インターフェイスという言葉をさまざまな場面で目にするようになりましたが、その意味は場面によって少しずつ違います。IT・Web業界・生活に身近なシーンで、どのようにインターフェイスという言葉が使われているのか見てみましょう。
インターフェイスの意味とは?
インターフェイスの語源は英語の『interface』で、境界・接点・異なる二つのものを仲介するものといった意味を持ちます。使われる場面によって、意味合いが少しずつ変わることを覚えておきましょう。
インターフェイスの意味は場面によって変わる
語源は同じでも、使われるシチュエーションによって言葉の意味は変わるものです。カタカナの『インターフェイス』は主にIT・Web業界で使われており、I/FあるいはIFと表記されるケースもあります。この場合は、接続の規格やデータの形式を表すこともあります。
ただ、他の分野で使われているインターフェイスは、その場面によって少しずつ意味が変わってくる点に注意しましょう。例えば、医療現場では呼吸器をつなぐために患者に装着するマスクを意味したり、ビジネスシーンではより広い意味合いで使われたりもします。
IT業界でのインターフェイスの意味
インターフェイスは、IT業界でよく使われる言葉です。具体的には何を指して用いられるのでしょうか?主な3パターンに分けて、IT業界におけるインターフェイスの意味を解説しましょう。
ハードウエアインターフェイス
ハードウエアとは、パソコン本体やディスプレイ・プリンターなど、コンピューターを動作させるために必要な機器のことです。
機器と機器、つまりハードウエア同士をつなぐ共用部分がハードウエアインターフェイスです。機器をつなぐ際は、コネクタの形状や規格・データの送受信方法が同じでなければ接続できません。
そのため、接続先の機器がどのようなインターフェイスを備えているかによって、つなぐことができる機器が決まります。
例えばUSBケーブルを使ってパソコンとプリンターをつないでいる場合、パソコンとプリンターを仲介するインターフェイスはUSBということになり、USB以外のコネクタでは接続できません。
ゲーム機とコントローラーやディスプレイをつなぐコネクタも、インターフェイスの一つです。
ソフトウエアインターフェイス
ソフトウエアとはコンピューター上で動くプログラムのことです。ソフトウエアインターフェイスは、プログラムとプログラムを仲介するインターフェイスを指します。
プログラム間でデータをやり取りするためには、送受信の手順・データ形式が決まっていなくてはなりません。『互換性がある・ない』と表現します。プログラムのインターフェイスが一致していれば互換性があるということになり、データのやり取りが可能です。
ソフトウエアインターフェイスの中でもよく知られているものとして、『API(Application Programming Interface)』があります。APIとは、異なるソフトウエアやアプリケーション同士を連携させるための窓口です。
例えば、Google Maps APIは、地図を表示させるために店舗の公式ホームページ(Webアプリケーション)で使われています。APIにより、Google Mapが提供している地図機能を、そのまま店舗のホームページと連携できるのです。
ユーザーインターフェイス
ユーザー(機器を使う人)が機器やシステムを操作するためのものを『ユーザーインターフェイス(UI)』と呼びます。
ディスプレイやキーボード・マウス・ボタン・スイッチなど物理的に触れられるパーツだけでなく、ホームページ上にあるボタン・ECサイトのショッピングカートなどもUIに含まれます。
これらは全て、ユーザーと機器・システムをつなぐ接点(インターフェイス)となるものです。特に画面上にあるアイコンやボタンなどはGUI(Graphical User Interface)と呼ばれます。
何かをするときの作業効率は、UIのクオリティーで決まるといってもよいでしょう。例えば、ゲームのプレーヤーが直感的にプレイできるかどうかは、ゲーム機やゲーム画面のUIにかかっています。
その他の場面で使うインターフェイス
IT・Webの分野になじみがない人にとっては、ソフトウエアインターフェイス・ハードウエアインターフェイスなどの意味合いはつかみにくいかもしれません。他の場面で使われるときの意味合いもチェックして、言葉のニュアンスを把握しましょう。
家電製品では
一般的にユーザー(利用者)と製品・サービスとの接点は、全て『ユーザーインターフェイス(UI)』と呼ばれます。家電製品でもUIは重要な役割を果たしています。使い勝手のよさは商品の売上に直結する要素です。
例えば炊飯器には、タッチパネルで炊き上がり時間を設定したり炊き方(ご飯・おかゆ・玄米など)を選んだりという機能が備わっているものがあります。このタッチパネルもUIです。
特にハイエンドクラスの家電製品は、必ずといっていいほど各種の設定画面やボタンなどが、UIの使いやすさを意識して作られています。
ビジネスシーンでは
ビジネスシーンでは、人とモノ・モノとモノ・人と人をつなぐ媒体を指して、広い場面で使われているケースが多いでしょう。
「このパソコンはインターフェイスがイマイチだから改善してほしい」という場合は、『パソコンの使い勝手が悪い』『操作しづらい』という意味になります。
「Web画面のユーザーインターフェイスがダメだからCSが落ちている」であれば、『自社のホームページが分かりづらいので、顧客満足度が下がっている』という意味です。
医療現場では
医療現場でも、インターフェイスは基本的に機器と機器を仲介するものを意味する言葉です。ただ、他にも特別な意味で用いられる場合があります。例えば呼吸器のインターフェイスは、主に患者の鼻や口に被せるマスクを意味します。
これはIT業界で使われるインターフェイス3種類のニュアンスとは、少し異なる使い方といえるでしょう。
また、近年注目されているのは、患者と医療従事者とのやり取りをスムーズに進めるために導入される『会話型インターフェイス』です。本来は患者と医療従事者が対面して行うやり取りにAI(人工知能)を介在させることによって、医療従事者がスケジュール調整などの業務から解放されます。
医療現場での会話型インターフェイスは、患者と医療従事者双方の負担を軽減し、より質の高い医療提供に貢献しているのです。
構成/編集部