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過酷な長時間練習を課す〝ブラック部活動〟から子どもを守るガイドライン

2022.07.20

運動部・文化部を問わず、長時間にわたる部活動を強いられた結果、心身のバランスを崩してしまう生徒が増加しています。

本来であれば生徒の自発的な参加が期待される部活動において、負担の大きい長時間の活動参加を強制するようなことがあってはなりません。

親としては、子どもと十分にコミュニケーションを試みて、部活動で過度に疲弊していないか、指導者から不当な強制などを受けていないかなどに気を配ることが大切です。

今回は、部活動に関するスポーツ庁・文化庁のガイドラインの内容や、部活動のトラブルに関する相談先をまとめました。

1. スポーツ庁のガイドラインにおける部活動時間の基準

スポーツ庁では、生徒がスポーツに親しめる基盤として運動部活動を持続可能とするため、抜本的な改革に取り組むことを目的として、2018年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定・公表しました。

参考:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインについて|スポーツ庁

同ガイドラインでは、運動部活動の適正化に関する指針等を定めており、その中で部活動時間に関する一定の基準が示されています。

1-1. 適切な休養日等の設定に関する基準

スポーツ庁のガイドラインでは、成長期にある生徒が運動・食事・休養・睡眠のバランスがとれた生活を送れるように、運動部活動について適切な休養日等を設定することを求めています。

具体的には、以下の3つの基準が明記されています。

①学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。)

②長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、運動部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。

③1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。

1-2. スポーツ庁のガイドラインの適用対象

本ガイドラインの主な対象は、義務教育である中学校段階の運動部活動です。

ただし、本ガイドラインの基本的な考え方は、学校の種類や設置者の違いに関わらず該当するため、高等学校段階の運動部活動についても、本ガイドラインを原則として適用するとされています。

その一方で、「高等学校段階では、各学校において中学校教育の基礎の上に多様な教育が行われている点に留意する」との注記が行われています。

この注記は、高校生の心身が中学生よりも発達していることや、高等学校では中学校に比べて多様な教育が行われていることを踏まえたものです。

したがって高校生については、上記の基準より多少長めの部活動時間を課すことも許容され得ると考えられます。

しかし、本ガイドラインの趣旨を没却するような長時間の部活動を実施することは不適切であり、指導者による自制・配慮が求められることは言うまでもありません。

2. 文化部についても同様のガイドラインあり

スポーツ庁のガイドラインが策定・公表されたことを受けて、文化庁でも文化部活動の在り方についての検討を進め、2018年12月に「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定・公表しました。

参考:文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン|文化庁

文化庁のガイドラインでは、

「いかなる部活動についても長時間の活動は精神的・体力的な負担を伴い、また望ましい生活習慣の確立の観点からも課題がある」

と指摘したうえで、スポーツ庁のガイドラインと同等の適切な休養日等の設定に関する基準を設けています。

文化部活動の中でも、特に公演などがある吹奏楽・合唱・演劇などの部活動については、練習頻度や大会熱が盛んとなる傾向があるようです。

文化部活動の指導者も、運動部活動と同様に、長時間の活動などによる生徒への負担が過度なものとなっていないかについて気を配ることが求められます。

3. 部活動に関するトラブルの相談先

指導者から長時間にわたる活動を強いられているなど、子どもが部活動に関して何らかのトラブルを抱えている場合には、まず理事長・校長以下、学校の要職者に相談することが考えられます。

しかし、部活動の実績を学校の宣伝材料にしている場合などには、部活動自体が大きな力を持ってしまい、学校側の指導が十分に及ばない可能性もあるでしょう。

その場合には、都道府県の教育委員会・NPO法人・弁護士など、外部者の協力を得て問題解決を図ることをお勧めいたします。

子どもが部活動によって心身にダメージを受けている場合には、「学校の中の問題だから」と突き放さずに、ぜひ親として子どもを支えてあげてください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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