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今年の新入社員が上司に期待していることTOP3、3位好き嫌いで判断をしない、2位ひとりひとりに丁寧な指導、1位は?

2022.07.22

新入社員をはじめとしたZ世代を部下に持っているが、なんとなく価値観の違いを感じており、どう彼ら彼女らの特性を活かしていくか、悩んでいないだろうか。この価値観の違いについては、上司の立場、そして経営視点でも重要であると同時に、頭が痛い問題でもある。

そこで今回は、リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2022」から得られた新人の特徴からの対応策を紹介する。

2022年度新入社員の特徴

「新入社員意識調査2022」では、新入社員の近年の特徴として、主に次の傾向があることが分かった。

1.仕事をするうえでの得意なスタンスと苦手意識のあるスタンス

「仕事をするうえで得意なスタンス」は「相手基準」と「協働」の選択率が高いが、

「不安・苦手意識があるけど大事、意識して取り組みたいスタンス」は「自発」と「試行」の選択率が高い。

調査2-図表2 得意なスタンス・苦手意識のあるスタンス

2.上司に期待すること

「上司に期待すること」としては、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「職場の人間関係に気を配ること」が過去最高の選択率となった。

調査1-図表3 上司に期待すること

調査担当研究員である武石美有紀氏は、これらの特徴の背景について、次のように解説する。

【調査担当研究員プロフィール】

武石 美有紀氏
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部 トレーニング開発グループ 研究員
2016年リクルートキャリア(現リクルート)入社。企業の採用領域の課題解決支援や社内の新人研修の企画・研修講師業務に携わる。現在は、リクルートマネジメントソリューションズにて、主に新人・若手社員向けのトレーニングサービスの企画・開発に従事。

「結果を見ると、新入社員が、自己成長のみならず、貢献や協働、相手基準などへの関心が高いことが見受けられます。この特徴は、学校機関でのボランティア活動、地域貢献やSDGsなどをテーマとした総合的学習の時間を通して、社会や他者への貢献、地球環境への配慮や意識が醸成されている世代であることが表れています。

また、価値観の多様化が謡われる社会において、個性や違いに受容的で耳を傾けるコミュニケーションが当たり前という感覚の中で育ってきたことが、相手の意見や考え方に耳を傾けるコミュニケーションを望む傾向を生み出していると推測できます」(武石氏)

新入社員の特徴からの対応策

武石氏は、調査結果からわかる新入社員の特徴から、その可能性を引き出すポイントは、「承認のコミュニケーション」と「はじめの一歩のフォロー」にあると述べる。

新入社員の2つの世代特徴から解説してもらった。

●新入社員の世代特徴(1)

意欲や思いを持っているが、承認されるか不安が残る環境では自ら主張することを躊躇する傾向がある。

「この特徴に対しては、新入社員を理解し、強みや小さな変化を承認していくコミュニケーションを図り、心理的安全性を高めていく必要があります」(武石氏)

【承認のコミュニケーション】
・「いいね」や「なるほど」などで承認や共感をはじめに示す。
・業務の話のみではなく、本人の人となりや興味関心も話題にする。
・入社理由や今後どんなことをやりたいかなど、本人のWILLに焦点を当て、業務を接続していく。
・新入社員だけではなく、自分自身も自己開示をする。

●新入社員の世代特徴(2)

自ら積極的に行動したり、欲しいものを何とかして手に入れたりする経験が少ないため、周りの出方を確認しながら、慎重に行動する傾向がある。

「この特徴に対しては、新入社員の意欲が高まる瞬間を捉え、行動を促すコミュニケーションを取ったり、初めてのトライを伴走したりするなど、はじめの一歩にするフォローを意識して行っていく必要があります」(武石氏)

●はじめの一歩のフォロー

・本人の興味や関心など、小さな行動の兆しを捉え、行動を促す声掛けや壁打ちミーティングなどの提案をする。
・行動を成功に導くため、必要な情報を渡したり、力を貸してくれそうな人をつないだりする。
・チャットなどで定期的に状況を確認する定期ミーティングなどでは「何かある?」とオープンクエスチョンのみではなく、新入社員の行動を見ながら具体的な質問もしていく。

「自分とは違う考えを持つ人と関わるとなれば、その違いから衝突や不快の感情が生じる可能性は少なからずあります。しかし、その負の感情を感じたときにこそ『この人は自分にはないものを持っている』『この人から学ぼう』とチャンスと捉えて向き合うことで、受け入れ側の先輩も、他者を理解する力がついたり、新たなものの見方や考え方を獲得できたりすると考えます」(武石氏)

新たに生まれている価値観から感じるジェネレーションギャップ

同社の分析によれば、単なる世代間ギャップではなく、従来とは異なる価値軸が生まれてきているという。先日同社が主催した発表会の講演では、次の結果が示された。

理想の職場は、助け合う・個性を尊重が10年前の2012年調査と比べて上昇していた。一方で、一つの目標共有や鍛え合う、活気があるなどは下がった。

理想の上司については、一人一人への丁寧な指導や、ほめる、人間関係へと気を配るなどは10年前と比べて上昇していたが、情熱やリーダーシップ、厳しい指導は軒並み下がった。

こうしたジェネレーションギャップを埋めるには、どうすればいいか。主任研究員の桑原正義氏は、「共創的関係に向けた相互理解」が必要だと述べる。

上司世代は、果たすべき責任やリーダーシップ、人脈、業界知識・経験などを持ち合わせている。一方、新入社員をはじめとしたZ世代は上司世代には少ないデジタルリテラシーやソーシャル・パーパスなど多様なものを持っている。

そこで、桑原氏はお互いに学び補い合い、自分たちにはないよいところ・学べるところがあるという理解と認識を持つことを提案した。

ジェネレーションギャップを乗り越える試み

とはいえ、ジェネレーションギャップは、そう簡単には越えられないのが事実だ。実際に、ジェネレーションギャップを乗り越える試みとして、桑原氏は次の2点を挙げる。

【取材協力】

桑原 正義氏
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部 主任研究員
1992年4月人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て2015年より現職。探究領域:VUCA×Z世代の新人育成のアップデート、“個を生かす”生成アプローチ。NPO法人青春基地(プロボノ)。立教大学経営学部BLP兼任講師。

●ジェネレーションGAPを味わい楽しむ会

「弊社で『ジェネレーションGAPを味わい楽しむ会』を実施したことがあります。ある日、私と2年目社員との雑談の中で『上司が私たち若手世代を理解するだけでなく、私たちも上司世代を理解した方がよいのでは』という話をしたのがきっかけとなりました。オンライン上で全社に参加者を募集したところ、シニア世代(~1980年生まれ)、ミレニアル世代(1981年生まれ~)、Z世代(1996年生まれ~)の3世代が、計24名集まりました。

理想の職場や上司のアンケート結果の違いを味わったり、世代ごとに『自分たち世代のトリセツ』を作成して共有したりしました。お互いに気になる点を質問し、他世代のよいところや違和感を覚えるところを自由に話し合うことで、今までネガティブに感じていたギャップの背景が理解でき、受け止めやすくなったり、お互いに自分たち世代にはない強みを持つ存在でもあるという一種のリスペクトも生まれたりなどの効果もありました」(桑原氏)

●リバースメンタリング

「世の中の例としては、リバースメンタリングの取り組みが挙げられます。これは、若者が経営層や上司のメンター・指導役になる取り組みで、若者が持つ最新知識・技術の習得や、新たな価値観をビジネスやマネジメントに生かそうとする試みです。国内では、P&Gや資生堂など企業のほか、最近では岩手県庁でも導入されています」(桑原氏)

上司世代と新入社員をはじめとしたZ世代は、互いに理解し学び合う機会をつくること。「組織を越えて、全員で学び合う」。これがジェネレーションギャップの解決策であるようだ。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2022」

取材・文/石原亜香利

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