APIを導入する際の注意点
サービスの質やセキュリティーの向上など、APIを導入するメリットはさまざまです。一方でいくつかのデメリットもあります。注意点を押さえて、安全に利用できる体制を整えましょう。
APIの提供先の動向に影響される
他社が開発したAPIを利用してサービスを連携する場合、提供先の動向にサービスの質が依存してしまいます。相手の都合でAPIの提供が終了してしまうと、自社もこれまでのサービスを提供できなくなる可能性があることに注意が必要です。
APIで連携していた機能を除いてサービスを維持することも可能ですが、ユーザーの満足度が下がってしまう可能性があります。
また、提供元がAPIの仕様を一方的に変更する場合も少なくありません。実際Twitterをはじめ多くのサービスが、APIの仕様を何度も変更しているのが実態です。
外部APIの利用を検討している場合は、安定して提供されているものかを必ず確認しておきましょう。場合によっては自社で開発した方が運用しやすい可能性もあります。
サーバーの障害で連携できなくなる
APIの提供サーバーに問題が起こると、連携ができなくなるだけでなく、自社のサービスに影響が出る場合も考えられます。サーバーに障害が発生したことで連携が取れなくなり、一部の機能を提供できなくなったWebサービスは少なくありません。
自社でAPIを開発している場合は自力でも解決できますが、パブリックAPIを利用している場合は自社での対処は困難です。提供元の対応を待つほかなく、問題が解消するまでの間はユーザーに対して十分なサービスの提供ができなくなってしまうでしょう。
APIを利用してWebサービスを運用する際には、一時的にAPIが利用できなくなっても十分なサービスを維持できる仕様にしておく必要があります。
APIの活用事例
現在は多種多様なWebサービスがAPIを使って、機能を拡充させています。特に意識していなくても、インターネットを利用する人なら日常的に多くのAPIに触れているはずです。APIの活用事例を知っておきましょう。
各種SNSと外部サービスの連携
TwitterやInstagram・Facebookなどのアカウント情報を使って、各種Webサービスにログインできる仕組みをはじめ、SNSが提供するAPIは各方面で広く活用されています。
いずれも有名な企業が提供しているサービスであり、強固なセキュリティーの下で情報を扱えるのが特徴です。
また、特定のハッシュタグの付いたSNS上の投稿をWebページで表示させる連携法も、さまざまなWebサイトで活用されています。同じ内容を同時に複数のSNSへ投稿できるAPIもあります。
マイナポータルからの申請
『マイナポータル』はマイナンバーカードを利用することで、さまざまな行政サービスをどこでも使えるようにしたオンラインサービスです。所得税や地方税についての情報をはじめ、行政からの各種メッセージをいつでも確認できます。
マイナンバーカードを使って認証するため、高水準のセキュリティー環境下でシステムを使えるのが特徴です。
さらにマイナポータルのAPIを利用すれば、外部サービスからの申請をマイナポータル上で受付可能になり、個人情報の入力といった手間が省けるようになります。多くの申請が必要な場合でも、何度も情報を入力しなくても済むのは利用者にとって大きな魅力です。
さらに行政機関に登録されている個人情報を、利用者の承諾を得て外部のサービスに提供することもできます。さまざまなユーザー情報を自社の製品・サービスの開発に利用できるようになるのもメリットといえるでしょう。
構成/編集部