エッジコンピューティングの活用例
エッジコンピューティングは、実際どのようなサービス・機能に活用されているのでしょうか?紹介する活用例は、いずれもその業界で注目されている先進的な技術です。
車の自動運転機能
自動車業界で注目されている自動運転技術は、エッジコンピューティングの活用例として代表的です。車両の情報と周囲の環境情報を取得・分析し、適切な走行状態を維持する必要があるため、膨大なデータを素早く処理する必要があります。
通信データの遅延は、自動運転にとって致命的です。リアルタイムにデータが連携されないと、重大な事故につながりかねません。最新のエッジコンピューティングの技術を取り入れながら、通信の遅延なくスムーズに情報を処理できるシステムの設計が進められています。
顔認証装置
イベントの入退場ゲートやオフィスの入口などで設置が広まっている顔認証装置も、エッジコンピューティングが活躍するサービスの一つです。膨大な身体データを照合する必要があるため、エッジコンピューティングの技術が応用されています。
従来のICカードをはじめとした認証方法では、カードの紛失や貸し借りなどによってセキュリティ上の問題が起こる可能性がありました。そこで人間の指紋や表情・静脈などの生体情報を用いて、認証する装置の需要が高まっています。
顔認証に限らず、多くの利用者の生体情報に素早く対応するためには、データの一部を端末側で処理するエッジコンピューティングの技術が欠かせません。
気象の予測システム
毎日のニュースで目にする気象予測には、気象に関するさまざまなデータを素早く処理する技術が活用されています。膨大なデータをスムーズに処理し、正確な予測をするためにエッジコンピューティングの技術が積極的に使われているのです。
近年は広範囲にわたる気象予測シミュレーションだけでなく、特定の都市や地域など、局所的な気象の予測も比較的低コストでの実現が可能になっています。エッジコンピューティングの技術により大量のデータを効率的に扱えることで、手間やコストが軽減している例です。
エッジコンピューティング導入の注意点
エッジコンピューティングには数多くのメリットがある一方、導入にあたっては留意したい点もあります。エッジコンピューティングを導入するときの注意点も確認しておきましょう。
クラウド運用に比べてコストが高くなる
クラウドのみでネットワークを利用するのに比べて、エッジコンピューティングを導入するとコストが高くつきます。コストの高さが、現状エッジコンピューティング最大の課題とされている点です。
端末の近くでエッジサーバーを運用するため、端末を利用する拠点が多ければ、それだけ多くのサーバーを設置する必要があります。拠点の数によってはサーバーにかかるコストが増大し、運用の手間もかかるでしょう。
クラウドサーバーとうまく組み合わせながら、コストと通信速度のバランスを取る必要があります。
運用環境が複雑になりがち
データを全てクラウドで管理する環境とは違い、エッジコンピューティングではデータ処理のための端末やサーバーの設置が欠かせません。端末が増えるとコストが増大するだけでなく、運用管理も複雑化します。
サーバーやネットワークの管理者に過度な負担がかかる可能性もあるでしょう。さらに、データを利用するための工数が増えれば、効率的にデータを処理できる仕組みが求められます。
また、不正アクセスやハッキングなどのリスクも依然として存在します。クラウド環境でのデータ運用と同様に、基本的なセキュリティ対策も必須です。