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【深層心理の謎】頻繁に旅行に行く人は行かない人より人生をハッピーに感じられる理由

2022.07.24

 もうすぐ学校も夏休みに入るが、今年の夏は旅を楽しむ人が増えるだろうか。個人的にはなかなか泊まりがけの旅の計画は立てられないが、そうであるが故に“小さな旅”の機会を大事にしたいものである。

放浪願望を満たすべく亀戸駅で降り立つ

 街を歩いている時にこのままどこか遠くへフラッと出かけてしまいたくなることがある。あり得ない夢想だと自分でもわかっているが、よく考えてみれば決して馬鹿げた話ではなく、ある程度スケジュールに余裕がある時なら、1泊程度の旅は実際に可能であったりもする。

 その場の思いつきで突発的に旅に出ることはまずないものの、可能であることを確認することで納得感のようなものは得られる。時折頭をもたげる放浪願望は、自分はいつでも旅立てることを確認するためのルーティーンであるのかもしれない。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 JR亀戸駅に来ていた。所用を終えて御茶ノ水から乗ったJR総武線を秋葉原で乗り換えるつもりだったのだが、途中で気が変わりそのまま乗り続けて亀戸まで来たのだ。実にささやかな放浪願望を満たしたことになる。

 亀戸駅に来たのはおそらく人生で初めてだ。隣の錦糸町なら何度かあるが、どう思い返しても亀戸駅に来た記憶は出てこない。しかし駅前の京葉道路はバイクで何度も通っているので土地勘はある場所だ。

 駅前ロータリーの脇の歩道を北に進む。この界隈にあるいい感じの立ち飲み屋の記事を最近ネットで見かけ、機会があれば行ってみたいと思っていたのだが、先ほど総武線に乗っている時にそれに気づきこうして急遽亀戸までやって来たのである。

 記事を見た時に位置を確認し、店の周囲をストリートビューで見ていたので、スマホを持たぬ身でも大体の方向はわかりそうだ。もし見つからなかったら別のよさそうな店に入ってみてもよい。

 近場ではあるが初めて訪れる場所を歩くのはまさに“小さな旅”なのだが、ご存知のようにコロナ禍の中で今まではこうしたことすら難しかった。気ままに街歩きができる機会を大事にしたいものである。

 夜風が生温かい。もうすぐ学校も夏休みに入るが、この夏は少しは旅に出る人が増えそうには思える。そういう自分も1泊2日くらいでどこかに行く予定を立ててもいいのだが、目先の仕事を優先しているとどうしても後回しになってしまう。ならばこそ、こうした“小さな旅”を大事に楽しみたいものである。

頻繁に旅行に行く者はプラス7%幸福

 駅前ロータリーを抜け、左右に伸びる通りを右に進む。裏通りという感じだが、いくつかの飲食店の明りが見える。目的の店に行くにはどこかの路地を左折することになるのだが、確かファミレスの前の路地だったはずだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ともあれ旅が意識されてくるようになったのだが、旅行に関する最近の研究が興味深い。頻繁に旅行を楽しんでいる人はそうでない人に比べてプラス7%人生がハッピーであるというのだ。


「Tourism Analysis」の新しい研究によると、頻繁に旅行する人は、まったく旅行しない人よりも自分たちの生活に満足していることがわかります。

 ワシントン州立大学ホスピタリティビジネスマネジメント学部のチュン・チュ・チェン助教授は、一部の個人が他の個人より頻繁に旅行する理由と、旅行や観光の経験が幸福と健康に長期的な影響を与えるかどうかを調べるために調査を実施しました。

 彼の分析結果は、観光関連の情報に注意を払い、友人と旅行計画について頻繁に話し合う個人は、次の旅行について考えていない人よりも定期的な休暇に行く可能性が高いことを示しています。

 さらに自宅から少なくとも75マイル(120キロ)離れた場所を定期的に旅行していると報告した調査の参加者は、旅行が非常にまれであるかまったくないことを報告した参加者よりも、全体的な幸福について尋ねられたときに約7%幸福度が高いと報告しました。

※「Washington State University」より引用


 ワシントン州立大学とテキサス大学の合同研究チームが2021年1月に「Tourism Analysis」で発表した研究によれば、頻繁に旅行をし、常に次の旅行の計画を立てている人は、旅行をしない人よりも人生の幸福度が7%高いことを報告している。

 研究チームが500人に対して行った調査では、参加者は生活における旅行の重要性、将来の休暇の調査と計画に費やした時間、および1年間に何回旅行したのかという質問に回答した。参加者はまた自分の人生の満足度を評価して回答した。

 ちなみに500人のうち、半数強が1年に4回以上の旅行に行くと報告し、35人(7%)が一度も旅行のための休暇を取っていなかった。

 収集したデータを分析した結果、頻繁に旅行に出かけ、常に旅行を計画している者は、旅行に無頓着な者よりも定期的に旅行をしている可能性が高く、自宅から少なくとも120キロ以上離れた場所を定期的に旅していると報告した者は、旅行がきわめて少なかったりまったく行かなかったと報告した参加者よりも人生の上でプラス7%“幸福”であることが報告されている。

「仕事、家族生活、友人などが幸福の全体的な報告においてより大きな役割を果たしている一方で、旅行経験の蓄積は、自己申告による生活の満足度に小さいながらも顕著な影響を及ぼしているように見えます。それはあなたの日常生活から抜け出し、新しいことを体験できることの重要性を如実に示しています」と研究チームのチュン・チュ・チェン助教授は語る。

 一部の人々は年に何回かの旅行を楽しみにしながら日々の生活と仕事に励んでいる実態が浮き彫りになっている。旅行好きにとって旅行は欠かせない“定期イベント”なのだ。

住宅街の立ち飲み屋で「ちょっと一杯」

 通りを進む。半ば住宅街ではあるが、いろいろと店はあるようだ。カラオケ店と焼肉チェーン店の前を過ぎると、ファミレスが見えてきた。左折してこの手前の路地を進む。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 住宅街特有の一車線の細い路地なのだが、意外なことに居酒屋や中華料理店、スナックやホテルもある。このような通りを歩くことは個人的にはけっこう珍しいことだ。

 目的の店が見つかった。雑居ビルの2Fにある。ビルの1階はパブで、2階には立ち飲み屋と麻雀店、その上にもパブがあるようだ。この通りの特徴を色濃く物語っているともいえるだろう。

 どうやって店に行ったらよいのかと少し周囲を歩いてしまったが、どう考えても入口は一箇所しかない。住民の人々も利用しているであろうエントランスから入り、階段をのぼると2階に麻雀店と立ち飲み屋の入口があった。開いている鉄扉の入口を抜けて店内に入る。

 中に入ってみると店内がかなり広いのは意外だった。元々はオフィス向けのテナントであったとすれば理解できる。天井も高くて立ち飲みでも窮屈感はまったくない。店内は程よいお客の入りだ。

 店内は背が高い立ち飲み用のテープル席にいくつかのドラム缶、壁沿いには立ち飲み用カウンターが設置されている。奥の壁の天井近くには大型液晶テレビが架かっていてバラエティ番組を流していた。カウンター席は2人連れのお客が何組がいるので、空いているドラム缶に着かせてもらった。

 やって来たお店の人に酎ハイをお願いする。ラミネート加工されたメニュー表をサッと見て、酎ハイがやってきたタイミングで「たこ刺」と「じゃがバター」をお願いした。ちなみに支払いは到着時にその都度現金で払うシステムだ。お店の人に千円札を渡すとその場でお釣りを置いてくれる。

 壁に架かっている黒板でイレギュラーな本日のおすすめメニューも記されていたのだが、もはやこの時間ではほとんどが売り切れていた。早い時間から飲んでいる地元の人も多いのだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 肴がやってきた。どちらも美味しそうだ。さっそくたこ刺をいただく。この値段であれば何も言うことはない。じゃがバターも冷めないうちにいただくとしよう。これもホクホクしていて申し分ない。

 ジャガイモといえば北海道だが、かつて北海道・札幌の居酒屋で食べたアスパラガスの美味しさは忘れられない。東京で一般的に食べるアスパラガスとは雲泥の差で、やはり土地のものはその土地で食べるのが一番ということを痛感させられる食体験であった。

 ほかにも函館で食べた握り寿司や旭川で食べたジンギスカンなど、北海道はいろいろとグルメの面で個人的に高評価なのだが、このコロナ禍の中、再び北海道への旅を企画できるだろうか。

 もちろん思い立って決意すればすぐにでも行くのは可能なのだが、なかなかそういう気にもなれない。「いつか旅に出る日」を頭の片隅に置いておきながらも、まずは今日のような“小さな旅”をささやかに楽しむことにしたい。

文/仲田しんじ

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