小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

世界で800万以上ダウンロードされた大人気リズムゲーム「Arcaea」のルーツは日本の〝創る〟文化にあった!

2022.07.24

モバイルゲームの開発・運営を行う英国発の企業lowiro limitedは、全世界で800万ダウンロードを超えたモバイル向けリズムゲーム『Arcaea(アーケア)』の第5弾となるメジャーアップデートを7月7日にリリースした。今回のアップデートでは、メインストーリーの完結編となる『Final Verdict』パックが追加され、新曲や新しいコースモードが登場するという。今回は、それに合わせてクリエイターのAnton Prydatko(アントン・プリダトコ)氏にインタビューを行った。

日本のアーケードシーンに強い影響を受けて作られたリズムゲーム

『Arcaea』は、日本のアーケードシーンに強い影響を受けて作られたリズムゲームで、日本の音楽ゲームでのプレー体験とそのコミュニティを世界に広めることを目標に制作された。2017年のリリースから5年間で800万ダウンロード超の人気を誇り、日本以外にも中国のアジア諸国や米国を主とする熱狂的なコミュニティに支えられているタイトルだ。その人気を受けて2021年4月30日には『Nintendo Switch』版も発売された。今回のアプリ版アップデートでは、初めてプレーする人にも既存のプレーヤーにも楽しめるように、完結編である『Final Verdict』以前のメインストーリーパックを期間限定でリーズナブルに購入できる『メインストーリークロニクル』セットを提供。これまでのメインストーリーパックである『Eternal Core』、『Vicious Labyrinth』、『Luminous Sky』、『Adverse Prelude』、『Black Fate』が『メインストーリークロニクル』にはすべてが含まれる。すでに所有しているパックがあれば、その数に応じて価格は変動するという。機能面では、楽曲やキャラクターの「お気に入り」機能に加えてアプリ全体のビジュアルも刷新。新モード「コースモード」は、あらかじめ決められた4曲を連続でプレーすることで、プレーヤーが腕試しできるモードになっている。コースを構成する楽曲は『Arcaea』の有名曲や悪名高い難曲など『Arcaea』の個性があふれる内容。そんな厳しい試練を踏破したプレーヤーは、クリアしたコースに応じたネームプレートが授与される。そんな新要素を追加した『Arcaea』だが、アントン・ブリダトコ氏は製作について次のように語ってくれた。

「私自身が日本に住んでいたこともあり、東京の商店街にあるゲームセンターで何年も音楽ゲームを楽しんできました。当時、ひとりの熱心なファンとして感じていた、新しいコンテンツやイベントなどのアップデートを楽しみにしていたワクワク感や経験が同じジャンルのリズムゲーム『Arcaea』を全世界にリリースするきっかけとなりました。『Arcaea』のもっともユニークな点は、豊かなストーリーと密接に絡み合った楽曲群とプレー体験そのものです。もちろん継続的な定期アップデートなどもその一端ではありますが、いわゆるボスとして登場する楽曲の演出なども含めて、そういった独特なゲーム体験が、ただ腕を磨く以上の音楽ゲームの魅力を引き出していると思います」

今回のアップデートでは、『Final Verdict』以外にも4曲の新曲を追加。そのうちの1曲である名曲『PUPA』は、『モリモリあつし』さんが手掛けた楽曲。さらに初登場となる『Axiom of the End』は、ストーリーとゲームプレーをかつてない形で連動させた特殊な試みで、プレーヤーは数々の難解なミッションや謎掛けをクリアしていくことで、ともに『Final Verdict』のほとんどの楽曲を解禁していく事ができるという。『Axiom of the End』は自力で踏破するものではなく、コミュニティと協力することでクリアできる仕様で、物語の結末に辿りつくためにはプレーヤー同士での情報共有などの助け合いが必要不可欠になっているという。

「『Arcaea』の世界観やストーリーは、元々はほかにないゲーム体験を作るために構想したものでした。けれど、この5年間の道のりの中で、ほかでもないその世界観とストーリーこそが、ここに至るまでの道標として磨かれ続けてきたと思っています。どのような経過で、どのような終わりを迎えるのか、その問いに答える形で今に明確につながっています。ただ季節性のあるものや流行を追いかけるだけでは実現できなかった、はっきりとした指標になりました。この2年間で数十回ものアップデートをリリースしてきましたが、これが最新かつ最後の「メインストーリー」のアップデートになります。新たな機能や楽曲、ストーリーはもちろん、過去最大規模の隠しコンテンツを詰め込んで、『Arcaea』を新しいレベルに押し上げる、大きな節目となるアップデートとなりました。中でも注目のポイントはふたつです。数多の秘密が隠された「Axiom of the End」システムと、ほかでもないメインストーリーの衝撃的な幕引きです。私たちにとってもプレーヤーのみなさんにとっても、今回のアップデートは5年間の集大成であり、『Arcaea』の意味するすべてとなるでしょう」(アントン・ブリダトコ氏)

日本のアーティストの楽曲やイラストを採用

英国産のゲームアプリでありながら、日本のアーティストの楽曲やイラストを採用しているのも『Arcaea』の大きな特徴といえる。英国のゲーム市場や日本のカルチャーなどについての感想なども聞いてみた。

「英国と日本にメインの拠点を置いていますが、lowiroにとって英国のゲーム市場はメインのターゲット層ではないため、ゲーム業界のトレンドについてはそこまで注目しておりません。主に日本やアジア圏で何が流行っているのかを注視しています。ただ一般的に英国のモバイルゲーム市場では、カジュアルゲームやハイパーカジュアルゲーム、スポーツゲームなどが非常に大きな割合を占めています。一方で日本のゲームは、昔から欧米市場で定番のコンテンツとして親しまれています。伝統的に大型タイトルやRPGなどストーリー性のあるゲームの多くが欧米向けにローカライズ・発売され、歴史的にも大きな成功を収めてきたように思います。モバイルゲームについては、最初は欧州で人気のゲームが新興市場で人気を集める傾向がありましたが、時期を追って多くの日本製ゲームを見かけるようになり、またそれが独特なファンベースを作り上げていると思います。特にここ数年はアニメ調やキャラクター主導のゲームが世界規模で注目されているようにも感じます。『Arcaea』を制作する上では、統一されたビジュアルや軸がブレない世界観を提供するために、日本を拠点とするアーティストの方々に依頼をすることが多かったです。もちろん日本限定で選んでいるというわけではありませんが、独特な作風やクリエイティブさを備えたイラストレーターが日本に在住していることが多いと感じています。特にここ数年で、そんな個性豊かな部分が世界中に広がって、さまざまなメディアや文化に強い影響を与えていると思います」

クリエイターとしてのアントン・ブリダトコ氏自身のルーツや心がけていることについても質問してみた。

「『Arcaea』の開発者であるということからもお察しいただけるかもしれませんが、音楽・リズムゲームの大ファンです。特に最近では、ゲーム内のストーリーとゲームプレーを結びつけたユニークな体験を提供するような、ストーリーを基軸にしたゲームに注目しています。最近の私のお気に入りは、一切の会話やセリフもなく物語を展開する『Outer Wilds』やゲームのストーリーが常に変化し、それに合わせてゲームそのものや体験が変化する『Inscryption』ですね。AAA級タイトルによくあるような、同じ体験をより高度に磨き上げることを目的としたゲームが多い現代において、人々の予想をいい意味で裏切って思いもしない展開に進むゲームは、まさに宝石のような存在だと思っています。そして私は、幼い頃から日本のゲームやアニメの大ファンで、その後にイラストレーターにも強く興味を抱くようになりました。同人作品やイラスト、音楽、サブカルチャーなど、そもそも日本に根付いている『創る』文化こそが私のゲーム開発へのモチベーションになっています。自分が影響を受けた作品と同じようなものを作って楽しむという文化が盛んなため、私自身も数年かけて多くのクリエイターを巻き込みながら、その方法で何か新しいものを創りだしていきたいと思っていました。欧米では、いわゆる大企業や巨大メディア、セレブリティが中心になって多くのカルチャーの方向性を生み出していますが、日本では個人ベースで活動するクリエイターを取り巻く幅だったり仕組みだったりなどの環境がより充実していると感じています

最後にゲーム制作の魅力についてと今後の展開などについても語ってもらった。

「ゲーム制作という仕事の魅力は、仕事を通じて世界中の人たちとより直接的に関わることができ、また自分の仕事の成果をより間近で見ることができることだと思っています。ユーザーやお客さまとの距離が遠いような業界とは異なり、ゲーム業界では自分たち開発者の判断や労力がどのようにプレーヤーの心に届いて、どう響いたのかがよりダイレクトにわかります。特にインターネット上では、良くも悪くもゲームに対する感想や意見が率直に語られることが多いので、ゲーム開発者にとっては貴重なモチベーションの源になります。ここ数年の私もまた、そういったプレーヤーの皆様からいただく熱い意見や感想を原動力にして励んできました。とにかく「素晴らしい」と思えるものを作ることに尽きると思っており、利益を上げるためだけや強力なマーケティングの力でゲームを成功させるだけでなく、開発者自身がそのゲームをプレーしたいと感じた上で作ったことを誇りに思えるようなゲームが必要だと感じています。『Arcaea』の運営自体は継続しますが、アップデートは一旦休止します。その間、次に挑戦するものを見つけたいと思います。もっと大きく、もっと野心的な次の課題を。これからはそこに全力で取り組んでいきたいと考えています。長い間、『Arcaea』のご愛顧と応援、本当にありがとうございます。ゲームのエンディングには衝撃を受けるかもしれませんが、決して希望を手放さないでください。そして、これからの私たち、lowiroの活躍にご期待いただけたら嬉しいです」

Anton Prydatko(アントン・プリダトコ)さんプロフィール

1992年生まれのクリエイター。プログラマーとして、インディーゲームや音楽ゲームの開発に携わるほか、複数のビジュアルノベルの制作にも関わり、『ジュニパーズノット』を『iPhone』/『iPad』に移植する作業も担当。日本での会社勤務を経て2016年に英国にてlowiro limitedを設立。2017年に自身がUI、デザイン、アート、サウンドディレクションを手掛けるリズムゲームのモバイルアプリ『Arcaea』をリリース。多彩なアーティストの楽曲と、美麗なグラフィックを交えて謎多きストーリーを紐解く、新世代リズムゲームとして人気を博す。

タイトル:『Arcaea(アーケア)』
ジャンル:リズムゲーム
プラットフォーム:『iOS』/『Android』、『Nintendo Switch』
価格:アプリ版無料(アプリ内課金あり)、『Nintendo Switch』版4400円(税込み)

iOS
Google Play

https://arcaea.lowiro.com/ja

取材・文/久村竜二

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。