SNSでは幸せそうに見えた友人が突然亡くなった原因とは……?
2022年6月24日よりAmazon Prime Videoで独占配信中のAmazon Original『クロエ』は、イギリスで制作されたミステリー&スリラー・ドラマ。
主演は『ザ・クラウン』などのイギリス出身俳優エリン・ドハティ。
監督は『セックス・エデュケーション』のアリス・シーブライトと、アマンダ・ボイル。
あらすじ
10代の頃仲良しだったベッキー(エリン・ドハティ)とクロエは、成人した現在では明暗が分かれ、疎遠になっていた。
明るく社交的な性格のクロエが地方議員の妻として豊かな生活を送る一方、独身・非正規労働者で認知症の母親と二人暮らしのベッキーは、孤独と惨めさにうちひしがれていた。
それでもクロエの華やかなSNSを毎晩スクロールせずにはいられないベッキー。
そんな中、突然クロエが謎の死を遂げる。
亡くなる直前、クロエのSNSには意味深なメッセージが投稿されていた。
クロエの死の真相が気になるベッキーは偽名を使い、クロエの交友関係の中に入り込んでいく。
見どころ
派遣先の上司夫妻が参加するはずだった富裕層向けの慈善パーティーに、上司の妻の名前を勝手に名乗って堂々と参加する“ヤバい女”ベッキー。
パーティーではご馳走や高いお酒をここぞとばかりに口に詰め込む一方、自宅では同じシリアルばかりを猫背でボソボソ食べている。
冒頭から不気味さ全開のベッキーは、クロエの死後さらに怖いほどの行動力を発揮。
何種類もの偽名を使い分けるだけでなく、自身の経歴等についても息を吐くようにスラスラと嘘八百を並べるのだ。
ベッキーが演じているのは、“理想の自分”。「本来であれば私はこんな人生を送るべきなのに」という強い思い込みと憤りが、常軌を逸した行動に駆り立てているのかもしれない。
ベッキーは嘘に嘘を重ねながらも、クロエが人知れず抱えていた苦悩に少しずつ迫っていく。
冒頭では幸せそうなクロエに嫉妬しているようにも見えるシーンもあるが、実はそんなに単純ではないようだ。
クロエに対しては、嫉妬や羨望だけでなく、寂しさや親愛の情も同じぐらい強く持っていることもわかってくる。
しかし、亡くなったクロエに対して「可哀想に……」と呟くわりには、まるでクロエの人生そのものを乗っ取って完全に同化しているようにしか見えないベッキーはかなり怖い。
思春期の女の子特有の、心理的な距離感が近い……というよりもほぼゼロに等しい濃厚な情愛が、ベッキーとクロエとの間には大人になった後も残っていたようだ。
同じくAmazon Prime Videoで独占配信中のAmazon Original『クルーエル・サマー』も、若い女性同士の濃厚かつ緊迫した関係をスリリングに描いており、いわゆる“イヤミス”的な雰囲気が似ている作品なので、本作を気に入った方はぜひチェックしてみてほしい。
Amazon Original 『クロエ』
Prime Videoで独占配信中
(c)Amazon Studios
文/吉野潤子