「私的年金」の種類は大きく二つ
私的年金には『企業年金』と『個人年金』の2種類があります。企業年金と個人年金、それぞれの特徴を確認しましょう。
「企業年金」は会社の福利厚生として活用
『企業年金』が誕生したきっかけは、社員が退職する際に企業が支払う『退職金』です。もともと、退職金は企業が社員の労をねぎらって支払う『報奨金』や『賃金の後払い』と考えられていました。
しかし、退職をする際に賃金をまとめて支払うと高額になり、多くの資金が必要です。そこで、利息に相当するお金をプラスして退職金を分割して支払う『退職年金』を導入する企業が出てきました。
この退職年金の考え方こそ、企業が社員に年金を支払う企業年金の始まりです。さらに日本人の平均寿命が延びていく中で、老後の生活を保障するニーズともマッチし、福利厚生としての企業年金が普及しました。
企業年金には、以下のような種類があります。
- 厚生年金基金
- 企業型の確定拠出年金
- 確定給付企業年金(DB)
『厚生年金基金』は、厚生労働大臣の認可を受けた法人が設立できた企業年金です。ただ、2014年4月1日以降、厚生年金基金の新設は許可されなくなっています。
老後の資産形成で加入する「個人年金」
個人が任意で加入できる『個人年金』の主な目的は、老後の資産形成です。代表的な個人年金としては、国民年金基金連合会が運営する『国民年金基金』と『iDeCo(個人型確定拠出年金)』が挙げられます。
国民年金基金は、厚生年金が受給できない自営業や農家などの第1号被保険者も加入できます。少ない掛金でスタートでき、年金額が一定の終身年金です。また、掛け金が全額所得控除の対象になるのも特徴です。
一方、証券会社・銀行などの金融機関も運営に加わっているiDeCoは、自分で決めた金額を積み立て、投資信託・定期預金などの運用商品を選択して資産を形成します。運用して積み立てた額を、60歳以降に年金として受け取れる仕組みです。
iDeCoには税制の優遇がある反面、原則として60歳までは引き出せないため、老後の資産形成に向いています。
例えば年収300万円の30歳会社員が掛け金2万3,000円で利用した場合、各種条件によりますが、1年間で4万1,600円、30年間だと125万2,000円の税制メリットがあります。
その他、民間の生命保険会社が運営する『個人年金保険』も、個人年金の一つです。
参考:Topic 5 私的年金ってどんな年金?|第2章 みんなの年金|わたしとみんなの年金ポータル|厚生労働省
もらえる公的年金の種類を確認する方法
もらえる年金の種類や、老後に受け取れる年金額の目安が気になる人もいるのではないでしょうか?若いうちから公的年金の受給予定額を知ることは、老後の資産を形成する上でも重要です。公的年金の種類や支給額の目安を確認する方法を、二つ紹介します。
誕生月に届く「ねんきん定期便」
公的年金を運営する国の機関『日本年金機構』から毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』を見れば、もらえる公的年金の種類や支給額の目安を確認できます。
ねんきん定期便に記載されているのは、年金に関する以下のような記録です。
- 保険料の納付状況
- 国民年金・厚生年金などの加入履歴
- これまでの加入実績に応じた年金見込額(50歳以上)
はがきに直近1年間の情報が記載されているのが基本です。また、35歳・45歳・59歳は節目の年として全期間の年金記録情報が封書で届きます。
「ねんきんネット」からの確認も可能
「ねんきん定期便が見当たらない…」という人は、日本年金機構が運営している『ねんきんネット』で電子版のねんきん定期便を確認することが可能です。
ねんきんネットでは、24時間いつでもパソコンやスマートフォンなどから年金記録を確認できます。年金見込額を試算して将来の生活設計を立てたり、届出や不明記録を検索したりといった調べ物も可能です。
マイナンバーカードを使って『マイナポータル』に登録してねんきんネットと連携させれば、ログインするだけでねんきんネットへのアクセスができるようになります。紙の書類を管理するのが面倒という人は活用してみましょう。
構成/編集部