンCが摂れるような気がしてしまいますが、1日の必要量から考えると十分とはいえないんですね。
参照:
「レモン果実1個当たりのビタミンC量」表示ガイドライン| 全清飲
厚生労働省eJIM | ビタミンC | 「統合医療」情報発信サイト
その2 レタス1個分の食物繊維
<レタス1個分の食物繊維=4.4g> ※レタス1個あたり400gとした場合
ビタミンCと同じく使われることが多い「レタス1個分の食物繊維」ですが、実は各社共通の規定があるわけではありません。
大抵のメーカーでは「※レタス1個分を〇gとした場合」などの注釈を入れ、食品成分データベースの数値(レタス100gあたりの食物繊維含有量=1.1g)から計算した基準に則って表示しています。
平均的なサイズのレタスは1個300~450g前後なので、レタス1個分の食物繊維はおよそ3.3~4.95g程度となりますが、メーカーによってはレタス1個分を250gなどと設定していることもあるため一概にはいえません。
そもそも、レタスに含まれる食物繊維量はそこまで多くないのです。
【身近な野菜の食物繊維量】 ※全て100gあたり、生の場合の数値
- レタス:1.1g
- きゅうり:1.1g
- キャベツ:1.8g
- ほうれん草(通年平均):2.8g
- にんじん(皮つき):2.8g
- ごぼう:5.7g
- じゃがいも(皮つき):9.8g
この通り、身近な野菜と比べても食物繊維が多いとはいえない部類なんですね。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18歳~64歳の成人男性で1日あたり21g以上、同じく成人女性で18g以上の食物繊維を摂るのが望ましいとされています。
ということは、一般的なサイズのレタスで1日分の食物繊維を摂ろうすると、大体4~5個分くらいの量が必要になるというわけです。
参照:
その3 1日分の野菜
<1日分の目標野菜摂取量=350g以上>
1日に必要な野菜量=350g以上という数値は、生活習慣病などを予防し、健康的な生活を維持するために国が掲げている目標です。そのため、一般的に「1日分の野菜が摂れる!」などと表記してある商品はこの数値をベースにしていることが多いです。
350gの野菜が大体どれくらいなのかというと、「大人が両手を広げた上に生野菜をこんもり乗せて3杯分の量」といわれています。1日3食とすると、1回の食事で大体両手一杯くらいの生野菜を食べることになります。…そう考えるとけっこうな量ですよね。
ちなみに、茹でた野菜であれば1日片手3杯程度です。きのこや豆類、海藻類などを含めた小鉢に換算すると大体1日5~6皿程度食べるのが良いといわれているので、1食で1~2皿の野菜の小鉢を食べることを目標にすると良さそうです。
さらに理想的なのは、同じ野菜をたくさん食べるのではなく色んな種類の野菜を食べること。とはいえ違う種類の小鉢を5皿も6皿も作るのは大変だと思うので、野菜ジュースやスムージーなどを上手く組み合わせるのが良いかもしれませんね。
参照:
野菜、食べていますか? | e-ヘルスネット(厚生労働省)
野菜を1日350グラム食べよう!/青森市
その4 乾燥ひじきに含まれる鉄分量
<乾燥ひじきに含まれる鉄分量=6.2g> ※100gあたり、ステンレス釜で下処理を行った場合
かつて、ひじきが「鉄分の王様」と呼ばれていたことをご存じでしょうか?
以前は「鉄分を摂りたければひじき!」が一般常識であり、筆者が学生の頃は貧血気味だというと「ひじきを食べなさい」とよく大人にいわれたものです。
しかし実際のところ、ひじきは鉄分がそれほど多い食物ではありません。それなのになぜそんな国民的勘違いが生まれたかというと、乾燥ひじきの下処理のやり方に理由があります。
乾燥ひじきは収穫した海藻を煮た後に乾燥することで作られますが、この製造過程に鉄釜が使用されていたのです。乾燥ひじきの鉄分量が多く検出されていたのはひじき自体に含まれていたわけではなく、鉄鍋から染み出た鉄分をひじきが吸収していただけだったんですね。
近年は下処理にステンレス製の釜が使われるようになったために発覚したのですが、この事実を受けた文部科学省は2015年に日本食品標準成分表を改訂しています。
<乾燥ひじきに含まれる鉄分量=58.0g> ※100gあたり、鉄鍋で下処理を行った場合
現在のデータベースには(ステンレス釜)と(鉄釜)両方の成分含有量が公表されており、下処理を鉄釜で行った乾燥ひじきはステンレス釜に比べて約9倍の鉄分が含まれていることがわかります。
意外と知らない、アレの量
日常的に見かけるけど、改めて考えると意外と知らないアレの量。「アレが〇個分入っているなら健康的だろう」という心理をついたキャッチコピーも多いので気をつけましょう。実際の量を知っておくと冷静に判断できるので、商品選びの参考にしてみてください。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.