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世界的に見ても日本にSTEM人材が少ない3つの理由

2022.07.26

世界的にSTEM人材不足叫ばれているが、それは、日本においても同様であり、むしろ少ないほうに入るといわれている。STEMとは、「Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)」のことで、STEM人材は、それらの理数系領域の人材全般を指す。

いま、日本のSTEM人材市場の現状はどうなっているのか、また世界と比べてSTEM人材が少ないといわれる日本の背景と共に、今後、需要があり、稼げる見込みのあるSTEM職種を紹介する。

日本のSTEM人材市場の現状と課題

日本のSTEM人材市場は今、どうなっているのか。それを探るべく、今回は、英国発のSTEM分野を専門とするグローバルな人材紹介会社、SThree(エススリー)の日本オフィスであるSThreeジャパン 代表取締役のChris Reilly(クリス・ライリー)氏に話を聞いた。

【取材協力】

Chris Reilly氏
SThreeジャパン 代表取締役
イギリス出身。イギリスでSThreeに入社し、マンチェスターオフィスにてIT分野のリクルーティングに特化したComputer Futuresのコンサルタントとしてリクルーティングのキャリアを開始。2014年にはマネージャーとなり、マンチェスターオフィス及びイギリス国内のその他のオフィスに所属するチームのマネジメントを行う。イギリスのSThreeでの6年間で200名以上のITプロフェッショナルの転職を支援。
2016年に日本オフィスへと移籍し、当時10人規模だったComputer Futuresジャパンのチームを40名を超える規模のビジネスまで成長させる。2018年から複数のブランドのディレクターを務めたのち、2020年にSThreeジャパンの代表取締役に就任。
https://www.sthree.com/

「STEM分野は、世界的にかなりの人材不足に悩まされており、高い専門性やスキルを持った人材の獲得に多くの企業が苦戦しています。STEM分野においては、特に最先端の知識を持った若い人材が重宝されることもあり、少子高齢化が進んだ日本では人材不足がより深刻な問題となっています。

一方で、スキルを持った求職者にとっては転職がしやすく、良い市場と言うことができます。日本ではまだ終身雇用システムのレガシーがありますが、STEM分野においてはあまり当てはまらず、自分のキャリアゴールに合わせて転職を繰り返す求職者も少なくありません。理由としては、STEM分野はスキルを持っていれば転職が容易にできることに加えて、新たな環境に身を置いて、新たなスキルや経験を身に着けたいという上昇志向を持つ人材が多いという点が挙げられます」

日本にSTEM人材が少ない3つの原因

では、なぜ日本には世界と比べてSTEM人材が少ないのだろうか。クリス氏は、日本におけるSTEM人材不足には主に3つの原因があると、自信の考えを話す。

「1つめは、前述した『少子高齢化』によるものです。若い人材は減っていく一方です。

2つめは『言語の壁』です。イギリスやアメリカなどは自国のSTEM人材が不足していても、英語を話すことのできる人材を海外から獲得することができますが、日本は、海外から人材を獲得する際に日本語を話せる人材を見つけるのは、なかなかハードルが高いものです。

3つめは『学びと就職分野との乖離』の問題です。日本は他国と比べて大学での専攻と、就職する職種に乖離が見られることが多いという特徴があります。そのため、大学でSTEM分野に学んできた学生たちの多くが、そのままSTEM分野の職種、例えばソフトウェアエンジニアやデータアナリスト、メカニカルエンジニア、製薬企業の研究開発やファイナンスなどとして就職するわけではありません。つまり日本には、高い専門性や知識を持ち、即戦力として活躍できる若い人材が少ないことが原因として挙げられます」

STEM分野で需要が期待できる「稼げる」職種とは?

人材不足が叫ばれるSTEM分野は、求職者や転職希望者としてはねらい目といえる。今後、ビジネスパーソンがSTEM分野に学び、スキルアップしたいと考える場合、どんな職種に需要があり、稼げる見込みがあるだろうか。クリス氏に3つ挙げてもらった。

1.ソフトウェアエンジニア

ソフトウェアを設計・開発・運用する職種。

●稼げるポイント

「継続的に非常に高い需要があり、どの分野においても引く手あまたです。2020~2021年の間は、コロナ禍によって外国籍のエンジニアが日本に入国できなかったこともあり、より人材の供給がひっ迫して、大幅な給与水準の上昇が見られました」

2.データサイエンティスト(データアナリスト、データエンジニア)

企業における新たな商品やサービスの創出や業務プロセスの改善のために、大量のデータ(ビッグデータ)を分析する技術者のこと。

●稼げるポイント

「様々なプラットフォームを通じて顧客に関する膨大なデータが入手できるようになった今、それらを分析・活用してより効率的な製品・サービス開発や営業やマーケティング活動を行うために業界や分野問わずデータサイエンティストの需要が高まっています」

3.プロジェクトマネージャー

プロジェクト全体の進行を管理し、予算や品質、納期、成果物に対して責任を持つ役職。

●稼げるポイント

「IT、ライフサイエンス、エネルギーなど、STEM分野の多くのセクターで業界が成長するにつれて利害関係者が増え、多くの仕事がプロジェクトベースで進められるようになりました。結果として、日々数え切れないプロジェクトが始動しており、プロジェクトマネージャーへの需要が正社員・コントラクト契約(ハイクラス派遣や業務委託)問わず増加しています。

基本的にプロジェクトベースで採用を行うコントラクトの契約の場合、正社員よりも給与水準が高くなることも少なくありません。中でもDXプロジェクトの増加が顕著です」

未経験から目指すのはハードルが高いなら…

ところで、これからSTEM分野に新たに飛び込もうとするビジネスパーソンもいるだろう。その場合、少々ハードルが高く感じることもある。例えば、これから勉強したとしても、「自分はこれまで文系だったが、理系分野で通用するのか?」という不安が生じるなどだ。

そんな人に向け、クリス氏は、「トランスファーラブルスキル」を活かすのを勧める。

「未経験からソフトウェアエンジニアやデータアナリスト・データエンジニアを目指すのは容易ではなく、多くの時間を費やして学習することが不可欠なのに加えて、実務経験が採用の要件となっている場合も多いため、スキルアップの方法としては難易度が高いものとなります。

一方で、難易度の低い選択肢があります。それは、すでに持っているプロジェクトマネジメントや営業、マーケティングなどのトランスファーラブルスキル(さまざまな職種や業種で応用できるスキル)を活かして、STEM分野に転職することが挙げられます。

特に、サイバーセキュリティやフィンテックなどは急成長を遂げている分野であることや経験者が少ないことから、同じ営業職やプロジェクトマネージャーであっても、他分野より給与水準が高い傾向にあり、STEM分野でのキャリアを考える際の入り口として注目が高まっています。

STEM分野で働く=理系人材・理系のスキルを持ってないといけない、というわけではなく、文系の人材でもSTEM分野に貢献し、稼ぐことができるのです」

STEM人材は、日本は特に不足しており、今後、不足を補うための動きが活発になっていくと考えられる。今後のキャリアに迷っている人は、自身のこれまでの経験を活かし、STEM分野に挑戦する方法を考えてみることは、決して無駄にはならないだろう。

取材・文/石原亜香利

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