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Xiaomiの激安ハイエンドスマホ「POCO」の上陸が日本の通信業界に与えるインパクト

2022.07.21

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、日本春上陸をはたした、シャオミの最新ハイエンドスマホについて話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

「POCO F4 GT」は激安ハイエンドスマホ

房野氏:Xiaomi(以下、シャオミ)のブランド、POCO(ポコ)が日本に上陸しました。「POCO F4 GT」はメモリとストレージの違いで7万4800円と8万4800円の2タイプがあり、10万円以下で買えるハイエンドスマホが出てきた一方、ミドルレンジの「OPPO Reno 7A」は4万4800円。また、「AQUOS R7」や「Xperia 1 IV」などは20万円前後で、9月に登場する可能性が高い、新型“iPhone 14 Pro(仮称)”も恐らく20万円前後になりそうです。

「OPPO Reno 7A」

「AQUOS R7」

「Xperia 1 IV」

房野氏

法林氏:POCOね。うーん、なんだろう……ゲーミングスマホの市場がどれくらいあるのかというのがちょっと読めない。eスポーツが盛り上がっているのは事実だと思うんですけど、ASUSが販売したゲーミングスマホは申し訳ないけれど人気モデルとは言い難い。その中でPOCOが登場したのは、チャレンジとしては評価したいと思う。シャオミはいろいろ新しいことをやっているし、久しぶりに黄色い端末が出たので派手な感じが良かったなと(笑)。最近のスマホはフラットで単色で、あまりアクセントがないデザインなんだけど、POCOはメカっぽい感じがするのが、僕は嬉しかった。

法林氏

石川氏:あの価格でチップセットにSnapdragon 8 Gen 1を積んできて、すごいなと思いつつも、一般ユーザーにとっては、オンラインでしか買えないのはハードルが高い気もする。シャオミとはいいつつもPOCOという新しいブランドで、端末を実際にチェックして買える感じではないのが、なかなか厳しいんじゃないかなって気は正直していますね。

石川氏

房野氏:POCOは日本初上陸で、全然周知されていないですよね。

石野氏:そうですね。シャオミのサブブランドみたいな感じで、マーケティングや開発チームも完全に違っていますが、ちょっと上陸が早すぎるんじゃないかなとは思いました。シャオミですら、まだ「Xiaomi」をシャオミと読めない人が多いくらいのブランド知名度で、さらにオンライン限定になってしまうと、うーんというところがある。でも、コストパフォーマンスの高さは群を抜いているので、激安ハイエンドとして一点突破していくんだろうなっていう、その意図はわかります。どうなるか注目したい。法林さんはゲーミングスマホとおっしゃっていましたが、シャオミはあまりゲーミングスマホ臭は出さないようにしているんです。でも隠しきれないゲーミング臭はする(笑)

石野氏

房野氏:どう見てもゲーミングスマホですよね(笑)

石野氏:ゲーミング市場は拡大していて、ソニーが「INZONE」という新ブランドのゲーミングギアを出したりしている。伸びてはいるんですけどで、ゲーミングスマホの売上が連動して伸びているかというと、うーんという状態。日本も製品数はあるんですよ。ASUSの「ROG Phone」があり、「Black Shark」があり、ZTEの「REDMAGIC」も参入している。で、シャオミでしょ。GalaxyもXperiaもみんな「ゲームですよ」って言っている中で、POCOがゲーミングって言っても売れないだろうということもあり、「ちょっとゲーム臭のするハイエンドです」という位置付けにしている感じですね。

ASUS「ROG Phone」

房野氏:3GB分のストレージを仮想メモリとして使えるという機能がありますが、その辺はいかがですか?

石野氏:ハイエンドといいつつも、安いモデルは若干メモリもストレージも少なくて(メモリ8GB、ストレージ128GB)、ちょっと実用的にはどうかというところがあるけれど……

石川氏:低価格を狙ってきた。

法林氏:すごく現実的だと思う。メモリを大量に搭載して大きくして、価格を高くするよりも正しい戦略だと思う。

石野氏:そうですね。8万4800円の方(メモリ12GB、ストレージ256G)はすごくいいんですよ。ただ、microSDカードが使えないので、安い方のメモリ8GBはいいとしても、ストレージ128GBは、ハイエンドで128GBはどうかなと。

法林氏:全然足りますよ。何に使う?

石野氏:自分の端末は256GBの半分以上はもう使っています。動画を撮ったら普通に使っちゃう。

法林氏:なるほど。でもこの端末が狙っている市場とはちょっと違うと思うなぁ。

石野氏:ゲームアプリも今は平気で1GBとか2GBとか使うので。

法林氏:そこじゃないんじゃないかな。

石野氏:うーん……POCOの7万円台の方は、ちょっとどうなんだろうって思いました。

法林氏:僕は全然OKだと思いますね。POCOを入り口にして、ゲームの世界、eスポーツの世界に興味を持ってもらって、さらに上のモデルを狙うということでいいと思う。最近のCPUとディスプレイのサイズだけで物事を判断してきた状況よりも、POCOのような切り口でやってきたのは、面白いと思うし、ある意味、正しい方向だと思いました。同じチップセットを使ったモデルでモトローラが「motorola edge30 PRO」を出していて、これもPOCOと同じくらいの価格帯で出しているんだけど、言うほど注目されていない。でも、冷静に考えて、Snapdragon 8 Gen 1、Snapdragon 800シリーズのチップセットが何のために必要なのかを考えると「無駄に価格を上げている感」がないかなという中で、10万円を切る価格で出していることは素晴らしいと思う。

「motorola edge30 PRO」

石川氏:我々からすると、Snapdragon 8 Gen 1を載せて10万円を切っているってすごいと思うんですが、一般にどれだけ響いてるのかなと思うんですよね。

法林氏:本当にそうですよ。

石川氏:ですよね。もっとクアルコムは頑張らないと(笑)

法林氏:何のためのCPUなのか、チップセットなのか、ですよ。例えばノートパソコンを買う時に「絶対に第12世代のCore i7じゃなきゃダメです」と言われて、実際に買うのかというと、なかなか買わないわけなので。

石野氏:パソコンはそうなんですけど、僕、スマホはSnapdragon 8シリーズじゃないと、ちょっと安物を掴まされたような気持ちになるというか(笑)

石川氏:ウチら業界の立場の人にはわかる。散々8シリーズを触り、6シリーズも触ってるから、その違いがはっきりわかるけど、一般の人、しかも一切触れない端末に8シリーズが載っているからといって、安いですよと言われてそこが購入動機になるかというと……

法林氏:POCOは、Snapdragon 8 Gen 1が今、一番新しいチップセットだということがわかっている人が買う端末。だから多分、台数も少ない。でも、あれはあれでいいんですよ。「とりあえず、そこそこ使えるスマホをください」っていう人は、ミドルクラスのSnapdragon 695とかを積んでいるようなモデルを選ぶ。結果的にチップセットが後からついてくる。どうしても8シリーズが欲しい、今、パソコンを買うなら「Core i7の第11世代、12世代が欲しいです」っていう人と同じ方向性がPOCOなんですよ。その断片しか知らなくて、性能がどれぐらいかってことはわかっていない。

石野氏:Snapdragonの6と8だったら、違いはわかります。

法林氏:でも、使い方でどこまでわかるか、ですよ。

石川氏:「どうしてもSnapdragon 8シリーズが欲しい」っていうニーズがどこまでかはわからない。

法林氏:それはブランドだよ。

石野氏:古くから使い続けてると、やっぱりSnapdragonは8シリーズこそが最高峰で、4とか6のSnapdragonにはあまりいい思い出がないんですよ。

法林氏:じゃあ、なんでAppleの「M2」チップ搭載のMacを使うわけ?

石川氏:なんでしょう……

石野氏:何をするのにも速いから。

石川氏:そうですね。

法林氏:速いのはわかるけど、「これをする時に、AだとできないけどBだとできるんですよ」っていうことが、実はコンピュータの世界はなかなかなかった。

石野氏:それはないですね。

法林氏:昔、インテルがペンティアムの1だの2だの、ハチマルいくつとか出していた時代があった。その上で、見分け方はわかんないですよね。Snapdragonも下は2xxシリーズがあるし、ミドルレンジに4から6、7シリーズがあって、8が最高峰だけど、今年の6の一番上が695かな。Snapdragon 695と3年前のSnapdragon 800番台で、どっちが速いかといったら微妙だと思う。

石野氏:確かに微妙なんですけど、同年代だとやっぱり8なんですよ。

法林氏:8じゃなきゃいけないことを何も示せていないわけですよ。

石野氏:ただ、POCOを使ってみてわかったのは、正直、ちょっと前に出たRedmiに比べると、断然操作感がいいということ。スクロールがすごく滑らかだし、バイブレーションもすごく良い感じで振動を返してくる。やっぱりRedmiって、色々コストを削っていたんだなというのがわかる感じがしました。ディスプレイのリフレッシュレートも高いですし、やっぱり使っていてPOCOは快適なんですよ。トータルの快適さは、やっぱりハイスペックならではという感じがします。

ドコモのn79周波数には対応せず

房野氏:防水やおサイフケータイは対応していませんね。

法林氏:グローバルモデルをベースにしているからね。

石野氏:販売台数が少ないモデルにおサイフケータイを入れるのは難しいんですよ。グローバルメーカーの場合は特に。

法林氏:それはそれでいいと思います。台数は少ないけど、反響次第で、来年以降、後継モデルを出していけるかどうかを判断していく。最終的にはあれもこれも全部出したいのだろうけど。発表会でもスティーブン・ワン氏(シャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャー)が言っていたけれど、グローバルの発表会をオンラインで開催したら、思いのほか、日本からの視聴率が大変高かったんだそうです。日本でシャオミに関心を持っている人がたくさん発表会を視聴していた。その中で反響がいいPOCOを出したということだと思うんですよ。

房野氏:ドコモのn79バンドには対応していないですよね?

石野氏:ドコモの5Gは、ほとんど掴まないと思った方がいいかなっていう感じですかね。n79はグローバル周波数ではなくて、日本と中国に特化している周波数で、いわゆる基盤みたいなものに入っていないんです。n79に対応すると結構なコストになってしまうので、安いモデルでそれに対応するのは難しい。

房野氏:SIMフリー端末を買った場合、MVNOのSIMで使う人が多いですよね。

石野氏:ほとんどそうだと思います。ただ、MVNOは5Gを掴もうが掴むまいが、借りている帯域が一定に限られているので、正直、4Gでもいいっていう(笑)。だから、各社とも、SIMフリー端末を出す時は、それほどn79はこだわらない。

法林氏:n79が使えないからすべてが致命的にダメなわけではない。ドコモにとってはプラスαの周波数の1つでしかない。

房野氏:ゲーミングスマホとして使う場合はWi-Fi経由で使うのでしょうか。

石野氏:いや、モバイル通信でもできますよ。

石川氏:本気でやるならWi-Fiじゃないですか?

法林氏:それはね、車の好きな人に「毎週、富士スピードウェイに行っているんですか?」っていうのと同じ。ゲーミングも範囲が広い。

房野氏:ゲームは遅延問題が重要になるイメージですが……

石野氏:スマホのゲームには、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)のように本当に超低遅延を求められる複数人のゲームって、あんまりないと思うんですよ。

法林氏:超低遅延まで行くと、それはもうスマホの世界ではない。PS5などのコンソールゲーム機やゲーミングパソコンの世界。

石野氏:あと、5Gだったら十分。POCOにはソフトバンクのSIMを挿して使っていましたけど、ソフトバンクの5Gはめちゃめちゃ掴みますね。わざわざドコモのSIMで使わなくてもいいんじゃないですか(笑)

房野氏:Snapdragon 8シリーズで5Gに繋がらないと、ちょっとがっかりする人がいるんじゃないかと。

石野氏:確かに宝の持ち腐れ感はちょっとあるかなとは思いますけども。

法林氏:ドコモも4G周波数の5G転用を始めるから、別に変わらなくなるよね。というか、実体験として、n79に繋がらなくてもそれほど違いはない。例えば、僕はn79に繋がらなくて、石野君が繋がっていて、石野君の方がゲームでバリバリ勝つってことには多分ならない、現実的には。屋外でモバイルネットワークを使う場合の話ですけど、4Gの速度も速いし、3Gの時みたいに「これはダメだ、新宿に行ったら電話が繋がらない」みたいなことは起きない。n79問題はそんなにシビアなことじゃない。

石野氏:まぁでも、例えば隣の人がGalaxy Z Foldで2Gbpsで使えるような時に、n79に対応していない人は1Gbpsを切ってましたってことは全然あり得るかなと。2Gbpsの速度を何に使うかっていう話でもあるので、使えはするんですけど、せっかくSnapdragon 8を載せているんだったら、1.5Gbpsくらいのスピードを出したいなっていう感じがあるってくらいのものです。

法林氏:n79対応のドコモ端末が、n79が使えるところに行くとアドバンテージになるという考え方の方が現実的な気がする。n78もあるし、転用もあるし、だからそんなに神経質になることではない。

石野氏:n78のエリアがちょっと狭いんですよね。

法林氏:でも、もともと5Gのエリアが広いわけではないし。

石野氏:n79の方はマクロ局が多いってことがあるので、n79に対応していない端末は5Gのアイコンを見るのがちょっと少なくなるかなっていう感じはする。

法林氏:ウチの家もドコモは4Gのままなんですよ。auがいの一番に5Gに対応して、ソフトバンクも最近5Gを掴むようになった。

石野氏:最近、ソフトバンクのネットワークがいいですよ。速い。渋谷で結構測っていたんですけど、300Mbps以上出るからすごいなと。

法林氏:それは契約者数が少ないからじゃない?(笑)

石川氏:これからミリ波も出てくるし、4Gと5Gの電波を束ねて高速化するデュアルコネクティビティみたいな話もある。そういうこと考えると、SIMフリー端末じゃない方がいいんじゃないのかなと。ネットワークのクオリティを求めるのであれば、ちゃんとキャリアのネットワークにチューニングされたものを使った方が速い。

法林氏:対応周波数の問題を色々突き詰めていくと、SIMフリーの場合は、今回のPOCOもそうだけど、IOT(相互接続性試験)を必ずしもやっているわけじゃない。理論上、ラボの中で繋がる確認をしていますという感じ。海外メーカーのIOTを通していない端末は、同じようなリスクがある。海外メーカーのオープン市場向けに出している、ちゃんとIOTをやっている端末って……

石野氏:au向けだけは、結構やっていたりしますよ。

法林氏:海外メーカーのSIMフリー機はないかな。国内は、シャープはやっていると言っていた。

石野氏:シャープの場合はキャリアに納める端末があるから。

法林氏:まぁね。

石川氏:その点でいうと、OPPO Reno 7Aはキャリアに納めているので、そこはちゃんとしている。

法林氏:auとUQ mobile、Y!mobileから出るんだっけ。

石野氏:あと、楽天モバイル。

法林氏:ドコモには納入されない。中国メーカーの製品はね……そこも話題にしてもいいと思うんですよ。

石川氏:そうですねぇ、どうなんですかね。

ハイエンドスマホがさらに売れなくなる危機

房野氏:法林さんは最近のスマホの価格を気にされていましたね。

法林氏:スマホの価格って、まぁ、僕はiPhoneが高い高いと言い続けていたけれど、ついにXperia 1 IVやAQUOS R7も20万円弱まで来てしまった、どうしましょうと。AQUOS R7の価格が発表された時のネットの反応を見ると、もう、なんというか諦め感。「もうダメだわ」みたいな、絶望感みたいなものが伝わってくるわけですよ。たぶん、シャープにしてもソニーにしても、相当、頑張っているんだけど、これ、どうするんだろうと。

 以前も話が出たけれど、端末が10売れたとして、1がハイエンド、1がフィーチャーフォンとタブレット、残り8がミッドレンジ、みたいな状況。ハイエンドをやる意味があるのかと。しかもハイエンド端末は同じチップセットで比較すると、片方はXperia 1 IVやAQUOS R7の20万円コース、もう片方はPOCO F4 GTやmotorola edge 30 Proなどが10万円をちょっと切るくらいで買える状況になってしまった。チップセットがすべてではないけど、これで「20万円近い端末をみんな買うかな?」って気がします。

石川氏:いやもう、ホンダの「NSX」と化していると言うか(笑)。とりあえずホンダのブランドとして社内の士気を上げるため、ユーザーに「ホンダってこういう会社ですよ」という象徴として作るけど、数が売れるとは思っていないし、もしかしたら1回休止するかも、景気が良かったら作ろうかな、みたいな感じになっちゃうかなって気がしますね(笑)

ホンダ「NSX Type S」

石野氏:ただ、「あの会社のスマートフォンって何なのだろう?」って考えると「安い」しか思い浮かばなくなっちゃう。そうすると「それって、いるか?」っていう話にもなってきてしまうので、作り続ける意義はある。あとシャープを擁護しておくと、1インチセンサーを搭載しているので、スマホとデジカメ両方を買ったと思えばいいじゃないですか(笑)

石川氏:「Xperia 10 IV」を際立たせるためには、やっぱり「Xperia 1 IV」がないといけない。Xperia 1があって、「高くてちょっと買えないか、じゃあXperia 10にするか」という感じになるので。iPhoneも一緒で、最新のiPhone 13は買えないから、「じゃあ12にするか」とか「SEにするか」ということになる。ボリュームゾーンを売るための賑やかしとしてのハイエンドということなんだろうなと思います。

「Xperia 10 IV」

法林氏:だから、やっぱり、すごく疑問に思うわけですよ。コストがかかることはわかるし、円安で大変なのもわかるけど、最終的な値付けとして20万円近くまで到達したものは、パーソナルに持ち歩くものとして、まして日常的に使うものとして、道具として、どうなのかなっていうのは、やっぱりちょっと……僕は応援したいと思うけど、現実的に価格の視点から考えると、他のスペックを落としてでも15万円ぐらいまでに収めた方がいいと思う。「なんか高いのあるよねぇ」ぐらいになっちゃっている。

石野氏:まあ、残価設定ローンがあるので、以前よりは20万円の端末も買いやすくなった感じがします。

房野氏:でも、返却しなきゃいけないんですよね。

石野氏:使い終わったスマホって、別にいらないですよね。

法林氏:これも難しいところで、返さなきゃいけないことに対して、僕も抵抗感ある。残価設定ローンで各社の端末を買う気はないんだけど、「じゃあ、前に使っていた端末ってどうしてますか?」となると、中古ショップへ売りに行っちゃう。「じゃあいらないんじゃないの?」って。売りに行っている先が中古ショップなのかキャリアなのかの違いでしかない。

石野氏:そうですよね。

法林氏:そこはよく考えないといけない。

石川氏:その期間に対してのストレスなんですよ。「あと○か月使わなきゃいけない」とか、そこが非常に面倒で、買いたい時に買う、売りたい時に売るという方が自分はすっきりする。次の新製品が出てきたら、使っている端末を売ってそれを買うことにしたい。

石野氏:その意味では、ドコモの「いつでもカエドキプログラム」は素晴らしい。早く返却したらボーナス(早期利用特典)も付く。

ドコモ「いつでもカエドキプログラム」

法林氏:早く返却した時に割り引かれるって解釈でしょ?

石野氏:そうです。

法林氏:払わなくてよくなるわけではない。

石野氏:そうはならない。

法林氏:車の売り方、買い方を見ていると、リースとかKINTOみたいなサブスクがあって、ちょっと割高ではあるんだけど、スマホもこういう風になっていくのかなって思ったりもした。だとすると、今の購入プログラムで欠けていることがあって、端末補償が別料金で取られる。車では点検整備や保険の費用も込みなんだから、スマホもせめて「2年間使ってください。壊れたら修理できます、その代わり修理の権利は3回までですよ」みたいにしてくれるといいんだけど、今の購入プログラムはただの分割払いで、端末返して安くなるだけの話でしかないよなと。

石野氏:実質、補償をセットで付けちゃうので……

法林氏:でも、別個にお金を払うわけでしょ。付けて価格を下げるくらいの努力をキャリアはしないと。

石川氏:もうちょっとキャリアにがんばってほしいですね。キャリアは通信料収入が下がって困っている中で、ユーザーが新しいスマホを使ってくれれば、データ通信量が上がるので、そこを目指してもうちょっとハイエンドスマホが持ちやすい……買うという意味ではなくて、持ちやすくて、適度な頻度で乗り換えられるプログラムがあってもいいんじゃないのかなと思います。今、端末とのセット販売で割引が適用できない中で、販売じゃない逃げ道をうまく使いつつ、できるようになったらいいんじゃないかなと思います。

法林氏:端末のサブスク、昔のレンタル制みたいなことをやった方がいいような気がしている。まあ、毎回この座談会では話題になるけど、全部、総務省のコントロール下になっちゃって、形を崩しちゃった気がするんですよね。と考えると、AQUOS R7、Xperia 1 IVの価格は、あくまでも象徴でしかない。みなさん、ハイエンド端末を買うことについて、もう絶望しかないんだなって感じている。マズイ気がする。

石川氏:そうですねぇ。

法林氏:このままだと、端末販売の割合がさっきせつめいした「8:1:1」じゃなくて、「ミドル8.5、フィーチャーフォン&タブレット1:ハイエンド0.5」ぐらいになっちゃうかもしれない。ヘタすると、もっと売れなくなるかもしれない。

石川氏:もっと売れなくなるんじゃないですかね。本当に今思うと「Xperia PRO-I」とかって、結構いい価格だったなと感じてきたというか(笑)

「Xperia PRO-I」

石野氏:「Galaxy Z Fold3」で大正解(笑)。

「Galaxy Z Fold3」

法林氏:キャリアとしては、仕入れた分は売らなくてはいけないので、これからやっぱりハイエンドは仕入れにくくなるのかなあ。

石川氏:KDDIがAQUOS R7を扱わなかったのもわかる気がしますね。

……続く!

次回は、総務省のキャリアショップ対策について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子


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