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TikTokで踊る〝おじさんティックトッカー〟がZ世代にウケている理由

2022.07.22

若い世代の間で人気の短尺動画サービス「TikTok」。最近では“おじさん”社員が企業のブランディングや採用活動の一環として、ダンス動画を投稿するケースが増えてきている。中には、バズり、一躍有名になったおじさんたちもいる。果たして、どのようなねらいがあり、どのような効果が得られているのか。そしておじさんならではの魅力も気になるところ。3つのおじさんティックトッカーにインタビューを行った。

1.「おじキュン!」~岡山県和気町の地元をPRする腹巻き4人組

岡山県の和気町にゆかりのあるおじさん4人組「おじキュン!」は、おじさんティックトッカーの中でも特に注目を集めている。スーツ姿にカラフルな腹巻きをしておじさん4人が独特のダンスを繰り広げ、町の魅力をアピールする動画は、3ヶ月で1,600万回以上の再生回数を記録。2022年7月中旬時点でフォロワー数は3万6,800万人と大人気のアカウントとなっている。

●TikTok投稿を始めたきっかけ

いったい、なぜTikTok投稿を始めたのか。緑腹巻きの「とーちゃん」こと白瀬琢臣氏は次のように回答する。

「50歳を過ぎて、少子高齢化社会の現実があり、寂しくなっていく生まれ育った和気町を見て、今のデジタル文化であるSNSを活用して地方創生・地域経済の活性化と町おこしに挑戦してみようと考え、賛同していただける方たちに声をかけました。そして生まれも育ちも和気町の4人が集まり、今年1月より活動を始めました」

メンバーは、赤腹巻きの「みのちゃん」こと山本稔氏(67歳)、黄腹巻きの「りょうちゃん」こと神﨑良一氏(66歳)、青腹巻きの「けんちゃん」こと大富謙司氏(52歳)、緑腹巻き の「とーちゃん」こと白瀬琢臣氏(52歳)の4名。もともと、どんな関係だったのか。

「私、とーちゃん(緑腹巻き)はまず、幼稚園からの幼なじみであるけんちゃん(青腹巻き)に声をかけました。そしてけんちゃん(青腹巻き)は知り合いのみのちゃん(赤腹巻き)に声をかけ、みのちゃん(赤腹巻き)は、町おこしに熱い想いを持った和気町議会議員のりょうちゃん(黄腹巻き)を連れてきてくれ、4人がそろいました」

●反響

@ojiqun ❤️💛💚💙おじ流行りに挑戦してみたよ!#岡山 #和気町 #おじキュン!#ちゅきちゅきハリケーン #なにわ男子 #おすすめ ♬ ちゅきちゅきハリケーン – なにわ男子

TikTok投稿を初めて半年。これまでにどのようなリアクションがあったのだろうか。

「おかげさまで、投稿動画がバズって、Twitterのトレンドニュースで3位になり、新聞に取り上げてもらい、テレビにも出演させていただきました。練習・撮影時に声をかけられて一緒に写真を撮ったりすることもあります。地元のイベント、新聞やテレビの取材と出演、動画のコラボ依頼などの対応が増加しています」

各メンバーもさまざまな反響を受けているそうだ。

「みのちゃん(赤腹巻き)は、バレーボールの教え子たちより『動画、テレビを観たよ』と声をかけられるそうです。塾経営をしているりょうちゃん(黄腹巻き)は、過去の教え子から『先生、すごい!』と連絡が入ったそうです。町内でも、出会う人から声をかけられるとのことです。けんちゃん(青腹巻き)は、仕事中に取引先でも『新聞を読んだよ。すごいことしてるな』と声をかけられているそうです」

●おじさんならではの魅力

TikTokでは、まだおじさんが踊る動画はものめずらしい。白瀬氏はどのような点が魅力と思っているのか。

「若者文化であるSNSの中で、平均年齢59歳のおじさんが、流行のダンスにチャレンジしていること、真剣に頑張っている姿、スマホからの田舎の雰囲気など、そのギャップとインパクトが、投稿の魅力になっていると感じています」

●TikTok投稿による効果

TikTok投稿により、さまざまな効果を得られているそうだ。

「まずは、SNSやスマホアプリの使い方を勉強して毎日、関わることにより、慣れ親しみ、スキルアップしたと思います。この歳になり、色々な生活環境の中で、地方創生・地域経済の活性化を目標とし、学生時代の部活動のように楽しんでいます。

そして田舎に居ながら旧交を温め、新しい人と出会い、知人友人が増えました。町おこしについても、岡山県和気町の認知度がアップし、海外のフォロワーさんもできて、外国メディアにも取り上げてもらい、たくさんの応援を手応えとして感じています」

まだ半年と始まったばかりのアカウントであることから、この先の発展に期待したい。

2.三陽工業~採用効果がすごい!個性あふれる4名のおじさん社員

研磨・塗装といった製造業などを営む、兵庫県に本社を構える三陽工業は、広報グループがTikTokにおじさんダンス動画を投稿している。2022年6月末時点のフォロワー数は5万7千人で、最大再生数は440万回、累計動画再生数は2,600万回という。

主な登場人物は4名。取締役 人材戦略部長の小杉義明氏(56歳)、監査役の徳岡英樹氏(55歳)、管理課長の西弘誠氏(44歳)、顧問の森本憲二氏(73歳)の4名だ。ただ踊るだけでなく、さまざまな工夫を凝らして、ユニークなパフォーマンスを繰り広げている。

●TikTok投稿を始めたきっかけ

TikTok投稿を始めたきっかけについて、広報の加賀史穂理氏は次のように話す。

「三陽工業では、2016年に広報グループを立ち上げ、それ以降、TwitterやInstagramなど色々なSNSを運用してきましたが、TikTokには手を出せずにいました。理由は、Z世代向けの短尺動画で何を伝えたらいいのか分からなかったことと、他のSNS運用も行っている広報グループだけでは運用がむずかしいのではと思っていたからです。しかし、取締役人材戦略部長の小杉が『三陽工業でTikTokだけ行っていないよね?僕やってみたいんだけど、チャレンジしてみない?』と声を挙げたのです。三陽工業のテーマに『やったことがないことをやってみよう』という言葉があります。その言葉にのっとって、代表取締役の井上直之(44歳)も広報グループも乗り気になり、まずはやってみよう!ということで2021年2月にアカウントを開設。発案者の小杉を筆頭におじさんTikTokがスタートしました」

そもそもTikTokアカウントの目的はどんなことにあるのだろうか。

「目的は採用です。TikTok以外のSNSに関しても三陽工業を多くの方に知ってもらい、採用につながればと考えています。しかし、TikTokははじめから採用に関する大きな効果を見込んでスタートしたわけではありません。先述の通り、まずは『なんか楽しそうだからやってみよう!』という理由でスタートしました」

●コンセプト

@sanyoukougyou 10テイク目で😎 #おじきゅん #おじさんtiktok #三陽工業 #fypシ #xyzbca #funnyvideos #サングラス ♬ Deep Coughing – user3488332569599

この三陽工業のアカウントのプロフィール欄には、「広報グループが【役員】小杉さん【課長】西弘さん【監査役】徳岡さん【72歳】森本さんに無理を言うアカウント」と書かれている。これにはどのような意味があるのか。

「発案者である小杉を筆頭に、4名のおじさんたちで構成されています。必然的にネタの考察は広報グループで担当することになりました。投稿の流れとしては、まず広報グループ4名で日々『海外の流行りネタ』や『若者の中での流行りネタ』を調査し、4名のおじさんたちも含めた朝会にて発表。朝会で、社員から意見をもらいつつ、その日撮影するネタを決めています。そして毎日お昼休みの15分で撮影し、毎日投稿しています。そのため、自然と『広報グループがおじさんたちに無理を言う』という流れができあがりました。それを面白がってくれる4名のおじさんたちを見て、そのままコンセプトにしました」

●反響

TikTok投稿を初めてもうすぐ1年半。どのような反響が得られているのだろうか。

「ユーザーの皆さんからは『おじさん可愛い』『おじさんに癒される』という声をたくさんいただきました。さらには『社風がよく伝わる』『こんな上司がいる会社で働いてみたい』『ユーモアのある上司でうらやましい』『三陽工業は絶対ホワイト企業』など、おじさん4名への感想ではなく、会社に対する良いリアクションもたくさんいただいています」

●おじさんならではの魅力

おじさんによる投稿には、どのような魅力があると考えているのだろうか。

「各人の個性が光るところが魅力だと思っています。発案者であり、ユーモアのある発言が飛び出す小杉。そして、小杉と同年代でありTikTokでは唯一の監査役と想定される徳岡。4名の中で一番若い西弘は、体力面でずば抜けます。また最高齢の森本は気合だけは誰にも負けず一生懸命です。そんな4名の個性が重なり合って、おじさんTikTokの面白さにつながっているのではないかと思います」

●TikTok投稿による効果

TikTok投稿により、次のような効果が得られているそうだ。

「2022年新卒採用においては、説明会参加者の7割が投稿を見たことがあり、ファンだという声も寄せられました。さらに内定者6人のうち3人はTikTokを通しての応募でした。2023年新卒採用では、会社説明会や面接時の武器としてTikTokを使用しています。『(TikTok動画を)見たことがある』という声が約7割。昨年と比較し、会社説明会へのエントリーが1.5倍に増加。また、昨年は兵庫県の学生からのエントリーが9割を占めていたところ、今年は全国各地からエントリーいただいています」

「社内では『昨日の小杉さんの動画見た?』『森本さんのアレできる?』など、TikTokの投稿動画をネタにしたコミュニケーションが増加。他部署とのコミュニケーションの良いきっかけとなっています。既存のお客様や取引先からもTikTokの話題が増えたと聞いています。さらに新規営業の際には、自ら『三陽工業のティックトッカーなんですよ』とアピールすることによって、和やかに新規営業が進むとの声もあります」

今後ますます斬新なネタが期待できるこのアカウント。加賀氏は、次なる目標を次のように述べた。

「次の目標はフォロワー10万人。本社のある兵庫県明石市の街頭にて『小杉さんだ!』などと声を掛けられるほど有名になることです。さらに、他社アカウントとのコラボ企画や他社アカウントへのコンサルティングサービスを実施なども考えています」

3.三和交通~フォロワー数17万!知る人ぞ知るタヌキおじさん

神奈川県横浜市にあるタクシー会社、三和交通のTikTokアカウントでは、主に取締役部長の溝口孝英氏(57歳)と渉外係長の森嶋幸三氏(58歳)の2人のおじさんがダンスやパフォーマンスを繰り広げる。特に出っ腹がトレードマークで自称「タヌキ」という溝口氏のダンスは圧巻。フォロワー数は2022年7月中旬時点で17万2,800人と、莫大な数のユーザーに支持されている。最近ではさまざまなタレントとコラボ投稿をしているのも特徴だ。

●TikTok投稿を始めたきっかけ

そもそも、TikTok投稿を始めたきっかけとは? 広報の小澤千秋氏は次のように話す。

「2019年、溝口が個人的にTikTokに興味を持ち、休み時間にオフィスで踊る動画を投稿したところバズったので、これは反響が大きいと確信。会社として採用の募集活動の一環として始めたいと、代表にお願いしたことがきっかけです」

●反響

@sanwakotsu 50代のおじさんがやったら大変なことの腰は痛いは足は短くて変だし 流行りに乗るのは大変だーあれ?相方ノリノリでなんか出来てる #三和交通 #踊るおじさん #毎日TikTok #fyp ♬ Habit – SEKAI NO OWARI

TikTok投稿により、どのような反響が得られているのだろうか。

「コメントでは『カワイイ』『お腹出てる(笑)』など笑ってくれるなど、好意的なコメントが圧倒的に多いです。最近では街中で『TikTokのおじさんだ!』と声をかけていただくことも増えています」

●おじさんならではの魅力

おじさんダンスならではの魅力は、どこにあるだろうか。

「おじさんなので、実際はあまり上手に踊れていませんが、そこがポイントかと思っています。実際、『カワイイ』『癒される』などのコメントをいただいています。また、始めた当時は、まだおじさんの投稿者が少なく、圧倒的に若い子が多かったので、そこも『めずらしさ』という魅力として注目いただけたのかなと思っています」

●TikTok投稿による効果

2019年2月頃から始まったTikTok投稿。すでに3年半が経とうとしているが、これまでにどのような効果が得られているのだろうか。

「一番は、知名度向上です。TikTokをやってるタクシー会社として、たくさんのメディアに出演させていただきましたので、TikTok世代の若者だけでなく、たくさんの方に名前を知っていただけたと思っております。

新卒採用の説明会等でも『見たことがある』と言っていただくことが多くなりました。実際、TikTokを見て入社を決めてくれた20代の女性が一名います。新卒採用面でも、TikTokを含むSNS運用を始める前の2005年~2010年は10名以下の入社でしたが、2019年以降は20名、2020年は17名と増加しました。

また当社の乗務社員も一緒に踊ってくれる人が出てきたり、テレビや動画を観て『もっとこうしたらいいのでは?』とアドバイスをくれたりと、多くの社員が応援してくれているので、社内の雰囲気も明るくなったのではと感じています」

おじさんアカウントの中では古株の三和交通。まだ溝口氏ほどのレベルの高いダンスはなかなか見かけない。今後の展開が楽しみだ。

いずれも、おじさんならではの微笑ましいダンスぶりが楽しめるアカウント。そして効果は絶大なものがあるようだ。今後、ますますおじさんティックトッカーは定着していくだろう。今のうちに、おじさんダンス投稿を始めてみるのもいいのではないだろうか。

【取材協力】
「おじキュン!」TikTokアカウント
「三陽工業」TikTokアカウント
「三和交通」TikTokアカウント

取材・文/石原亜香利

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