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ワタミが群雄割拠のミールキット市場に新ブランドで参戦した理由

2022.08.03

共働き世帯の増加、家族を構成する人数の減少など、家庭内の調理の効率化のための家電やサービスなどが続々生まれているが、そのなかでも食材の宅配サービス、略して「宅食」のミールキット形式のものに対する注目度が非常に高くなっている。

ミールキットの場合、特定のメニューの調理に必要な食材を2人分ならばその分量のみがセットになっており、レシピもついているので自宅で美味しい料理が簡単に作ることができる。またメニューを考える時間や買い物の手間を減らせて、食材も必要な分だけ届くので中途半端に余ることもなく食品ロスも減らせる点も好評だ。

その傾向は近年さらに加速。株式会社日本能率協会総合研究所が提供するMDB Digital Searchが2020年8月に公表したミールキット市場の調査によると、2013年頃からEC・宅配事業者、小売業者、調理家電メーカーなど、様々な業種の企業が参入。2024年度のミールキット市場は約1,900億円になると予測している。

MDB Digital Searchによるミールキット市場規模・予測 2020年8月調査。

ワタミグループでも外食事業の業績も緊急事態宣言の解除を受けて、徐々に売り上げを戻しているが、宅食事業の食数は前年比110%で推移する好調な成長ぶりだ。すでにワタミグループ内でも事業別売り上げ構成比は2019年度コロナ前が外食51%宅食38%だったのに対し、2021年コロナ禍では外食20%宅食73%と大きく変化。ワタミグループの主力事業は、完全に宅食事業となっている。

その勢いを受け、2022年2月1日からは3歳から10歳の子ども向けミールキット「PAKU MOGU」をスタート。2008年より展開してきた高齢者を主なターゲットにお弁当・総菜を配送する「ワタミの宅食」から子育て層へとターゲットを拡大したなかで、さらに「大人向けのミールキットがほしい」という利用者からの声を受けて、新たなブランドを2022年8月1日から投入した。

2022年2月より開始している子ども向けのメニューのミールキット「PAKU MOGU」のメニューの「みんな大好き!ハンバーグカレー」。

15分で主菜・副菜2品が完成するミールキット

新ブランド「あっ!とごはん」は、「小学校高学年以上の子どもを持つ共働き世帯」「子どもが独立した夫婦2人世帯」がターゲット。「PAKU MOGU」利用者から子どもが成長した家庭では「あっ!とごはん」へとつなげ、宅食事業を子どもから高齢者までをカバーする全世代をターゲットへと拡充している。

コンセプトは2人用で調理した際に「15分で主菜・副菜の2品が完成するミールキット」で、ニーズとして最も高い「時短」に徹底的に対応。食材は加工度を上げ、内容の9割以上をカット済にし、包丁はほぼ不要だ。

内容は「鶏唐揚げ」「豚ロース生姜焼き」など定番料理を揃える「彩りおうちごはん」と、「ポークソテー濃厚デミグラスソース」「和風ガパオライス」など家ではなかなか作らない・作れない料理を揃える「華やぎおみせごはん」の2コース。

2人分2品が15分以内で調理できるよう、徹底的にテストを行い、メニューを開発している。このメニューは「彩りおうちごはん」の「包丁いらず!回鍋肉」と「糸こんにゃくの磯部煮」。

配達は「ワタミの宅食」のインフラを活用し、全国に展開する530拠点の営業所から、約8000名の「まごころスタッフ」が行う。月曜から土曜までの間で届ける日数・曜日は自由に選べて、容量は2人用と3人用で用意。献立は家族の好みに合わせて、2つのコースから選ぶ。

価格は「彩りおうちごはん」の場合、週1回の配送で2人用の場合1セットあたり1198円、週2~3日で1158円、週4日以上で1118円。「華やぎおみせごはん」の場合、週1回の配送で2人用の場合1セットあたり1298円、週2~3日で1258円、週4日以上で1218円。いずれも頻度が多いほど1回当たりの金額は安くなる。価格には宅配料が含まれている。

「華やぎおみせごはん」の一例の「お手軽!和風ガパオライス」と「オクラとかぼちゃのピカタ風」。写真奥は食材のセットで、ガパオライスの米はセットに含まれていない。

「あっ!とごはん」の事業を担当するワタミ 宅食ダイレクト・キット事業本部 本部長の森園啓司氏は、38年の歴史を持つ外食産業と12年連続売り上げシェアNo.1実績の宅食事業の知見を生かしたこのブランドで、2022年度は1日当たり3万食届けることを目標に設定しているという。

「私自身外食担当から宅食担当となり、ミールキットを使う生活を1年続けてきました。そこで感じたのは、ミールキットがある生活とない生活は、大きく異なるということです。料理というものは、ただ作るというものではなく、献立を考え、スーパーに食材を買いに行き、調理をし、食べて、後片付けをする。これを毎日続けるのは本当に大変なこと。このミールキットを使っていただくことで、時短とさまざまな手間を省き、日々の生活がもっともっと楽しく、充実したものになると私自身の経験からも言えると思っています」(ワタミ 森園氏)

写真左から2人目が宅食ダイレクト・キット事業本部 本部長の森園啓司氏。

ミールキット市場は宅配業態だけを見てもオイシックスやパルシステム、ヨシケイなど、固定客を持つブランドがある。そこに加えて2022年度だけを見ても4月にドイツ発のHelloFreshが上陸するなど、新規参入も多い。これまで高齢者向けが主力だったワタミが2022年から子供向けに続いて新たなブランドで挑むことは、市場にどんな影響をもたらすのか。

あっ!とごはん

取材・文/北本祐子

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