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住宅資金を援助した時に贈与税はかかる?非課税になる特例と利用する際の注意点

2022.08.09

父母・祖父母から住宅資金の援助を受けた場合にも、贈与税を支払う必要があるのでしょうか?贈与税の仕組みや住宅購入に使える非課税の特例、利用する際の注意点などをまとめて紹介します。贈与税の基礎知識を確認し、リスクを抑えて贈与を受けましょう。

まずは贈与税の概要を確認

『贈与税』は、どのようなときに課税されるのでしょうか?住宅資金の贈与を考える前に、まずは贈与税の特徴や課税方法などの概要について解説します。

個人の財産を受け取る際に発生

『贈与税』は、生存している個人から受け取った現金や不動産などに課税される税金です。亡くなった人ではなく、別の人が保険料を負担している生命保険の保険金を受け取ったり、他人から株式を譲り受けたりする際にも贈与税がかかります。

財産を贈与する人を『贈与者』・贈与を受ける人を『受贈者』と呼び、贈与者と受贈者がそれぞれ『あげる』『もらう』に合意すると贈与が成り立ちます。

住宅を購入するときに、父母・祖父母から資金援助を受ける場合も、援助されたお金は贈与税の課税対象です。このケースでは援助する父母・祖父母が贈与者、援助してもらう自分が受贈者ということになります。

参考:
4 「相続税」と「贈与税」を知ろう—もっと知りたい税のこと 令和元年10月 : 財務省
No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

贈与を受けた人に支払い義務が発生

贈与税の申告・支払いの義務は、贈与者ではなく財産を受け取った受贈者に発生します。

また、贈与税の申告と確定申告は、開始日が異なるので注意しましょう。基本的に確定申告をする期間が2月16日~3月15日とされているのに対し、贈与税の申告と納税期間は2月1日~3月15日です。

なお、贈与税の額を申告・納付する先は、受贈者の居住地域を管轄している税務署です。必要書類を持参して税務署に出向く申告だけでなく、郵送での申告・電子申告にも対応しています。

参考:No.4429 贈与税の申告と納税|国税庁

贈与税の課税方式は二つ

贈与税の申告書と印鑑

(出典) photo-ac.com

贈与税の課税方式は『暦年課税制度』『相続時精算課税制度』の二つで、どちらか一つの方式しか選べません。それぞれに違ったメリット・デメリットがあるので、特徴をよく理解して課税方式を選びましょう。

基礎控除が110万円の「暦年課税制度」

『暦年課税制度』は、その年の1月1日から12月31日まで(暦年)で、受け取った贈与に対して課税する方法です。受贈者1人につき、110万円の基礎控除を設けているのが特徴です。

例えば、父母が長男と次男に1年の間に300万円ずつ現金を贈与した場合、長男と次男それぞれ110万円までは贈与税がかかりません。長男にも次男にも、300万円から110万円を引いた190万円に対して贈与税を納める義務が発生します。

実際にいくらの贈与税がかかるかは、父母・祖父母などの直系尊属から成人した子に贈与された『特例贈与財産』と、それ以外の『一般贈与財産』で違います。基礎控除(110万円)を差し引いた価額が一定額を超えた場合に適用される控除の額も、贈与の種類で変わる仕組みです。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

2,500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税制度」

『相続時精算課税制度』を使うと、特別控除額の2,500万円まで贈与税がかかりません。1年間に受けた贈与の価額ではなく、相続時精算課税制度を適用してから、贈与者が亡くなるまでに受けた贈与が特別控除の対象です。

相続時精算課税制度が利用できるのは、贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母・祖父母が20歳以上(2022年4月以降の贈与は18歳以上)の子・孫に財産を贈与した場合に限られています。

ただ、お得なように感じる相続時精算課税制度にも注意点があります。まず、一度でも相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に戻すことはできません。

また、2,500万円を超えた分の贈与には一律で20%の贈与税がかかります。さらに贈与者が亡くなった場合には、相続税と同時に相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)も課税対象になることを覚えておきましょう。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

特例対象の「住宅取得等資金贈与」とは?

資金のイメージ

(出典) photo-ac.com

住宅の購入資金を援助してもらう際に活用したいのが、『住宅取得等資金贈与』の特例です。非課税枠の上限や利用の条件、住宅ローン控除との併用の可否などをチェックしましょう。

限度額500万か1,000万円の贈与が非課税になる

2022年1月1日から2023年12月31日までの間に、父母・祖父母などの直系尊属から成人している子・孫(贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上)へ住宅を新築・増改築・取得するための資金を贈与された場合、条件を満たすと最大1,000万円の贈与が非課税になります。

受贈者1人につき住宅の種類によってそれぞれ限度額500万、限度額1,000万円の非課税枠が設けられています。『省エネ等住宅』は1,000万円、それ以外の住宅は500万円が非課税限度額です。

以下の条件のうちどれか一つに該当する住宅は、省エネ等住宅として認められます。

  • 断熱等性能等級4以上か、一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級2以上か、免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上

省エネ住宅の要件に当てはまる場合には、『住宅性能証明書』をはじめとした書類を贈与税の申告書に添付して証明する必要があります。

参考:
住宅:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 – 国土交通省
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

住宅ローン控除と併用できる

贈与と住宅ローンを併用して、住宅の購入資金に充てる人もいるのではないでしょうか?もちろん、住宅取得等資金贈与の特例と住宅ローン控除の併用は可能です。

ただし、住宅ローン控除額を決める際には、住宅取得等資金贈与で非課税となった額が考慮される点には注意しましょう。

住宅ローン控除の額は、その年の年末時点における借入残高をベースに計算されるのが基本です。しかし、非課税で贈与を受けていると、住宅ローンの残高と住宅を購入した金額から非課税の贈与額を引いた『住宅取得等にかかる対価の額』、いずれか低い方を基にして住宅ローン控除の額が決められます。

参考:住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係|国税庁

「住宅取得等資金贈与」に関する注意点

計算する税理士のイメージ

(出典) photo-ac.com

『住宅取得等資金贈与』は、住宅資金の援助の全てに適用されるわけではありません。住宅取得資金贈与の特例を利用する前にチェックしておきたい注意点は、大きく二つです。

直系の父母や祖父母からの贈与が対象

住宅取得等資金贈与の特例を利用できるのは、『直系尊属』と呼ばれる父母・祖父母などからの贈与に限られています。直系尊属には養父母も含まれますが、血のつながりがあっても叔父・叔母や兄弟・姉妹は含まれません。

また、配偶者の父母・祖父母から贈与を受ける場合も対象外なので注意しましょう。ただし、配偶者の父母・祖父母であっても、養子縁組をしている場合には直系尊属として認められます。

また、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円を超えていると、住宅取得等資金贈与の特例は利用できません。さらに新築する住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、その年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

適用されるための注意点

住宅取得等資金贈与の特定が受けられるのは、日本国内にある住宅に限られています。そのため、海外の住宅を購入するための贈与には適用されません。

また、非課税で贈与を受けて新築住宅を購入する場合には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下
  • 床面積の2分の1以上が受贈者の住居の用に供されるものであること

なお、マンションのように、複数の所有者が存在する『区分所有建物』においては、所有部分に当たる『専有部分』の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下でなければなりません。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

住宅取得等資金贈与の特例を受ける方法

資料に記入するスーツの男性

(出典) photo-ac.com

住宅取得等資金贈与の特例を受けるには、どのような手続きが必要なのでしょうか?贈与税の節税につなげるためにも、特例を受ける方法を確認しておきましょう。

書類を税務署に提出して贈与税を申告

住宅取得等資金贈与の特例を利用するためには、まず贈与税の申告が必要です。非課税の特例が適用されると贈与税が0円になる場合でも、贈与税を申告する必要があることに注意しましょう。

贈与税の申告に使う『贈与税の申告書』は、税務署でらうか、国税庁のホームページからダウンロード・印刷しましょう。

『確定申告書等作成コーナー』を利用すれば、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで贈与税額が自動で計算されるため、よりスムーズに申告書を作成できるでしょう。

住宅取得等資金贈与の特例を受けるためには、その上で基本的に受贈者の戸籍謄本と、源泉徴収票、登記事項証明書などの提出が必要です。

ただし事情があってすぐに戸籍謄本が手に入らないときは、氏名・生年月日の他、贈与者が受贈者の直系尊属に当たることを証明する書類で代用できます。

参考:
【贈与税の申告等】|国税庁
【確定申告書等作成コーナー】-作成コーナートップ

翌年3月15日までに居住する

住宅取得等資金贈与の特例を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された資金の全額を使って住宅の新築・改築などを完成させて住む必要があります。

遅くても翌年12月31日までに居住していないと特例は適用されず、修正申告が必要になるので注意しましょう。例えば、2022年10月に贈与を受けた場合には、原則23年3月15日までに住居の新築・改築を終えて居住しなければなりません。

引き渡しの時期を考慮して贈与を受けるのはもちろん、期間が長引きそうなときには1月・2月など、できるだけ早い時期に贈与を受けるとよいでしょう。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

構成/編集部

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