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累計出荷数60万個超の大ヒット「解体パズル」はいかにして誕生したのか?

2022.08.04

お手軽だけど手強い!? 難易度高めのオトナのパズル「解体パズルLite」開発者が語る“遊びどころ”

バンダイナムコグループの玩具メーカー、メガハウスが手掛ける「解体パズル」は、2016年に発売した「一頭買い!! 特選 焼肉パズル -ウシ-」のヒットを受けてシリーズ化し、累計出荷数60万個(2022年2月時点)を超える立体パズル。

そこから派生して今年6月上旬から発売を開始した「解体パズルLite」は、【遊んで、学べて、飾れる】をテーマに新価格帯で展開する新シリーズだ。

6月16日・17日に開催された「東京おもちゃショー2022」でも、第1弾として発売された「にんにく」と「うに」、そしてそれに続く「納豆」のサンプルも展示されていた。

一見するとモチーフは風変わりではあるもののパーツ構成はシンプルでその名の通り“ライト”なパズルに思えるが、その実まったく“ライト”ではない、「解体パズルLite」シリーズの商品に込められたコンセプトや駆使された技術、そして今後のシリーズ展開などについて、開発担当者である株式会社メガハウス トイ事業部の大澤 護さんにお話を伺った。

●組み上げるパーツは同じように見えて実は違う!

--「解体パズルLite」はこれまでのシリーズとはどういう違いがあるんですか?

メガハウス トイ事業部 大澤 護さん(以下、大澤) これまでの「解体パズル」シリーズはどちらかというとプラモデルに近くて「決まった場所に決まったパーツをはめ込んでいって完成体を作る」というものなんですが、「解体パズルLite」シリーズはよりパズルらしさを押し出しています。

似たような形の複数のパーツを正しい場所に正しい向きで入れていかないと完成しないので、ちょっと知恵の輪っぽいところもありますね。

▲パーツ構成はシンプルながら、遊んでみると意外と難しい絶妙な塩梅。リアルな造型で組み上がりを眺めるのも楽しい

--「にんにく」も「うに」も実際にパーツを手に取るとどれも同じように思えるんですが……。

大澤 でもひとつひとつ形状は違っているんですよ(笑)。中身だけでなくて外側の皮や殻もそれに合わせた形になっているので、うまく収まったかなと思ってもなかなか完成しないという、パズルとしての遊びに特化したものになっています。

ただ、難しすぎて完成しないというのでは本末転倒なので、パッケージの二次元コードからHPに用意している解法ページに飛べるようになっています。解法を見ていただければわかるんですが、実は同じように見えるそれぞれのパーツにも目印があるんですよ。

▲「東京おもちゃショー2022」メガハウスブースにて。「うに」をこうして冷凍ケースっぽい箱に入れるとまるで本物!

--全然気付きませんでした…(笑)。時間的にはどれくらいで解けるものなんですか?

大澤 「にんにく」は上下の向きが決まっているので、コツをつかめばそんなに時間はかからないと思います。それに対して「うに」は上下の向きがわからないので、パーツは1個減って5個なのでぱっと見は簡単そうに見えると思うんですが、難易度としてはかなり上がっていますね。

個人差はあると思いますが、時間としては「にんにく」に1時間、「うに」に4時間かかったという方もいらっしゃいましたね。

●工場も悲鳴を上げる造型に対するこだわりとは

--逆にこれだけの組み合わせがあって正解は1つしかないという精度でマスプロダクトとして成立させるのは大変じゃないですか?

大澤 造型に関してはトライアンドエラーで検証には苦労しましたね。塩梅によっては全部組めてしまってパズルにならないということもありますし、イメージした通りに工場で金型を作れるかどうか、というところも結構大変でした。

特に「うに」はかなり苦戦しました。内側のパーツもそうですが、外側の殻のトゲを作るのも難しくて、実は工場にも2回断られています(笑)。結局は金型を1つ増やして対応しました。

「解体パズルLite」は大人の方がのめり込める商品になるように対象年齢を15歳以上に上げていて、そのためには見た目も重視して仕上げないといけないというところもありました。「うに」にしろ「にんにく」にしろ、立体物として出来上がったときにちょっとシュールな味わいもあって、それを感じていただけるのはやはり大人の方なのかなと思いますね。

▲「うに」の殻はトゲだけでなく表皮に入った筋も本物っぽい

●“敗者復活”で生まれた「解体パズル」シリーズ

--そもそも「解体パズル」はどういう経緯で始まったシリーズなんですか?

大澤 もともとシリーズ化しようというわけではなかったんですよ。「放課後の怪談」シリーズ(https://www.megahouse.co.jp/megatoy/contents/kaidan_zintai/)から派生して、理科室の人体模型と、それに合わせる形でウシの模型とを出したんですが、実はそれはあまり売れなかったんです。

そんな中、ウシの模型を焼き肉屋さんがお店で飾ってくださっているという話を聞きまして、この切り口ならもう一度チャンスがあるのではないか、と。

それで、最初は「解体パズル」シリーズではなく単体の商品として2016年12月に「一頭買い!! 特選 焼肉パズル-ウシ-」を発売しました。これが好評だったので第2弾として「一本買い!! 本マグロ解体パズル」を出して、そこから「解体パズル」がシリーズ名としても定着して、第3弾「黒豚」、第4弾「焼き鳥」と続いていったという流れですね。

▲「一頭買い!! 特選 焼肉パズル-ウシ-」

--言ってみれば敗者復活なんですね。

大澤 そうなんですよ。ひょっとしたらこの世に生まれていなかったかもしれない、大逆転で生まれてきたシリーズですね。

▲「東京おもちゃショー2022」では既存の「解体パズル」シリーズが揃って展示されていた

--コンセプト的には最初から大人向けを目指していたんですか?

大澤 いえ、対象年齢は6歳以上ですし、当初はやはり子どもがメインかなと思っていたんですが、それ以上に大人の方に楽しんでいただけたと思います。

「ハラミは横隔膜だから実はホルモンだ」みたいな豆知識を知ることもできて、さらにそれが体のどの部位であるかも立体的にわかる、といった要素が予想以上に受けましたね。男女比では半々から6:4くらいでやや男性が多いかなという感じではあるんですが、ファミリーで遊んでいただけているのも特徴です。

--幅広い年齢層に受け入れられるための工夫は?

大澤 真面目に作るとテイストとしてはちょっとグロく見えてしまうんですよね。お肉の部分はそうでもないんですが、内臓はグロく見えてしまうので、内臓部分はブロックパーツっぽく処理をしたり、色味にもこだわってやってきたところはありますね。

あまり気持ち悪く見えないように、オブジェとして飾っても面白いテイストになるように気を遣っています。価格的にも1000円台でお買い求めやすいと思います。

--「解体パズル・サイエンス」という恐竜などをモチーフにしたシリーズも展開されていますね。

大澤 もともと恐竜の商品は作ろうとしていたんですが、去年横浜で行われた恐竜博「Sony presents DinoScience 恐竜科学博 ~ララミディア大陸の恐竜物語~」にバンダイグループとして何かできないかという話があったので、このタイミングだな、と。

また、恐竜というと夏のイメージがあるんですが、近年の玩具売り場では通年で売れるようになってきているという情報もありまして、そんな中で存在感を発揮するためにメガハウスらしさを活かした切り口を考えると、解体パズルがぴったりなのかなと思いました。

恐竜博の展示のメインがトリケラトプスだったので「解体パズル・サイエンス」もトリケラトプスからスタートしました。今年は夏に恐竜映画の話題作が公開されるので、それに合わせてモササウルスもラインナップしました。ティラノサウルスの体毛などは最新の学説を反映したものになっています。

▲こちらが「解体パズル・サイエンス」

●「解体パズルLite」シリーズの今後は?

--「解体パズルLite」シリーズの第2弾は「納豆」なんですね。

大澤 入れ物は3段重ねになっているんですが、実際に納豆のパーツを入れるのはそのうちの1段です。紙製のスリーブや納豆に被せるフィルム、さらにたれと辛子の紙製カードを付属品として付ける予定です。

納豆パーツは「にんにく」と同様に上下の向きがわかるようになっているので、難易度としては比較的低めになっています。3段ある入れ物もそれぞれ少しずつサイズが違うので、決まった組み合わせでないと完成しません。

▲6個のパーツを入れ物の中に収めるにはどういう順番で組めばいいのか?

--「にんにく」「うに」「納豆」ときて、今後はどういったモチーフを考えているんですか?

大澤 社内でも、たとえば「うに」ができたときに、見た目がちょっと似ているので「次はみかんかな」という話が出たりはしたんですが、あまり意外性がないのもどうかなと。

“なぜ「うに」?”とか“なぜ「納豆」?”みたいに、“なぜ”と思った瞬間に興味を持っていただけますし、それが面白さに直結するのかなと。「触ってみたい、遊んでみたい」と感じていただけるような意外性のあるモチーフを選択していきたいと思っています。

8月下旬発売を予定している「解体パズルLite 納豆パズル」は、「にんにく」や「うに」と比較すれば難易度はやさしめ。とはいえ、容器の中にぴったり収まるように6個の納豆パーツを組み合わせるのはなかなか難しい。筆者も実際に触らせていただいたが、ああでもないこうでもないと試行錯誤しているうちに「これはこの方向にハマるのでは?」と気が付く瞬間があり、そのアハ体験は実に爽快!

「解体パズルLite」シリーズは、ひとりで楽しむもよし、パーティーなど大人数が集まったときにワイワイ言いながら遊ぶのもよし、何度でも楽しめてコストパフォーマンスも高い商品と言えるだろう。今後のラインナップにも期待したい!

◆「解体パズルLite」商品情報

・解体パズルLite にんにくパズル
難易度:フツウ
セット内容:皮(上)1個/皮(下)1個/にんにくパーツ6個
※にんにくパーツはそれぞれの形が微妙に異なります。
商品本体サイズ:W60×D55×H60mm
発売日:2022年6月上旬
価格:990円
・解体パズルLite うにパズル
難易度:ムズカシイ
セット内容:殻(上)1個/殻(下)1個/うにパーツ5個
※うにパーツはそれぞれの形が微妙に異なります。
商品本体サイズ:W65×D65×H45mm
発売日:2022年6月上旬
価格:990円
・解体パズルLite 納豆パズル
難易度:カンタン
セット内容:殻(上)1個/殻(下)1個/うにパーツ5個
※うにパーツはそれぞれの形が微妙に異なります。
商品本体サイズ:W65×D65×H20mm
発売日:2022年8月下旬
価格:990円

解体パズルシリーズの詳細は
https://www.megahouse.co.jp/megatoy/contents/kaitaipuzzle_sp/
問い合わせ先 メガハウスお客様係 03-3847-1757

取材・文/小田サトシ

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