必要な栄養素を補える「摂取系コンビニ飯」とは?
コロナ禍の影響で変わったもののひとつに、日本人の「健康意識」があります。
お家時間の増加で生活習慣を見直す機会になり、以前より睡眠や運動、食事に気を使うようになった人は多いといいます。特に質の良い食生活への注目度は高く、チェーン店やコンビニでもヘルシーメニューを打ち出す店が増えてきました。
というわけで今回は、コンビニでもはじめられる手軽な食生活改善ポイントをご紹介。たんぱく質などの栄養素が摂れることを謳った話題の『摂取系コンビニ飯』のレビューもあるので参考にしてください。
コンビニ飯が不健康になりやすい理由
一般的に「コンビニ飯=健康にあまり良くない」というイメージを持っている人は少なくないでしょう。
もちろんコンビニの食べ物だからといって=健康に良くないというわけではありません。しかしコンビニには偏った食生活になりやすい<誘惑>がたくさんあるのも事実です!
コンビニ飯が不健康になりやすい、ありがちな理由がこちらです。
①野菜が不足しがちになる
例えばコンビニでランチを買う場合、「ササッと済ませたい」「安く済ませたい」などの理由で行く人は多いと思います。
手軽に食事が済ませられるおにぎりやサンドウィッチ、パスタやカップ麺などを選ぶと、野菜をしっかり摂ることができなくなります。ダイエットやトレーニング中の場合も、お腹にたまらないのに意外と値段がするサラダより、1個でお腹が膨れるサラダチキンを食べるという人は多いでしょう。
<厚生労働省が定める1日の野菜摂取量の目安=成人1人あたり350g>
野菜は1食あたりおよそ120g程度食べるのが理想といわれています。
参考までに、120gは生野菜だと大体両手いっぱいに乗せたくらいの量になるのだそう。サンドウィッチやパスタにも多少の野菜は入っていますが、それだけでは理想的な量には届かないことがわかります。
ビタミンCやA、ミネラル、食物繊維などは野菜に多く含まれる栄養素なので、おにぎりなどを単品で食べるのが習慣になっている場合はそれらが不足してしまう可能性も高くなります。
参照:野菜、食べていますか? | e-ヘルスネット(厚生労働省)
②一品物は炭水化物(糖質)量が多い
中華丼やカレー、パスタ、うどんなどの一品物は手軽で美味しくて人気のコンビニ飯です。これらのコンビニ飯のメインは炭水化物ですが、炭水化物=食物繊維+糖質なので食物繊維が豊富な食材であれば炭水化物が多くても糖質過多にはなりません。
しかし、白米、パスタ、うどんなどの主食は食物繊維が少なく糖質が多い食材の筆頭!
中華丼にはとろみ漬けの片栗粉が入っていたり、カレーに小麦粉が使われていることなども多いためさらに炭水化物が上乗せされている状態です。全てではありませんが、一品物は炭水化物×炭水化物のメニューになってしまうケースが多いんですね。
炭水化物も人間に必要な栄養素ではありますが、丼物やパスタなどを単品で食べ続けていると炭水化物ばかりを摂取してしまうので偏った食生活になってしまいます。
③ホットスナックやカップ麺は脂質の摂りすぎになりやすい
コンビニのレジ横にあってつい手を出してしまうものといえばホットスナックコーナー。唐揚げやポテト、コロッケや春巻きなど、背徳感のあるこってり味が最高なのですが、油で揚げているため当然ながら脂質は高めです。
脂質が高い食べ物はカロリーも高いため、過剰な摂取は肥満の原因になります。日常的に脂質過多な食生活を続けていると悪玉コレステロールや中性脂肪が増加して、生活習慣病を引き起こす原因にもなりかねません。
また、カップ麺は手軽に食べられる軽食として人気ですが、栄養素の中身を見ると決して軽いものではありません。コンビニに並んでいる多くのカップ麺には脂質・糖質・塩分がしっかり入っています。
スープを飲まなければいいのでは?と思われがちですが、実は「ノンフライ」や「ライト」などと記載していない限りカップ麺の麺は1度油で揚げているのが一般的です。これはラーメンに限らずそばなどでも同様で、フライ麺の場合は1食15~25g前後の脂質を摂取することになってしまいます。
脂質・糖質・塩分というトリプルパンチを日常的に多く摂取し続けると、メタボリックシンドロームや高血圧、動脈硬化など病気のリスクを高めてしまうでしょう。
④お菓子やスイーツをついで買いしてしまう
お昼ご飯を買いに行ったらデザートに新作スイーツを買ってしまったり、飲み物だけのつもりがおやつのスナック菓子を買ってしまったりという「ついで買い」。身に覚えはありませんか?
コンビニは立ち寄った人の購買意欲を刺激するしかけがたくさんある優秀な小売店なので、ついで買いの誘惑が多いんです。
もちろん時々なら良いのですが、食事+デザートやお菓子が習慣化している人は要注意。糖質を過剰に摂取し続けているとエネルギーとして消費しきれなくなり、そのうち脂肪になって蓄積されてしまいます。すると肥満や生活習慣病の原因になる他、肌荒れや集中力の低下、倦怠感などの症状が現れることもあります。
とはいえ、特に意識して食べているわけではないのが「ついで買い」の恐ろしいところ。コンビニ飯生活をしていたら知らず知らずのうちに甘いものの食べ過ぎで太っていた!なんてことも有り得るんですね。
身体のことを考えてコンビニ飯を選ぶポイント
何かと誘惑の多いコンビニ飯ですが、組み合わせや食べ方次第では栄養バランスの整った食事をすることもできます。偏った食生活を回避するためのポイントをまとめたので、ぜひ試してみてください。
①お弁当は一品物よりも副菜が多いものを選び、「食べ順」に気をつける
お弁当を選ぶときは基本的に副菜が多いものを意識して選ぶと良いです。
副菜の多いお弁当は一品物(丼、パスタ、カレーなど)に比べると使われている食材の種類が多いため、その分色々な栄養を摂取することができます。幕の内弁当や焼き魚弁当などは主食・主菜・副菜・お漬物などで構成されていることが多く、日本人が理想とする栄養バランスに近い食事ができます。
お弁当1つでダイエットを意識するのであれば、「食べる順番」もポイントです。食物繊維を多く含む食材を最初に食べることで血糖値の上昇を抑えることができるので、生野菜(プチトマトやキュウリなど)の添え物があれば1番最初に食べましょう。次に、野菜の煮物などの<副菜>→肉や魚などの<主菜>→最後にご飯などの<主食>を食べます。
脂質や糖質が多いものをできるだけ最後に食べるイメージですね。コンビニ弁当以外にファミレスの食事などでも使える方法なのでおすすめですよ!
②サラダは脂質や糖質の少ない生野菜のものを選ぶ
コンビニ飯を選ぶときに、健康のことを考えてサラダを一緒に購入する人もいるかと思います。このときありがちなNGポイントが、野菜以外のものがメインだったり、脂質や糖質が多い食材を使ったサラダを選んでしまうことです。
- マカロニサラダ
- ポテトサラダ
- 春雨サラダ
- カボチャサラダ
- コールスローサラダ
などのこってり系はその筆頭です!
これらは炭水化物が多い食材がメインに使われているうえに、マヨネーズや中華系ドレッシングなど脂質と塩分多めの濃い味付けがされていることが多いです。大人にも子供にも人気のラインナップですが、「痩せないサラダ」といえなくもないのでヘルシーを意識するなら避けましょう。
ちなみに、デリなどによくあるホットサラダも揚げたナスやじゃがいもが多く入っていることがあるので要注意です。
健康面を考えてサラダを選ぶのであれば、赤・緑・黄色など種類の違う生野菜が多く入ったサラダや、海藻サラダがおすすめ。別売りドレッシングもできるだけノンオイルのものをチョイスしましょう。
③デザートはヨーグルトや牛乳寒天がおすすめ
コンビニデザートがどうしても我慢できないという人、脂質や糖質控えめの食事を目指すのであればヨーグルトや牛乳寒天を選んでみてください。
乳酸菌がたっぷり入ったヨーグルトは、言わずもがなの健康食材。腸の調子を整え、免疫力アップの手助けをしてくれます。
牛乳寒天はたんぱく質や食物繊維が多く、カルシウムも摂取できるので健康を気にする人のデザートにはぴったりです。みかんなどのフルーツが入っていればついでにビタミンも接種できます。低カロリーでダイエットにも向いていますが、砂糖が使われているため食べすぎには注意してくださいね。
④ビタミンやミネラルはドリンクで補充するのもアリ
コンビニ飯で不足しがちなビタミンやミネラルは、ドリンクから補充するのも手です。コンビニは手軽な野菜ジュースやスムージーのラインナップも多いので、ゆっくり食事をする時間がないときにもおすすめできます。
選ぶ際のポイントとしては、「ビタミンCたっぷり!」より、「ビタミンC1,000mg!」や「1日分のビタミンC配合!」など栄養素の量を明記しているドリンクを選ぶことです。
裏面の「栄養成分表示」をチェックしても良いのですが、該当の栄養素の量に自信を持っている商品であれば表面のパッケージに売り文句として記載するはずなので手っ取り早く見分けることができるでしょう。
ちなみに、「レタス1個分の食物繊維」や「レモン1個分のビタミンC」などは想像しているより多くないこともあるので気をつけましょう。(※)
※文部科学省の食品成分データベースによるレタス100gあたりの食物繊維含有量は1.1g、全国清涼飲料連合会の規定ではレモン1個分のビタミンCを20mgとしています。(一般的なサイズのレタス1玉は300g前後です。)
たんぱく質や食物繊維が補充できる!おすすめ『摂取系コンビニ飯』6選
ここからは、特定の栄養素が効率的に摂取できる『摂取系コンビニ飯』のレビューをご紹介します。
健康に気を使っている人はもちろん、ダイエットやトレーニングにもおすすめなのでチェックしてみてください。
①たんぱく質が摂れるチキン&スパイシーチリ<セブン-イレブン>
価格:388.8円(税込)
たんぱく質:24.7g
食物繊維:15.0g
カロリー:247kcal
糖質:8.4g
その他の栄養成分表示:脂質9.4g/炭水化物23.4g/食塩相当量2.3g
SNSでも人気が高いセブンの「たんぱく質が摂れる~」シリーズ。サッと食べられてたんぱく質が24.7g摂取できる、ダイエットやトレーニングにも人気のロールパンです。
参考までに、セブンの「糖質0gのサラダチキン(プレーン)」のたんぱく質量が24.1 gだったので、惣菜パンとしてはたんぱく質量がかなり多いのがわかりますね。パンは糖質を抑えた全粒粉入りで、チキンやゆで卵など高たんぱくな食材がたっぷりサンドされています。
「スパイシー」と記載がありますがそこまでの辛さはなく、トマト系のキーマカレーが挟んであるような味です。ひき肉なのかと思いきや原材料名を見ると肉の表示はなかったので、キーマ風のソースなのでしょう。
美味しいしボリュームもあり、満足度も抜群でした。食物繊維もたくさん入っているので野菜不足も補ってくれそうですね。
欲しい栄養素を手軽に摂取できるイチオシのコンビニ飯です。
②たんぱく質10gの豆腐バー(和風だし)<セブン-イレブン>
価格:138円(税込)
たんぱく質:10.9g
食物繊維:0.5g
カロリー:111kcal
糖質:0.5g
その他の栄養成分表示:脂質7.1g/炭水化物1.0g/食塩相当量0.6g
ヘルシー&高たんぱくの代表的な食材である豆腐をスティック状にした、斬新な商品。「個人的には豆腐大好きだけどコンビニに来るような若い人がわざわざ豆腐なんて食べるのだろうか…」と思いつつ、物珍しさから購入してみました。
ところが、SNSをチェックすると意外にも若い女性のおやつ(!)として人気を集めている様子。手軽な朝食や、キャンプ飯の栄養補給にも豆腐バーが活躍しているようです。
味に意外性はなく、至って普通のほんのりだしが染みたお豆腐でした(笑)食感は絹ごし豆腐と水で戻した高野豆腐の中間くらい。ギュッと凝縮されているおかげか、思いのほかボリューミーです。
SNSだと「枝豆とひじきの豆腐バー」の方がしっかり味があって美味しいと人気のようだったので、濃い目の味が好みの人にはそちらもお試しあれ!
③7種野菜とチキンのスープカレー(押麦入り)<ファミリーマート>
価格:398円(税込)
たんぱく質:12.1g
食物繊維:4.3g
カロリー:230kcal
糖質:22.1g
その他の栄養成分表示:脂質9.5g/炭水化物26.4g/食塩相当量3.4g
キャベツ・人参・玉ねぎ・レンコン・オクラ・赤ピーマン・かぼちゃの7種の野菜+チキン・押麦が入っている、栄養バランスを意識したスープカレーです。
押麦は水溶性と不溶性両方の食物繊維が入っているのが特徴で、腸内環境の改善にもおすすめ。ビタミンBやビタミンEが含まれているので糖質や脂質の代謝を促す効果も期待できます。
7種入りといってもそれぞれの量は1片ずつくらいでしたが、これ1つで7種の異なる野菜の栄養が摂れるのは嬉しいですね。
底をかき混ぜるとゴロゴロと押麦が出てきてけっこうな満腹感がありました。味は本格的なスパイスの風味を感じるスープカレーで、思ったよりも辛かったです。
辛いのが苦手な人はパンやナンなどをつけて食べるのが良いかもしれませんね。
④国産しらすのネバネバ麦飯丼 オクラ・めかぶ<セブン-イレブン>
価格:429.84円(税込)
たんぱく質:13.5g
食物繊維:6.4g
カロリー:342kcal
糖質:64.4g
その他の栄養成分表示:脂質1.9g/炭水化物70.8g/食塩相当量1.9g
食物繊維が入った大麦を使った麦飯の丼です。丼物は栄養が偏りがちですが、こちらは脂質が少なく食物繊維も摂取できるのでおすすめ。
オクラやめかぶのネバネバ成分には整腸作用があり、免疫力の向上やデトックスにも効果的といわれます。しらすも不足しがちなカルシウムやビタミンDなどが摂取できる優秀食材なので、健康のためにはおすすめできます。
丼物には珍しく、ご飯だけ温めて上に冷たい具材を乗せて食べるという変わったスタイルです。
ネバネバ系は食欲が落ちてしまう夏でもツルッと食べやすいのが良いですね。
コンビニで海鮮系の丼を食べたことがなかったのですが、生臭さなどは全くなく美味しかったです。一緒に納豆や温泉卵などを購入してネバネバ納豆しらす丼にすると、追加でたんぱく質も補えますよ!
⑤ピザロール 全粒粉入り!ハムとモッツアレラとゴーダチーズ<ローソン>
価格:279円(税込み)
たんぱく質:13.8g
食物繊維:6.8g
カロリー:253kcal
糖質:24.1g
その他の栄養成分表示:脂質9.7g/炭水化物30.9g/食塩相当量1.8g
こちらはローソンの人気商品・ピザロールシリーズから登場したヘルシーメニューです。小麦の表皮や胚芽を含む全粒粉には、小麦粉の約4倍の食物繊維が入っているのが特徴です。
全粒粉はビタミンBが摂取できる以外にも、小麦粉だけを使用しているパンに比べるとGI値も低くなるためダイエット向きといえる食材です。
味は、小麦粉のピザロールに比べるとちょっと香ばしい感じ。筆者はむしろこちらの方が好きかもしれません!
中身がたっぷり詰まっているので1袋でも満足度は高いでしょう。
ピザのようなジャンクフード系が我慢できないけど健康にも気を使いたい人にはおすすめできます。ただし、チーズがたっぷり入っている分、脂質は高めなので食べすぎには注意してくださいね。
⑥BASE BREAD チョコレート<ファミリーマート>
価格:248円(税込)
たんぱく質:13.5g
食物繊維:3.4g
カロリー:255kcal
糖質:25.9g
その他の栄養成分表示:脂質7.8g/炭水化物29.3g/食塩相当量0.69g
SNSやメディアでも注目されるBASE BREADは、1日に必要とされる栄養素の1/3が摂取できるパンです。近頃はファミマ以外のコンビニでも取り扱いを開始し、手軽で美味しい完全栄養食と話題になっています。
パッケージの裏面はこの通り、人間の身体に必要な栄養素の名前がずらり…!
26種類のビタミンやミネラル、食物繊維やたんぱく質がまんべんなく摂れて税込248円と考えると、コスパの面でも優秀といえそう。
実は前々から気になっていたのですが、実際に食べたのは初めてでした。味はローソンのブランパンや、大豆粉でできたパンなどに近い印象です。全粒粉がほんのり香ばしくて、プチプチとしたチアシードの食感がします。
菓子パンほどの甘みはないですが、チョコレートの味がするので淡白な感じもありません。なんというか、ちょっとクセになる味わい。これといった特徴はないのですが食べ続けていたい感じです…(笑)
チョコレートの他にもプレーンやメープル、シナモンなどのラインナップがあるので飽きずに食べられそうですね。
何より忙しい朝や弁当を食べる時間も惜しいテレワーク時など、ワンハンドで栄養価のあるパンを食べることができるのは便利だと思います。
ゆっくり食事をする暇がないビジネスマンや主婦(夫)の栄養補給におすすめのコンビニ飯です。
摂取系コンビニ飯で健康的な食生活を!
ジャンクフードのイメージが根強く残っているコンビニ飯。しかし近年は健康ブームのあおりを受け、コンビニ各社からも身体に気を使ったラインナップが続々発売しています。
コンビニでも選び方や食べ方次第で栄養バランスを考えることができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
文/黒岩ヨシコ(食生活アドバイザー3級)
編集/inox.