海外大手の市場参入・撤退劇を経て、熾烈な競争が勃発。全国展開のサービスのほかに、ローカルなフードデリバリーも活況に。注目のサービスの使用感とともに全体を俯瞰してみよう。
コロナ禍を経てフードデリバリーは日常に定着
日本初のフードデリバリー比較注文アプリ「done!」を手がける、いえメシの高田真彰さんにフードデリバリー市場の現状を聞いた。
「最新データでは市場規模は1兆円を突破しました。コロナ禍の特需と思われがちですが、今年1~3月期は昨年同時期と比較して50%も伸び、コロナが終息してもこの流れは変わらないでしょう」
その一方で気になるのは、フードデリバリー市場の活況を印象づけた海外勢力、そして楽天ぐるなびデリバリーやドコモのdデリバリーなど大手サービスの撤退だ。
「撤退した国内大手やフードパンダは配達員の調整に苦戦した印象で、DiDi Foodは本国からの締めつけが原因で母体の経営が悪化しました。需要が減ったわけではなく、むしろ出前に対する意識はハレの日からケの日の食事へと変化し、コンビニ食に取って代わるものになりつつあると考えています」
相次ぐ撤退報道を尻目に、地方で新たなサービスが勃興。タクシー会社などの異業種からの新規参入や、アンテナサイトのタイプの新興サービスが登場するなど、プレーヤーは多様化している。
「次に注目すべきは無人宅配です。宅配ロボの公道走行や配達用ドローンの有人エリアでの実証試験が進み、法整備を待っている段階です。機械化で配達のコストが下がれば、市場はさらに拡大します」
日本の外食市場は全体で約25兆円の規模だが、デリバリーはたった4%。10%を超える欧米や韓国、国民の7割が利用するカンボジアの状況を鑑みれば、日本のフードデリバリー市場にはまだまだ成長の余地が残っていると思われる。
右肩上がりで急成長を続けるフードデリバリー市場。コロナ禍での巣ごもり需要の後押しもあり、昨年は市場規模が大きく飛躍した。
いえメシ CEO 高田真彰さん
フランスでパティシエを経験。IT大手を経て会社設立。「done!」は全国に順次拡大予定。
全国展開中の大手フードデリバリー
加盟店数で独走態勢の「Uber Eats」だったが、人気タレントやYouTuberを起用したCM戦略で攻勢をかけた「出前館」が知名度、加盟店数ともに急伸。全国展開する「menu」とともに、三つ巴の戦いが勃発し、ユーザーが得するサービスの拡充が進む。
出前館
2000年10月にサービスを開始。1年以内に1回以上購入したアクティブユーザー数は853万人に達する。ピザやお弁当といった定番から、こだわりの料亭や有名レストラン、地元の名店のメニューまでを取り揃える。
直近4月の売れ筋フードTop3
人気のカテゴリーランキング。3位は有名店のメニューが中心。
【1位】ピザ
【2位】ハンバーガー
【3位】レストランフード
加盟店舗数
10万店以上
大手の飲食チェーンだけではなく、それぞれの地域で評判の高いローカルな飲食チェーンの加盟店も増加している。専用アプリだけではなく、ポータルサイト上から注文できるのも便利だ。
決済方法
・クレジットカード
・現金
・電子決済(PayPay、LINE Pay、Amazon Pay、Apple Pay)
・キャリア決済(ドコモ、au、ソフトバンク、UQモバイル)
※店舗により異なる
サービス料金目安
配達手数料420円
独自サービス
様々な商品が取り揃えられたデパ地下の商品の注文ができるよう、百貨店との連携が進む。すでに「e.デパチカ 西武池袋本店」や「大丸梅田店」などでスタートした。
どう使うとお得になる? ココが○ ココが×
送料無料キャンペーンが狙い目
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県限定で送料無料キャンペーンを6月30日まで実施中。ただし、出前館が届ける場合に限られ、一部対象外の店舗もあり、他クーポンとの併用は不可。サービス面では、朝食として利用できる早朝営業の店舗を拡大している。
ウーバーイーツ
2015年にカナダのトロントでサービスを開始。日本には2016年9月に上陸を果たした。高い知名度と圧倒的な加盟店舗数で業界をリードする。注文から配達完了まで平均30分以内という、スピーディーなデリバリーも好評だ。
直近4月の売れ筋フードTop3
200以上あるカテゴリーの中から達配回数を基にランキングを算出。
【1位】ハンバーガー
【2位】和食
【3位】アメリカ料理
加盟店舗数
15万店以上(2022年1月時点)
飲食の大手チェーンだけではなく、加盟店には、知る人ぞ知る街の小さな飲食店も多く、料理ジャンルの選択肢は広い。フード以外のトピックスでは「コストコ」の商品を注文できる。
決済方法
・クレジットカード
・電子決済(PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、Apple Pay)
・デビットカード
・現金(一部地域)
サービス料金目安
商品代の10%+配達手数料
700円未満の注文は、別途150円の少額手数料がかかる。配達手数料は配達距離などにより変動する。
独自サービス
いつでもどこでも何度でも1200円(税込み)を超える注文の配達手数料が無料になる、月額498円のサブスクサービス「Eats パス」を実施。玄関先に商品を置く「置き配」をアプリ上で指定できるのも便利だ。
どう使うとお得になる? ココが○ ココが×
期間限定のキャンペーン割引がお得
初回注文時や店舗限定、電子決済限定などのキャンペーンで配布する割引クーポンコードはお得。定期的に行なわれるキャンペーン情報はUber Eatsの公式ツイッターやアプリでチェックできる。ヘビーユーザーには配達手数料無料、違約金なしで解約できるサブスクサービス「Eats パス」のコスパの良さが群を抜く。
menu
2018年にテークアウトからスタートし、2020年4月よりデリバリーを開始した。現在33都道府県にてサービスを展開している。人気アニメとのコラボやCMが話題になるなど、知名度が急上昇している。
直近4月の売れ筋フードTop3
menuだけでデリバリーを行なう人気店のメニューも豊富。
【1位】叙々苑新宿歌舞伎町店「カルビ弁当」3300円
【2位】麺匠の心つくし つるとんたん六本木店「明太子の冷たいおうどん」1480円
【3位】梅丘寿司の美登利総本店赤坂店「ひだまり」3200円
※人気上位店舗を基に編集部選出。
加盟店舗数
約8万7000店
約2年で加盟店が急拡大。ミシュラン掲載など高級店を集めた「至高の銘店コーナー」も好評。「つるとんたん」「叙々苑」「寿司の美登利」などの有名店がデリバリー対応するのはmenuだけ!
決済方法
・クレジットカード
・ブランドプリペイド(Kyash)
・電子決済(au PAY)
サービス料金目安
基本配達手数料300円
配達手数料は距離などによって変動。1000円未満の商品には少額手数料150円が加算される。
独自サービス
『ワンピース』や『ポケモン』など人気アニメとコラボした、menuだけのオリジナルグッズが手に入る「menuガチャ」を実施。商品を注文すると好きなガチャを回せるメダルが付与される。
どう使うとお得になる? ココが○ ココが×
サブスク「menu pass」は特典が充実
2回以上頼むと元が取れるという月額980円のサブスク「menu pass」がお得。利用者は基本配達料毎回無料、1500円以上の商品代金が何度でも5%引き、毎月500~1万円の特別クーポンがもれなく当たるなど特典も豊富だ。またキャンペーンを定期的に実施しており、商品代金の割引や配達料無料クーポンの配布を行なっている。
取材・文/編集部
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。