ここ数年で目覚ましい発展を遂げている、VR(バーチャルリアリティ)機器。購入し、実際に使ってみたいと思うものの、値段に見合う楽しみ方ができるのかわからない、身体を動かすのは不得意だから合わなさそう……といった理由でなんとなく敬遠している人は多いのではないだろうか。そこでおすすめしたいのが、2022年6月に発売された『Pico Neo3 Link』だ。100種類を超える専用のゲームアプリが本体に内蔵可能で、場所を問わずプレイすることができる。もちろんPCと接続して、PCVRでも遊ぶことができるため、遊び方の幅はとても広い。プロゲーマーライター・すいのこが実際に遊び尽くして分かった、『Pico Neo3 Link』の真の魅力を紹介しよう。
デバイス単体でもPCに繋いでも遊べる、優れモノVRヘッドセット
DIMEでライターとして働く傍ら、ウェルプレイド・ライゼストに所属するプロゲーマーとしても活動しているライター・すいのこ。最近誌面やテレビなど、様々な場所でVR機器を目にする機会が増えてきた。興味はあるけど、どうやって遊べば良いのかわからないし、買ってもすぐに飽きてしまうのでは……そう思い、なかなか手が出せずにいた。
そんな中、担当編集のチバから教えてもらったのが、2022年6月に発売されたばかりの『Pico Neo3 Link』だ。100種類を超える専用ゲームアプリを本体に内蔵でき、デバイス単体で遊べるスタンドアローン型のVRデバイスだ。PCに接続することで、PCVRのコンテンツを遊ぶこともできる。最新型のVRデバイスが気になったすいのこは、実際に『Pico Neo3 Link』でいろいろなゲームを遊んでみることにした。
抜群の装着感と最高画質のプレイ環境
従来のVRデバイスは本体前方のディスプレイ部にバッテリーが集約されているが、『Pico Neo3 Link』のは後方のバンド部に内蔵されている。前後での重量差が減りバランスが良くなっており、安定感に優れている。実際に数時間ヘッドセットを装着し続けていても、あまり肩こりや頭の重さは気にならなかった。またヘッドセットの横側に凹みがあり、メガネを装着したままでもヘッドセットを被れるのは非常に便利だと感じた。
ディスプレイは4K解像度(3,664×1,920ピクセル)、773PPIの5.5インチSFRTFTディスプレイを搭載。リフレッシュレートは90Hzと120Hzに対応しており、非常になめらかで綺麗な映像を楽しめる。そして『Pico Neo3 Link』の特徴の一つが、PCとの接続にディスプレイケーブルを用いている点だ。接続にUSBケーブルを使用している従来のスタンドアローン型VRデバイスと異なり、非圧縮の映像情報を出力可能。画質の劣化が起こらないため、最高の画質でゲームをプレイできる。
自分の見ている角度や向きに応じて見える映像が変わるのがVRの特徴だが、『Pico Neo3 Link』は頭の回転や傾きに加えて、前後左右の動きも反映させることができる6DoFに対応している。装着しながら歩くと、動いた方向に画面も移動するため、実際にVR空間内を自分の足で歩いているような体験ができる。
バンドの調節はダイヤル式となっており、ヘッドセットを装着したままでも締め付けの調整が簡単にできる。
収録ゲームを遊び倒して分かった『Pico Neo3 Link』の実力
まずは卓球、ゴルフ、ボウリングなど11種類のスポーツを体験できるゲーム『All-In-One Sports VR』をプレイした。すいのこは学生時代帰宅部だったので、運動にはあまり自信がない。その中でもまだ動ける方だったという卓球を遊んでみた。
手で握るコントローラーがラケットになるが、持つ手の向きに応じてラケットの表面と裏面を使い分けることができる。スマッシュやドライブ、カットなど現実だと習得が難しいテクニックが比較的簡単に出せるため、爽快感はバツグン。しかし、タイミングや球を打つ手の角度はしっかり合わせる必要がある。合わせさえすれば相手のコートに球は飛ぶようになっている。リアルよりも簡単だけど、ほどよくリアルに近い操作感を要求されるため、不得意だなと思っている人でもお手軽に本格的な卓球体験が楽しめるようなつくりになっていると感じた。
左右に飛んでくる球を打ち返すために移動しながら腕を振るという動作を続けるため、運動効果はかなり高い。当然かもしれないが、周囲に何もない安全な場所でプレイしよう。
同ゲーム内に収録されている別タイトルのアーチェリーをプレイしてみた。右利きの場合、左手のコントローラーを体の前に出すことで弓を構える。右手のコントローラー背面についているトリガーを人差し指で押しながら腕を引くと矢を引き、トリガーを離すと矢を打つ。実際に弓を構えて矢を撃つ動作に近い操作感でアーチェリーを楽しめる。矢を引くと的がズームされて細かく照準を合わせられるようになるが、手ブレが激しくなるため的をよく狙わないといけない。少し慣れがいるように感じたが、慣れてくると的の中心を狙うために試行錯誤するのがとても楽しめた。
学生時代アーチェリー部に所属していたというカメラマンにも試してもらったが、想像以上にリアルで、普段ゲームをしない自分でも楽しめたと語っていた。
次にプレイしたのは『Counter Fight ICHIRAN』。全国的にチェーン展開している天然とんこつラーメン専門店『一蘭』の従業員となって、注文されたオーダー通りにラーメンを作るという異色のシミュレーションゲームだ。麺を掴んで茹でたり、湯切りやトッピングを入れたりするラーメン作りの工程だけでなく、完成して15秒以内に客に提供し、お辞儀をして暖簾を下ろす一連の動作を行う。実際の接客マニュアルに沿っているかのようなオペレーションが要求され、普段プレイしているコントローラーを両手で握るようなゲームでは決して得られない体験だと感じた。
提供するまでのスピードや盛り付けの美しさなどがスコアとして評価される。ラーメン以外にサイドメニューの注文も承ることができる。
VR体験を味わうのにうってつけのデバイス
VRゲームに対して、身体を大きく使うため、運動神経が要求されると思っていたすいのこ。しかし実際にプレイして、VRのスポーツゲームは本格的な部分と適度なカジュアルさのバランスがとても良く、「ひょっとして実はうまいんじゃないか?」と思わせてくれるような楽しさを味わえた。他にもシミュレーションゲームやパズルゲーム、シューティングゲームなど多種多様なジャンルのゲームが数多くリリースされており、ひとくちにVRゲームといっても色々なタイプのゲームがあることがわかった。
一人でVRの世界に没頭するのはもちろん楽しいが、多人数で遊んでも楽しめるようにPCのモニターに映像をワイヤレスで出力することが可能になっている。一緒に考えながら謎解きゲームを楽しんだり、他の人のプレイングを見ながらスコアを競い合ったりと、遊んでいる様子とゲーム画面を観ながらワイワイと楽しめるのも魅力だ。
『Pico Neo3 Link』スタンドアローン型なので、自由に持ち運んで遊ぶことができる。またPCVR用ゴーグルとして見ると、2022年7月現在、現行モデルは10万円近くするものが多い中、4万円台で非圧縮の映像出力が可能な唯一のデバイスとなる。今後VR関連分野の発達が大いに期待されている今、使い勝手の良さと性能の良さが高水準でまとまっている『Pico Neo3 Link』でVRデビューを果たすのはいかがだろうか。
PC上に画面を映すには、同じネットワークに接続した状態で本体側から発行される共有用URLをPC側で入力して接続する必要がある。
■商品概要
商品名:Pico Neo3 Link
発売日:2022年6月24日
価格:4万9280円 (税込
ディスプレイ:4Kレベルの解像度(3,664✕1,920、1,832✕1,920/眼)、PPI:773、
フレームレート72/90Hz/120Hz 、視野角 98 度、瞳孔間距離3段階調節(58/63.5/69mm)
CPU:Qualcomm® SnapdragonTM XR2プロセッサ、
内部ストレージ:256GB、RAM6GB
バッテリー:5300mA(連続使用時間:ゲーム3時間、動画再生2.5時間))
大きさ:190ミリメートル(長さ)*135ミリメートル(幅)*112ミリメートル(高さ)
重量:385g(ストラップなし)、642g(合計)
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【取材したライター兼プロゲーマープロフィール】
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー、ライター。本名・桑元康平。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務を経て、2019年5月よりeスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド・ライゼスト株式会社のスポンサードを受け『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのプロ選手として活動開始。近著に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』ほか、ライターとしても精力的に活動する。