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【カブガールが行く】人生一度は飛んでみたいパラグライダーフライトの魅力

2022.07.24

長野県伊那市にある『ASOBINA(アソビナ)』では、伊那市の大自然を舞台に様々なアクティビティを楽しむことができます。

普段はバイクに乗って陸を走る筆者ですが、パラグライダータンデムフライトに挑戦することに。

果たして人生初の空の旅は楽しめるのでしょうか!?

前回の記事はこちら

パラグライダーの仕組み

テイクオフポイントの芝生にパラグライダー本体が広げられます。そのサイズは電車1両分ほどでしょうか。想像以上の大きさに「えぇ~っ!」と思わず声が出てしまいました。

呉本社長「これはタンデムフライト用で、翼面積は大体42平方メートルぐらい。一人用のパラグライダーだと24平方メートル前後のものが多いから、かなり大きく見えますよね」

前回お伝えした通りASOBINAを運営する株式会社ERUK(エルク)代表の呉本圭樹社長は、アジア大会2018ジャカルタでの金メダル獲得をはじめ数々の大会で成績と記録を残されているプロ選手。パラグライダーを熟知している方なのです。

よく見てみるとパラグライダーは単純な1枚の布ではなく、袋状で穴がいくつもある構造になっています。2枚の布の中に空気を取り込むことで浮力が得られるのだそう。

たくさんの紐が繋がっているのは操作のため。どこに繋がっているのかがわかりやすくなるようカラフルに色分けがしてあるのだそうです。

パラグライダー本体と人間はハーネスという道具を使って繋ぎます。ハーネスには様々な形があり、今回はバックパックのように背負うタイプ。

立っている間は膝ぐらいまで垂れ下がっていますが、飛び立ったあとは腰の位置から折れ曲がり、椅子のように座ることができます。

万が一にも落下することがないよう身体はたくさんのバックルやベルトで、パラグライダー本体とは太くて丈夫な専用のカラビナを使って接続します。

いざ、空の旅へ!

すべての準備が整ったらいよいよ飛び立ちます!

呉本社長「それでは高木さんには、今からこの坂道を全力で駆け下りてもらいます。僕がOKと言うまで、ちょっと宙に浮いたとしても足を動かし続けてください」

目の前に広がるのは、歩いて下りるにも恐ろしいほど急な山の斜面。駆け下りるというよりも転がり落ちると言った方が正しいのではないでしょうか。

全力で走るのって何年振りだっけ?途中でコケたらどうなるの?…というか、風がさらってくれるんじゃなくて自力で走らなきゃいけないのか!

衝撃と恐怖で目も口もポカンと開いてしまいました。

考える間もなく、すぐに呉本社長の「走って!」の掛け声。えぇい、ままよ!と足を踏み出したのでした。

そこから出来事はまるでスローモーションのよう。

走り始めてすぐ身体の重さに驚きました。坂道を駆け下りているはずなのに、水の中にいるように進まないのです。

理由は風を受けていたため。私には見えていなかったのですが、背中に繋がれたパラグライダーが一瞬のうちに空気を含んで膨らんだのです。

強い力で後ろに引っ張られて背中が反り上がり、今にも転がり落ちそうになりなったその瞬間…巨大な手で拾い上げられたようにフワッと身体が浮き、思ってもいないスピードで前へと滑らかに進み始めました。

半分ぐらいパニックになり、自分の口から聞いたことがないような悲鳴が勝手に溢れ出ます。

宙に浮いた後もなんとか必死で足を動かし続け、数秒後に呉本社長から「OK、足止めて座って!」と声がかかりました。

全身に風を浴びながら、上昇気流に乗って一気に高度を上げました。

時々ガタンと揺れるものの不思議と落ちそうな恐怖感はありません。何者かにつまんで持ち上げられているような…もしくは目に見えないエレベーターで急上昇しているような感覚です。

呉本社長の操作でゆっくりと旋回して180度方向を変えると、足元にはさっきまでいたテイクオフポイントがジオラマのように小さく見えました。

慌ててあたりを見回すと、急に頭の中に視界の情報がなだれ込んできました。

山、街、畑や川。空気が澄んで視界が良いのか気分が高まっているのか、いつも見ている世界よりも彩度が高く、クッキリと美しく見えるような気がします。

なによりも不思議なのが足元を見た時です。田んぼや蕎麦畑、りんご畑の上をまっすぐツーっと、透明な道の上を滑っているみたいに進んでいくのです。自分が進んでいるのか、それとも地面が勝手に動いていくのか。徐々に区別がつかなくなってきました。

「現実に起きてることとは思えないな…」

思わず口にすると「そういう感想はよく聞きます」と呉本社長。

過去の参加者にも「夢かと思った」「CGみたい」という感想を抱いた方々が多いのだとか。あまりにも非日常的な景色は人から現実感を奪うのですね。

時間の経過とともに気持ちが落ち着き、空を飛んでいることにも慣れてきました。ゆっくり眺めると360度すべてが絶景。視界を遮るものが一切ない贅沢な空間が広がっていました。

真っ直ぐ見れば南アルプス、振り返れば中央アルプス、見上げれば絵画のように真っ青な空。初夏の植物たちは青々と元気よく育ち、足元を小さく鳥が飛んでいます。

なぜか感受性までが強くなるようです。軽トラが細い農道を走っているところを見て、自分が知らない街で人々の営みが続いていることに感動を覚えるほど。

日本の…いや。伊那の景色には心の汚れを洗い流す力があるようでした。

下界への帰還

「あそこの芝生に着陸します」

そう言いながら呉本社長が指さしたのは、田んぼ1枚分ほどの平らな土地。思わず「狭くないですか!?」と叫んだのは、てっきり飛行機の着陸のように長い滑走路を使って着陸するものだと思っていたから。

狭い範囲で旋回しながらあれよあれよという間に高度を落とし、さっきまでジオラマだった地面が急スピードで拡大されていきます。

突然リアルになった高度に恐怖を感じずにはいられません。

「ウソでしょ、無理!」

離陸の時以上の悲鳴をあげながら降下し、地面に足が付いたと思ったらそのまま腰が抜けてへたり込んだのでした。

しばらくは身動きが取れずボーっとしていましたが、ハーネスを取り外してもらって我に返りました。

「夢、だったのかな…?」

着陸直後ですらそう思うほどに現実味がなく、真夏の幻のような出来事でした。

立ち上がると自分の手足がいつもの倍ぐらい重く感じ、急に暑くなって体に汗をかき始め、ようやく現実に戻ってきたことをじんわりと実感したのでした。

取材協力:ASOBINA(アソビナ)
〒396-0029
長野県伊那市横山9300番地

写真撮影:ナガノスペース

文/高木はるか

アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。

高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com

編集/inox.

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