ASEAN(東南アジア)地域でビジネスを展開するパナソニックのエレクトリックワークス社。
同社は2022年度のASEAN地域での売上を300億円とし、さらに2030年度には850億円まで進展すると意気込んでいます。
その背景には、発展するASEAN諸国の経済成長があります。そんな将来性の高いASEAN諸国の中でも、ベトナムの経済発展がめざましいことになっています。
ベトナムは2024年に人口1億人を突破すると予測され、2010年から2024年までの名目GDPの伸び率が270%、2024年から2027年までは130%の伸び率を予測。同じくASEAN地域にあるタイやインドネシアに比較しても、高い経済成長が望まれます。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 海外事業本部 松本 亙さん
そんな中、エレクトリックワークス社は配線・ブレーカーといった商材を主軸にASEAN地域でマーケットシェアを拡大。ベトナムでは40%を超すシェアを獲得しています。
急速な都市化やコロナ禍後のベトナムで暮らしに役立つ事業を展開する
非常に有望な市場として期待されるベトナムで、エレクトリックワークス社はパナソニック エレクトリックワークス ベトナム有限会社を設立。ベトナム北部のハノイと、南部ホーチミンに販売会社を構え、製造拠点としてビンズオンに工場を建設、ベトナム国内全域で事業を展開しています。
ライティング(照明など)、エナジーシステム(配線・ブレーカーなど)、スマートエネルギーシステム(蓄電池など)を主たる事業とする同社は、ブレーカーや配線器具でベトナムでのシェア1位。天井扇・換気扇・ポンプでシェア1位を誇ります。
そして、2019年よりベトナムで本格的に開始した照明事業では、日本品質を担保しながら住宅向け、非住宅向けに様々な照明器具を展開することとなっています。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス ベトナム有限会社 社長 竹宇治 一浩さん
前途有望なベトナムですが、急速な都市化やコロナ禍で人々の暮らしも変化。ニューノーマルなライフスタイルへの移行が社会課題となっています。
衛生意識の高まりから、安心・安全な空間を築くテクノロジーが重視され、また、ウイルス感染や大気汚染の心配が少ない、快適な空質・空調設備が求められます。
さらに、電気代の高騰、物流コスト高騰による資源不足への不安から、持続可能社会に向けた省エネが重視されています。
そこで、同社は既存の事業展開に加えて、エネルギーマネージメントや太陽光発電、蓄電池、熱交換器などの換気設備などの販売を、単品だけではなくソリューションビジネスとしてトータルで販売していくことを期しています。
そんな中、ベトナムでは初めて、「SMART LIFE SOLUTIONS 2022」と銘をうった同社の展示会が、2022年7月12日から7月15日の期間で開催されました。
展示は住空間ゾーンとそのほか、工場・倉庫ゾーン、オフィスゾーン、屋外ゾーン、商業ゾーンとに分けられ、住宅ゾーンでは太陽光パネルや蓄電池、エネルギーマネージメントシステムなどを展開。
工場ゾーンでは、照明器具や各種センサーなどを展示。
オフィスゾーンでは快適に仕事に充実できるオフィス環境を提案。
屋外ゾーンではスマート道路灯を展示し、
商業ゾーンでは店舗照明や配線ダクト、透明OLEDなどの提案が行われました。
会場には多くの関係者が来訪。パナソニックの新たな商品・サービスに触れることとなりました。
ベトナムでの売上を2030年には500億円に拡大
ニューノーマルな時代を迎えたベトナム。同国でエレクトリックワークス社は2021年度、売上140億円を達成しました。さらに、2024年度にはほぼ倍となる290億円に、そして2030年度には500億円を達成することを目標としています。
日本は少子高齢化もあり新規住宅着工が伸び悩み、成熟市場となっています。一方で、ベトナムはまだまだ発展が見込まれる成長市場。上記の売上達成は現実的な数字ではないでしょうか。
経済が発展する一方で、同国のライフスタイルも変化していくはずです。そんな時代の変化にパナソニックは、ベトナムの人たちに安心で快適、持続可能な省エネが進んだ暮らしを提供するため、様々な新サービス・商品を提案していくことでしょう。
取材・文/中馬幹弘