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【深層心理の謎】「見下ろす」と「見上げる」でなぜ見え方が違うのか?

2022.07.27

 都会の空を見上げると上空を飛行中の旅客機の“裏側”が見えた。こんな光景が日常になる日が来るとは、ほんの少し前までまったく考えていないことだった。地上から見上げる旅客機は、空港で見る機体とはまったく違う空飛ぶ“鉄の鳥”だ――。

上空を飛び交う旅客機を仰ぎ見ながら落合南長崎を歩く

 ありふれた住宅街の中ですら訪日外国人の姿を見かけたコロナ禍前の街の様子が懐かしくなることもあるが、ある部分では“オーバーツーリズム”であった側面も思い出されてくる。今でこそ上野や浅草などにも少しは出かけたい気にもなるが、コロナ禍直前の数年ほどは仕事以外ではまず行く気にはなれなかったように思う。

 某マンガミュージアムを初めて見物した後、歩いて住宅街を抜け都営大江戸線・落合南長崎駅にたどり着いた。午後3時を過ぎたところだ。朝早いうちにあった曇はすっかりなくなり、快晴の空が広がっている。もちろん外は暑いが猛暑は免れそうである。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 目白通りを歩く。昼食はまだ食べていないので、どこかお店に入ってちょっとゆっくりしてみてもよい。

 通りを走る車の走行音に混じって、上からも音が聞こえてくる。空を見上げると飛行中の旅客機が目に入る。思ったよりも低い高度を飛んでいてなかなかのインパクトといえるが、もう何度か見ているので初めに見た頃の物珍しさはなくなっている。

 …思い返せば2019年のラグビーW杯の時期が訪日客数のピークだったのだとは思うが、それでも驚くべきことに当時の状況ではまだまだインバウンド需要は伸びていた。そうした需要を受けて、かねてから国は羽田空港の国際線を増便するための新飛行ルート、いわゆる「新羽田ルート」の計画を進めており、ご存知のように2020年3月29日から運用が開始された。

 しかしそこへ来てのコロナ禍である。各国の海外渡航規制により、旅客機の便数は大幅に削減され各空港は暫くの間、開店休業状態になった。したがって都内上空の新羽田ルートを飛ぶ旅客機の姿はすぐには見ることもなかったのだが、それでもその年の暮れが近づく頃に、自宅近くの上空を飛ぶジャンボ機を初めて意識的に目撃して、ちょっとした衝撃を受けたことが思い出されてくる。

 もちろん新羽田ルートの計画についてはコロナ禍前のさらに前から耳にしていたのだが、東京都内のこの界隈に住む人間として、こうして実際にジェット旅客機の姿を目撃するのは感慨深い。

 福岡空港には空路で何度か訪れているが、着陸前には都市部の一角の上空を飛行するので、窓側の席だった場合はフライトの最後の10分ほどは窓の下に目が釘づけだったことも思い出されくる。まるで香港の空港みたいだと思ったりしたが、個人的に香港はまだ訪れたことはない。

 今や自分も福岡や香港の人々と似たような環境にいるのかと思うと、何だかアジア的な都会人になったような気もしてくる。長距離の旅がより身近に感じられてくるということもあるし、幼少の頃からそうした空を見ていれば自然と国際感覚が養われてくるのかもしれない。

見下ろすのと見上げるのとでは、見え方が違っている

 飛び去っていく旅客機を見届ける。それにしても地上から見上げる旅客機は何だか異様で武骨で、空港のロビーから見る機体とはずいぶんと印象が違うものだ。もちろん機体のデザインペイントは通常機体の上部しか施されておらず、“裏側”はそのままであるケースがほとんどだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 つまり旅客機は空港のロビーから見下ろして見るか、あるいは離着陸する様子を側面から見て識別できるようになっているとも言える。

 空を見上げて見える旅客機の“裏側”は本質的に見せるものではないし、見てもらいたくもないものでもあるのだろう。したがって地上から見上げる旅客機は文字通り“裏側”であって本来の姿とは別物ということになる。

 もちろん飛行機の場合は表と裏でペイントの違いがあるわけだが、最新の研究では同じ物体を見ても、見下ろすのと見上げるのとでは見え方が違っていることが報告されていて興味深い。


 姿勢と知覚の関係は、すでにいくつかの研究で調査されています。しかし、姿勢が変化したときに、人間の知覚バイアスと経験的文脈が観察者の知覚にどのように影響するかはまだ不明です。

 この研究では、知覚バイアスによって引き起こされる知覚確率の変化もまた姿勢に依存するという仮説を立てました。

 この仮説を検証するために、入力を一定にした上と下の2種類の外観を持つネッカー立方体を使用し、知覚コンテンツの確率の変化を調査しました。

 結果は、垂直に見下ろす状態ではネッカー立方体を上から見る確率が上向きの状態よりも大幅に高いことを示しました。

 これらの結果は、知覚が首の姿勢によって調節されたことを示しており、首の姿勢が生態学的制約に組み込まれていることを示唆しています。

※「Nature」より引用


 豊橋技術科学大学の研究チームが2022年5月に「Scientific Reports」で発表した研究では、首の上下の傾き、つまり仰ぎ見たり見下ろしたりする姿勢は、あいまいな形状を解釈する際の知覚バイアスに影響を与えることを報告している。同じものを見た場合でも、見上げているのか、見下ろしているのかで見え方が違ってくるというのだ。

 日々の生活で目にするさまざまなモノは、その種類や属性などで視線を下に落として見るモノもあれば、車を運転中の信号機のように見上げて認識するモノもある。例えばお菓子の箱やティッシュのボックスなどの立方体の箱状の物体は、多くにとっては視線を水平よりも落として見下ろした体勢で見ることが断然多いのではないかと考えられる。

 もちろん倉庫作業員など棚の高い場所にある段ボール箱を日常的に見ているというような例外はあるものの、お菓子の入った箱を見上げながら開ける人は稀であるし、夜空の星を見るのに前屈して股の間から見る者は普通はいないだろう(それはそれで愉快ではあるが)。

 このように目にするモノにはそれぞれの「知覚バイアス」と文脈があるのだが、研究チームは姿勢が変化したときにこの知覚バイアスと文脈が観察者の知覚にどのように影響するのかを実験を通して検証した。

 実験で用いられたのはバーチャルリアリティ空間に出現させた「ネッカーキューブ(フレームだけで表現された立方体)」で、実験参加者にはこのネッカーキューブが5つの角度(60度、30度、0度、-30 度、-60度)で見せられた。

 ネッカーキューブは知覚バイアスと文脈によって見下ろした形状で認識されることが多いのだが、それは観察者の首の上下の動きから影響を受けるのかを検証するために参加者は、VR空間で5つの角度で表示されるネッカーキューブを、実際に首を動かして見上げたり、見下ろしたりして目撃し、形状がどのように見えたのかを報告した。首の上下に加えて水平で見た場合のネッカーキューブ形状もまた報告が求められた。

 収集したデータを分析した結果、見下ろした条件のほうが、見上げている状態よりもネッカーキューブを上から見下ろした形状に見える確率が有意に高かったのだ。その一方、水平条件では有意な差はみられなかった。

 つまり同一の角度で表示されているネッカーキューブを、実際に首を傾けて見下ろして見るか、逆に見上げて見るかで見え方が違っていたのである。見る体勢もまた知覚バイアスを強化する要因であることになる。空港ロビーから見下ろして見る旅客機と、地上から仰ぎ見る旅客機の印象がずいぶん違って感じられるのは、こうした知覚バイアスの面からも説明できそうである。

広いテーブルでゆったりと刺身定食を賞味

 さてどこかの店に入りたいが、こちら側の歩道には何もないので、通りの反対側に渡ることにした。横断歩道がある交差点まではけっこうあるので、地下鉄の構内に降りることにする。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 地下の構内を抜けて通りの反対側の地上に出ると、そこは商業施設内である。

 スーパーマーケットや雑貨店、クリニックなどがメインの地元密着型の複合施設だが、1階にはカフェやアイスクリーム店があり、2階にはレストランもある。ともあれエスカレーターで2階へ向かう。

 フロアの通りに面した側はテラスになっていて開放感がある。テラスから青空を見上げると、またしても旅客機が上空を横切っていく。まだまだ予断を許さないコロナ禍ではあるが、国際便の数は着実に復活しているということだろう。

 確か半年ほど前にここにあるステーキレストランに入ったことがあったので、今日はもう一方の和食系ファミリーレストランに入ってみることにしたい。さっそくお店に向かう。

 入口はこぢんまりとしているのだが、店内に入ってみると案外広い。中途半端な時間だったこともあり、テーブルの埋まりは半数ほどだろうか。お店の人に案内されて4人がけの広いテーブルに着く。これはゆっくり食事ができそうだ。

 午後5時まではランチメニューが注文できるということで、卓上に置いてあったメニューを一通り眺める。海鮮ものから揚げ物、丼ものやうどん、そばもあってけっこう迷ってしまう。複数人で来ているわけではないので懐石系というか松花堂弁当系は何だか気が引ける。別に気にする必要もないのだが……。

 お店の人がお茶を持ってきた時点では決められず少し考えてから呼び鈴を押し、やってきたお店の人に「本日の刺身定食」に「茶碗蒸し」をお願いした。

 …続けざまに旅客機を地上から仰ぎ見たわけだが、これが何かに似ていると思ったらピンとくるものがあった。水族館の大きな水槽でサメやエイを見上げるのに似ていることだ。

 水族館のすごく大きな水槽やあるいはトンネル式の水槽では泳いでいる魚を見上げるアングルで見ることができるが、魚とはいえやはり見下ろすのと見上げるのとでは印象が違ってくるものだ。見上げる旅客機はサメの“裏側”にも似ていたのだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 料理がやってきた。思った以上に立派な見栄えで、ちょっといい感じの旅館の朝食のようでもある。さっそくいただくとしよう。

 味噌汁を啜って少し口を湿らせてからマグロの赤身をいただく。何もいうことはない。広々した席でゆっくり食べられることだけでもじゅうぶん満足といえる。暫しの間ゆっくりしていくものの「ちょっと一杯」はまだもう少し先だ。食べ終えて店を出たら、空を見上げながら家路に就くとしようか。

文/仲田しんじ


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