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お盆の時期にやってはいけないタブーとは?全国各地の変わった風習と言い伝え

2022.07.17

お盆にしてはいけないタブーがある!?

「お盆休み」といえば会社の夏休み、という人も多いのではないでしょうか。

そもそもお盆とは、具体的にはどういうことをして過ごす日なのかを知っていますか?お盆の期間や風習は地域や家によっても微妙に違うことがあります。

というわけで今回は、意外と知らないお盆の風習をまとめてご紹介。お盆中にしてはいけないといわれているタブー行為や、日本各地のちょっと変わったお盆行事についてまとめました。

お盆はご先祖様の魂が現世に帰ってくると考えられている期間

お盆の風習イメージ5

お盆とは、先祖や亡き人の霊を偲び、供養するための行事です。旧暦の7月13日~7月16日に行われる仏教行事のことを「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼んでいたのが「お盆」の由来といわれています。

お盆の期間中は極楽浄土にいるご先祖様や亡くなった方の魂が現世に帰ってくると信じられているため、迎え火を焚くなどしてお迎えする習わしがあります。膳をお供えしたり祭事を行うことで盛大にもてなし、再び戻ったあの世での冥福(幸せ)をお祈りする、という日本の伝統行事です。

東京のお盆は7月に行う風習がある?

お盆の風習イメージ1

全国的に見ると、8月15日を中日とした8月13日~8月16日をお盆と呼ぶことの方が多いです。一般企業のいわゆる「お盆休み」もこの期間中であることが多く、併せて帰省ラッシュなどが発生する期間でもあります。

ただ、お盆の期間というのは実は全国共通ではなく、東京や神奈川など一部地域では7月15日を中日とした7月13日~7月16日の期間にお盆行事が行われることがあります。

というのも、もともと日本では旧暦の7月15日(現在のカレンダーで8月15日前後)にお盆行事を行っていましたが、明治時代に暦が太陽暦に変わったことで約1ヶ月ズレてしまったのです。しかし新暦(現在のカレンダー)だと7月15日頃は農繁期にあたり、農家の人々としてはその時期にお盆行事を行うのが難しかったのだそう。そこで、農業を生業とする多くの地域では旧暦の7月15日と同時期にあたる新暦の8月15日にお盆を行うことにしたのが定着した、というのが定説です。(※)

逆に言うと、7月15日にお盆行事を行うことにした東京などの一部地域は、新暦のスケジュールに対応することができたということなんですね。

また、なかには沖縄のように旧暦に忠実に習っているため毎年お盆の日にちが異なるような地域もあります。

※お盆期間の所以には諸説あります

お盆は具体的に何をして過ごすの?

全国で一般的に行われるお盆の準備やお盆中の過ごし方がこちらです。

【お盆前日までにしておく準備】

  • 仏壇や仏具の掃除をする
  • 精霊棚(盆棚)を用意する
  • 供物や線香などを用意する
  • 盆提灯や精霊馬などの盆飾りを用意する
  • 家の敷地や周囲の草刈りをする

現代では簡略化され、精霊棚は用意せず仏壇をきれいにして盆飾りとお供えをする家庭も増えています。

お盆の風習イメージ2

精霊馬(しょうりょうま)はお盆の代表的な飾りで、キュウリで作る馬とナスで作る牛がよく知られています。これらは魂が現世と冥府を行き来するための乗り物になるといわれ、来るときは馬で素早く駆けてきて、帰りは牛でゆっくり帰ってほしいという願いが込められているのだとか。

【迎え盆(13日)の過ごし方】

  • お墓参りに行ってお墓の掃除やお供えをする
  • 夕方に迎え火を焚く
  • 盆提灯に灯りをともす

夕方には迎え火を焚いてご先祖様をお迎えするため、お墓参りはできるだけ午前中に済ませるのが良いとされています。

【中日(14・15日)の過ごし方】

  • 精霊棚に食事や故人の好物などをお供えする
  • 親族や親しい友人を招いて会食する
  • 初盆であれば僧侶を招いて法要を行うこともある

お盆の風習イメージ4

中日の間は朝・昼・晩の3回、家族と同じ食事をお供えしたり、地域によって決まった献立の膳をお供えします。13日にお墓参りに行くことができなかった場合は、中日のどちらかで行くのが一般的です。

初盆(故人が亡くなってから初めて訪れたお盆)は通常より手厚く行われることが多く、玄関や仏前に白提灯を飾る習わしがあります。

【送り盆(16日)の過ごし方】

  • 夕方に送り火を焚く
  • 盆飾りを片付ける

お盆最終日の夕方は、ご先祖様の魂が無事にあの世へ帰ることができるように送り火を焚きます。また、お見送りの意味を込めてもう1度お墓参りに行く場合もあります。

盆飾りを片付けるのは送り火を焚いた後のタイミングでかまいませんが、忙しい場合は翌日でも大丈夫です。

※あくまで一般的な例なので、地域や個々の家庭によっても異なります。

お盆中にしてはいけないタブーがあるって本当?

お盆は「地獄の釜の蓋も開く」という表現をされることがあります。

諸説ありますが、現世のお盆休みと同じく、地獄の窯の番人である鬼たちも閻魔様もこの期間中だけは釜を開け放って休みをとる、といった意味合いがあるのだそう。あの世とこの世の境界になっている「釜の蓋」が開くことで、死者の魂がこの世へ帰って来られるということなんですね。

そんな地獄の窯の蓋が開いているお盆の期間中、してはいけないタブーとして古くから言い伝えられている行為がいくつかあります。

その1 むやみに殺生をしてはならない

お盆の風習イメージ6

お盆中は、釣りや虫取りなど生き物の命を奪うことにつながる娯楽はしてはいけないと言われています。仏教では不殺生戒の期間としており、厳格な家庭であればお盆中は肉や魚を使わない精進料理のみを食べて過ごします。

地域によって考え方は異なるようですが、虫はご先祖様がこの世に帰ってくるときの乗り物になるため、虫取りをしてしまうと先祖が帰って来られなくなるという言い伝えもあります。他にも、死者の魂は現世に戻ってくる際にあらゆる生き物に姿を変えてやってくるため、どんな生き物も粗末に扱ってはいけない(食べてはいけない)といった考え方もあります。

また、釣りがタブーとされる理由については、次に紹介している言い伝えも関係しているでしょう。

その2 海や川など水辺に近づいてはならない

お盆の風習イメージ7

水辺に近づいてはならない、というのは、お盆のタブーの中でも様々な地方で伝わる有名な言い伝えです。

水辺は「三途の川」に繋がりの深い場所とされていて、お盆中は特にあの世とこの世の境界があいまいになっているため注意しなければならないといわれます。というのも、お盆に現世に帰って来ているのは何も良い魂ばかりではないためです。地獄に落ちた悪い魂や供養してもらえない悲しい魂が、生きている人を道連れにしようとして水の中に引き込むのだとか。

もう1つ明確な理由として、お盆時期の海はクラゲや海難事故が発生しやすいというものがあります。8月中旬頃は水温が高くなりクラゲの生育が活発になる時期なので、大量発生したクラゲに刺される恐れがあります。

さらに気候の影響で高波が発生しやすく、例え海水浴場でも離岸流に巻き込まれて沖に流されてしまう危険性が高くなります。

子供の頃、大人から「お盆の時期に海に行ったらおばけに足をひっぱられるから危ないよ」なんて脅かされたことはありませんでしたか?あれは子供たちの海難事故を防ぐ意味もあったんですね。

ただの迷信や言い伝えとは言い切れない、昔の人の知恵といえます。

その3 引っ越しや入籍はできるだけ避ける

お盆の風習イメージ8

お盆は霊を供養する期間であるため、「お祝い事は避ける」といった日本ならではの風習があります。

昔は現代よりもお盆行事を盛大にとり行う家庭が多く、ご先祖様に対して精一杯のおもてなしをするために努めていました。お盆中はお迎えの準備に忙しく、他のことはしていられなかったという意味もあったのでしょう。

また、亡くなった方は生前縁の深い場所(=家)に帰ってくるため、特にお盆の引っ越しはあまり良くないといわれています。一方で、引っ越しを避ける人が多いため引っ越し料金が割安になるという理由で、最近ではお盆時期を狙って引っ越す人もいるのだとか。

縁起を担ぐ意味合いが強いですが、お年寄りや地域によってはこの時期のお祝い事は「不謹慎」ととられてしまうこともあるため、入籍や結婚式の予定は慎重に立てた方が良さそうです。

地方によってイロイロある!全国のちょっと変わったお盆の風習

お盆の風習イメージ3

お盆の明確な起源は不明ですが、日本では7世紀初頭から行われていたといわれています。以来長い歴史の中で、地域によって様々な風習や考え方が生まれ、伝承されてきました。

日本各地にある地方独自の伝統のなかで、少し珍しいお盆の風習をまとめたので参考にしてみてください。

【北海道】

函館など一部地域では東京と同様に7月にお盆を行う風習がある。理由は諸説あり、8月15日に開催される「函館八幡宮例大祭」と重ならないようにしたというのが一説。

【青森県】

津軽など一部地域では墓参りの際に「法界折」という弁当をお供えする。以前はそのまま墓前で弁当を広げてご先祖様と一緒にいただく習わしだったが、近頃は食中毒などの懸念からお墓で食べる人は減っているそう。

【秋田県】

県北の方ではお盆にモナカの皮でできた「盆とうろう」と呼ばれるカラフルな飾りを仏壇に吊るす風習がある。モナカの皮の盆とうろうは津軽や北海道の一部地域にもあるということ。

【岩手県】

「松明かし」といって、岩手県内の一部地域では自宅前で松の木を燃やす風習がある。墓参りの際はご先祖様の墓前で家族で花火(爆竹やロケット花火含む)をして賑やかにお迎えする。

【福島県】

いわき市の無形民俗文化財に指定されている「じゃんがら念仏踊り」という風習(伝統芸能)がある。太鼓や鉦(かね)を叩きながら、新盆を迎える家々を周って供養を行う。

【神奈川県】

三浦市三戸地域では「三戸のお精霊(オショロ)流し」と呼ばれるお盆の習わしがある。お盆期間中「セイトッコ」と呼ばれる子供たちは船飾りを製作し、16日の早朝に墓地を周って供物を集める。それを藁で作った3艇のお精霊船に乗せ、お供え物を積んで華やかに飾られたお精霊船をセイトッコたちが西方の海に向かって泳いで引いていく、という伝統行事。

【石川県】

金沢市周辺の地域では、お盆のお墓参りの際に「キリコ」と呼ばれる木と紙でできた箱のようなものを持参する風習がある。キリコにはお参りした人(自分)の名前を記し、中に蝋燭を立てて墓前に吊るす。伝統を踏襲して近年は「板キリコ」や「風船キリコ」なども登場している。

【長野県】

長野市を中心とする県北地域には乾燥させた白樺の皮を焼く「かんば焼き」というお盆の風習がある。迎え火・送り火として焚く習わしだが、併せて歌を歌う(念仏を唱える)家庭もある。

【滋賀県】

お盆を過ぎた8月23日周辺に、滋賀県を中心に近畿の一部地域では「地蔵盆」が行われる。地域のお地蔵様を清め感謝のお供えをする風習で、子供が各家庭を周ってお菓子をもらったり、縁日が開催されることもある。

【香川県】

小豆島では、8月14日の日の出前から河原で五目飯を炊き出し、お供えをする「川めし」という盆行事がある。小豆島町の無形民俗文化財に指定されており、無縁仏の例を慰めるための風習として根付いている。

【長崎県】

主に海沿いの地域では、お盆が終わる8月15日の夜に「精霊流し」と呼ばれる伝統行事をとり行う。華やかに飾られた「精霊船」に供物や線香を乗せて街を練り歩き、「流し場」と呼ばれる集積所へ運ぶ。移動中はどこもかしこも派手に爆竹が鳴り響くため見学者は耳栓必須といわれる有名な祭事。

【沖縄県】

旧暦の7月13日から3日間をお盆期間とするため毎年日にちが変わる。各地で伝統芸能である「エイサー」が踊られ、お中元を手に仏壇のある親族の家を周り、親族一同が集まって食事をする一大行事。「ウーサンミー」や「ヒラウコー」など沖縄独自のお供え物もある。

受け継がれるお盆の風習と伝統

地域や家系で粛々と受け継がれてきたお盆の風習。核家族や1人暮らし世帯が多い現代では、昔のように大々的にお盆行事をとり行うことは減りましたが、それでも「お盆といえば帰省してお墓参り」という習慣は根付いています。

コロナ禍でなかなか帰省が難しいときは、お盆の風習に習って簡易的な盆飾りやお供え物を用意し、ご先祖様への感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。

文/黒岩ヨシコ

編集/inox.

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