3年以内に宇宙天気予報士を誕生させることが目標
いろいろな意味でとても重要な役割を果たしているように見える花山天文台だが、数年前には最新の観測機材を備える他の天文台を運用するため国からの予算が削減され、一時は存続が危ぶまれたことがある。活動を維持するため一般社団法人花山宇宙文化財団を立ち上げられ、クイーンのギタリストで天文学博士でもあるブライアン・メイ氏も支援のためわざわざ天文台を訪れている。柴田博士は天文台を存続するためにも、世界で初となる宇宙天気予報士を誕生させたいと考えており、資格創設に向けて検討を進めているところだという。
「例えば天気予報士が宇宙天気予報士を目指す場合、力学や流体力学の知識は共通しているが地球の気象には無い電磁気学の勉強が必要になるため、かなり難しくなる。天気予報士の合格率も高くないところにそれ以上ハードルを高くするのか、あるいはもう少し違う考え方をした方がいいのか。いずれにしても、日本から資格を作る責任のようなものがあると考えている」と柴田博士は語る。
宇宙天気予報士の創設に関しては、今年1月に総務省が有識者を集めた「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」開催しており、その中で天気予報士を民間資格として早期に創設することを提言している。天気予報講座に協力するABLab宇宙天気プロジェクトでプロジェクトマネージャを務める、NHKキャスターで気象予報士の斉田季実治氏は、自身が出演するニュース番組で「できれば自分が最初の宇宙天気予報士になりたい」とコメントしている。柴田博士は「できれば3年以内に宇宙天気予報士を誕生させることを目指している」としており、まずは9月から始まる応用編の講座内容がどのようなものになるのか注目したいところである。
文/野々下裕子
フリーランスのライターとしてデジタル業界を中心に国内外の展示会イベント取材やインタビュー記事の執筆を手掛ける。注目分野はデジタルヘルス、ウェアラブル、モビリティ、スマートシティ、ロボティクス、AIなど。神戸市在住。
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