暑い時期の冷房として、また寒い時期の暖房として、エアコンは1年を通して利用する家電の一つです。日常的に使うエアコンが、家電の中でも消費電力が大きい事実を知っていますか?節電対策に役立つエアコンの使い方や、エアコンの効果を高める工夫について解説します。
エアコンは消費電力が大きい家電
暑い時期に欠かせないエアコンは、家電の中でも消費電力が大きい家電です。エアコンの消費電力が家電全体に占める割合と、節電したときに得られる効果を見ていきましょう。
エアコンは家電の中で消費電力量上位
資源エネルギー庁が発表しているページによると、エアコンは家庭内での電力消費が最も大きい家電とされています(2018年の調査より)。夏場は家電全体の34.2%・冬場にも32.7%と、冷蔵庫・照明を大きく引き離して消費電力割合が1位となりました。
外出している場合は1日の使用時間も短くなりますが、家で過ごす休日には朝からエアコンをつけるという人も多いでしょう。暑い時期には、熱中症を防ぐために就寝中もエアコンを使用する家庭が少なくありません。
冷房としてはもちろん、暖房機能もあるエアコンは季節を問わず欠かせない家電といえます。そのため、節電を意識するならまずエアコンの使い方を見直すとよいでしょう。
参考:省エネルギー政策について|省エネルギー・新エネルギー|資源エネルギー庁
節電でお財布にも環境にも優しく
2022年8月現在は国内の電力供給がひっ迫しており、電気代も高騰している状況です。消費電力量の多いエアコンで節電できれば、効果的な電気代の節約につながります。光熱費で家計が圧迫されている人は、エアコンから使い方を見直してみるとよいでしょう。
また、環境への悪影響を減らせるのも、節電を心がけるメリットです。日本国内で発電される電力の中では、火力発電が78.9%と非常に大きな割合を占めています。
各家庭で消費する電力量が減れば、二酸化炭素を多く放出する火力発電所の稼働も減らせるでしょう。消費電力量が大きいエアコンの使い方を改善することで、家計だけなく地球環境にも優しい生活を目指せます。
参考:
経済産業省 2022年の電力供給について
統計表一覧|資源エネルギー庁
夏場の節電につながるエアコンの使い方
暑い時期には、エアコンを1日中つけっぱなしにしている人も多いでしょう。節電のために知っておきたい、夏場におけるエアコンの使い方を紹介します。
冷房除湿機能を活用する
ほとんどのエアコンには、通常の冷房機能に加えて『除湿機能』が搭載されています。除湿機能とは、室温ではなく部屋の湿度を一定の数値まで下げる運転方法です。
室温が一気に下がるわけではありませんが、湿度が低くなるだけでも体感温度には違いが出ます。すぐに温度を下げたいときは冷房を、「部屋がジメジメしている」と思ったときには除湿機能を利用するのがおすすめです。
エアコンの除湿機能には『弱冷房除湿』と『再熱除湿』の2種類があります。弱冷房除湿は文字通り冷房より弱いモードなので、消費電力も少なくなるのが特徴です。
風向きは水平または上向きに設定する
ほとんどのエアコンでは、温度だけでなく風向きも設定できます。体に直接風が当たる方が涼しいと感じるかもしれませんが、室内を効率的に冷やしたいなら、水平か上向きに風向きを設定してみましょう。
暖まった空気は天井近くにたまるとされています。逆に冷たい空気は下にたまるため、上向きに冷風を送れば冷たい空気を効率的に循環させることが可能です。
風向きが下向きに設定されていると、もともと冷えている足元だけがさらに涼しくなってしまいます。部屋全体の温度を下げたいなら、風向きを調節するのが効果的でしょう。
冬におすすめのエアコンの使い方
エアコンを暖房として使っている家庭も少なくありません。節電しながらも暖かく過ごせる、エアコンの使い方を解説します。
つけっぱなしにして室温を下げない
エアコンを使う際は、室温と設定温度の差が大きいほど大きな電力を消費します。そのため、室温が下がりやすい冬場は、一度下がった部屋の空気を暖め直すたびに電力を消費してしまうのです。
地域によっては気温がマイナスになる冬場の方が、夏場に比べて室内外の温度差は大きくなります。冬場は何度も電源を入れ直すより、エアコンをつけっぱなしにする方が節電につながるでしょう。
Panasonicによると、外の気温が3℃以下であれば、つけっぱなしの方が電気代の節約になるとされています。自分の住む地域やその日の天候に合わせて、使い方を工夫しましょう。
参考:「つけっぱなし運転」はおトク?冬の「エアコン」節電ポイント | みんなが気になる 心地よい「空気」の作り方 | Air Letter | エアコン | Panasonic
温度だけでなく湿度も上げる
ジメジメした日には蒸し暑く感じることからも分かるように、部屋の湿度を上げることで体感温度が高くなります。寒い日には、エアコンに加えて加湿器を使うのもおすすめの方法です。
体感温度が上がると、エアコンの設定温度を若干下げても寒く感じにくくなります。結果として消費電力量が減り、電気代の節約につながるでしょう。
また、もともと湿度が低い冬にエアコンを長時間つけていると、乾燥が気になる人もいるはずです。暖かく過ごすだけでなく、健康のためにも一定の湿度を保つ必要があります。
空気が乾燥していると感じたら、加湿器をつけたり室内に洗濯物を干したりして、湿度をほどよい状態に保ちましょう。
部屋の環境の見直しも節電に効果的
エアコンの電力消費を抑えるには、部屋自体の環境を整えることも重要です。エアコンの効果をさらに高めるコツもチェックして、効果的な節電を目指しましょう。
カーテンで室温をコントロールする
カーテンの中には、遮熱や遮光といった特殊な効果がある生地を使ったものも存在します。夏場なら厚手のカーテンで窓から入る太陽光を遮ることで、暑い日でも部屋の温度が上がりにくくなるのです。
断熱効果のあるカーテンは、寒い時期にも活躍します。外の空気を遮断し、窓の隙間から冷気が入り込むのを防いで室内の暖かさをキープできるのがメリットです。
外の気温から受ける影響を少なくすれば、エアコンの設定温度も変えられます。冷暖房を使用する時間や消費電力を少なくできるよう、カーテン選びにもこだわってみましょう。
部屋の空気を循環させる
エアコンは、温風や冷風を発生させて室温を設定温度に到達させる仕組みになっています。室内の空気には場所によって温度差があるので、空気を循環させて全体を一定の温度にしているのです。
エアコンによる消費電力を抑えたい場合は、他の家電を利用して部屋の空気を循環させる方法もあります。室内の空気をムラなく循環させておけば、エアコンをつけてすぐに室温の変化を実感できるでしょう。
例えば、部屋の空気をかき混ぜるサーキュレーターを使うと、エアコンによる消費電力を抑えることが可能です。単に空気を循環させるだけなら扇風機でも代用できます。