日本特有の仏教行事である『お彼岸』の日程はいつなのでしょうか?2022年秋のお彼岸と帰省やお墓参りにちょうどよい日程を、お彼岸の意味と併せて紹介します。予定が合わない場合にどうすればよいのかも押さえて計画を立てましょう。
お墓参りをする「お彼岸」とは
お彼岸は、先祖や故人を供養し感謝を捧げる期間です。お彼岸には『春彼岸』と『秋彼岸』があり、それぞれ『春分の日』『秋分の日』を中日とした前後3日間と定義されています。
先祖を供養し感謝する期間
お彼岸は、仏教の『到彼岸(とうひがん)』からきたものです。到彼岸は仏語『波羅蜜(はらみつ)』の訳で、仏教における修行期間を指します。
仏教の宗派の一つである浄土教では『煩悩が多いこの世(此岸)から悟りの世界(彼岸)へ行き着けば、安らかな浄土が待っている』と信じられていました。
お彼岸には春彼岸と秋彼岸の二つがあります。どちらも先祖を供養し、感謝を捧げる期間です。春彼岸の中日である春分の日には『生物を慈しみ、自然をたたえる』、秋彼岸の中日である秋分の日には『先祖を敬い、亡くなった人々を偲ぶ』という意味があります。
夏の「お盆」との違い
お盆とは、旧暦の7月15日(現在は8月中旬)前後に行われる行事です。古代中国から続く儒教と日本の祖先崇拝が組み合わさってできたとされています。
お盆もお彼岸も先祖に感謝を捧げ、お墓参りや法要などの供養をする風習に変わりはありません。二つを分ける大きな違いは『先祖の魂を迎える方法』です。
自宅に迎え入れて供養する行事がお盆であり、法要やお墓参りを通して先祖へ感謝を伝える行事がお彼岸です。なお、お盆は『迎え火』と『送り火』と呼ばれる儀式によって、先祖のお迎え・送り出しをします。
2022年度版 秋のお彼岸のスケジュール
お彼岸の時期は地球と太陽の動きに基づいて計算されています。秋のお彼岸について、2022年の具体的なスケジュールも確認してみましょう。日程が分かれば、帰省やお墓参りの予定を立てやすくなるはずです。
9月20日から26日の7日間
お彼岸の時期は、国立天文台の計算によって定められています。年ごとに日程に違いがあり、正式に決定するのは『前年の2月1日』です。お彼岸の時期と併せて、国民の祝日である春分・秋分の日も発表されます。
2022年のスケジュールは以下の通りです。
期間 |
9月20日(火)から9月26日(月)の7日間 |
お彼岸入り | 9月20日(火) |
中日(秋分の日) | 9月23日(金) |
お彼岸明け | 9月26日(月) |
中日に当たる「秋分の日」は23日
国立天文台の計算によって、2022年の秋分の日は 『9月23日(金)』に決定しました。お彼岸は一般的に、中日である秋分の日を中心に行われることになります。お彼岸が中日を中心に行われる理由は、秋分の日は『太陽が真東から昇り、真西へ沈んでいく』ためです。
仏教において浄土(極楽浄土)は『西の彼方』にあり、なかなか到達できないものとされています。しかし、秋分の日は、太陽が東から西へ一直線の軌道を描くため『この世(東)と浄土(西)が近づく』と捉えられていました。
「浄土へのつながりがある時期に先祖を供養すれば、極楽浄土へたどり着けるかもしれない」との思いから、この日を中心にお墓参りや法要が行われています。
お彼岸のお墓参りはいつがおすすめ?
秋のお彼岸に合わせ、お墓参りや帰省を検討している人は多いでしょう。2022年は国民の休日である『敬老の日』と『秋分の日』が離れており、シルバーウィーク(5連休)とはなりません。そのため、3連休を利用したお墓参りがおすすめです。
秋分の日を含む連休中かお彼岸前の3連休
秋のお彼岸がシルバーウィークに含まれる年もありますが、2022年は3連休が2回に分かれることとなりました。お彼岸のお墓参りは、以下の日程のどちらかがよいでしょう。
- 秋分の日を含む9月23日(木)から25日(土)の連休
- 敬老の日を含む9月17日(月)から19日(水)の連休(お彼岸直前)
その他、お彼岸中の平日に休みを取る方法もあります。
ただ、一般的には直前の3連休は行楽に出掛けて、お彼岸を含む3連休にお墓参りをする人が多いのではないでしょうか。23〜25日は霊園の混雑が予想されます。
お墓参りのピークを避けるためにも、事前に混雑する日時を霊園に問い合わせておくと安心でしょう。
お彼岸の時期に行けない場合
スケジュール次第では、お彼岸の時期にお墓参りに行けない人もいるでしょう。仮にお彼岸の時期からズレてしまっても、基本的に何も問題はないとされています。お墓参りに仏滅や友引といった『六曜』が影響することもありません。
お彼岸のタイミングに合わせられない場合は、自分や家族の都合に合わせてお墓参りに行きましょう。ただし、家族の意向や地域ごとの風習がある場合は、事前に確認しておくと安心です。
彼岸会や彼岸法要に合わせる方法も
お彼岸には『彼岸会(ひがんえ)』や『彼岸法要』と呼ばれる、複数の宗派が行う法要儀式があります。どちらも、お彼岸の時期に合わせて開催されることが多い行事です。お寺の檀家や、お墓参りに来た人々が本堂に集まって先祖や故人を供養します。
法要は2部構成となっており、法要後にゲストの説教師による法話を聞くという流れが一般的です。お寺によっては説教師として落語家や著名人を招くこともあります。もしスケジュールが合うようであれば、足を運んでみるのもよいでしょう。
ただし、場所によっては檀家(門徒)や信徒のみに向けて開催している場合もあります。一般参加を希望するなら、電話で参加できるかどうか事前に確認しておきましょう。
構成/編集部