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「API」って何のこと?今さら聞けないシステム同士の連携に必要な仕組みの話

2022.08.09

システム同士の連携に必要なAPIは、今や効率的なソフトウェア運用に欠かせません。APIの概要と主な種類、企業がAPIを導入するメリットを解説します。各種のシステムを個別に運用している企業は、APIを活用した連携を検討してみましょう。

APIとは?

まずはAPIとは何を指すのか、概要を理解しておきましょう。APIは異なるシステムやプログラムの機能を共有・利用するための仕組みを指します。

プログラム同士を連携するインターフェース

APIは『Application Programming Interface』の略です。プログラム同士を連携させるためのインターフェースで、それぞれ独立したソフトウェアを連携する際、窓口の役割を果たす仕組みを指します。

APIは簡単にいえば、個別のアプリケーション同士がデータをやり取りするときの仲介役といえるでしょう。

近年は多くのAPIがWeb上で公開されており、専門知識がなくても簡単に導入・利用できるようになっています。日頃から何気なく使っているWebサービスの中にも、APIを使って提供されているものが数多くあります。

異なるサービス同士の連携が可能

APIを導入することで他のソフトウェアやサービスの機能を連携できるようになります。例えばWebサイトとSNSの投稿記事を連携させたり、AmazonのAPIを利用して自社のWebページで商品の価格を表示したりすることが可能です。

近年はさまざまなAPIが無料でリリースされており、その多くはWeb上で運用できるため『WebAPI』と呼ばれる場合もあります。現状APIといえばWebAPIを指すケースがほとんどです。

API連携の仕組み

APIは、一定のルールの下で希望者が提供者にリクエスト(要求)を送信し、提供側がレスポンス(応答)をすることで利用できるようになるのが基本的な仕組みです。リクエストを送信するルールや返すレスポンスの内容は、APIの提供者が決めます。

例えば、FacebookをはじめとしたSNSのアカウントでWebサービスにログインするAPIでは、Webサービスの運営者はAPIの提供元であるSNSにリクエストを送信し、ユーザーのアカウント情報の確認を依頼します。

SNS側が本人確認をしてレスポンスを返すことで、Webサービスのユーザーがログインできるようになる仕組みです。

APIの設計段階において提供者がリクエストとレスポンスの仕組みをしっかりと構築しておけば、利用者はスムーズにアプリケーションやサービス同士の連携ができるようになります。

APIの種類

プログラミングのイメージ

(出典) photo-ac.com

次に現在多くのユーザーに使われている、代表的なWebAPIの種類を紹介します。一言でAPIといっても、作成する目的によって公開方法や提供の仕方も変わってくることに注目しましょう。

プライベートAPI

自社でソフトウェアを連携するために開発した独自のAPIは、『プライベートAPI (内部API)』と呼ばれます。主に自社で開発したソフトウェア上で、サードパーティーによって開発されたソフトウェアやサービスの機能を利用するために用いられます。

原則としてAPIは外部には公開せず、社内の業務効率化やコミュニケーションの強化などを目的に使われるのが特徴です。プライベートAPIの開発によって、社内の部門・部署間のデータ共有やシステム連携が可能になります。

パブリックAPI

多くのユーザーに使ってもらうことを前提に開発・提供されるのが、『パブリックAPI (オープンAPI)』です。誰でもフリーで使えるものから、利用に当たって提供元に申請が必要なものまで、さまざまなパブリックAPIがあります。

できるだけ多数のユーザーに使ってもらうことで、自社サービスを普及するために開発されるケースが多く、ユーザーとのコミュニケーションの活性化を狙って提供される場合もあります。

多くのWebサイト上で閲覧できるGoogleマップは、Google社が同サービスの普及を目的に提供しているパブリックAPIの代表例です。

パートナーAPI

特定の相手(パートナー)にのみ利用を許可するのが『パートナーAPI』です。パブリックAPIと同様に利用者がAPIを使うためのアクセスを提供するものですが、提供元と提携している企業にのみアクセスが許されているのが特徴です。

例えば、ホテルの顧客管理システムと提携企業の配車サービスの管理システムをパートナーAPIで連携すると、必要なタイミングでホテルに車両を準備できるようになります。

APIで他社の会計サービスと自社の顧客管理システムを連携している企業もあるようです。APIで提携先と新たなビジネスを創出することもできます。

APIを導入するメリット

タイピングしている手元

(出典) photo-ac.com

APIを開発する理由はさまざまですが、多くの場合において自社サービスの質の向上や業務効率化を狙ったものです。企業が積極的にAPIを導入するメリットを見てみましょう。

サービスの質が向上する

他の有名なサービスやソフトウェアとAPIを使って連携することで、自社サービスの質を向上できます。社内では開発が難しい機能でも、APIを使って専門企業のサービスと連携すれば、必要な機能を実装できるようになります。

結果的にユーザーの満足度が上がり、単独でサービスを提供し続ける場合よりも利用者を増やせるでしょう。ユーザーに満足してもらえるサービスが提供できれば、売上の向上につながります。

無駄を省いたソフトウェア開発ができる

APIによって他のソフトウェアの機能を共有・利用できるようになれば、必要な機能を自社で全て実装する必要がなくなります。結果として効率的なソフトウェア開発が可能になるのも、APIを導入するメリットです。

自社に開発リソースが足りなかったり、特定の機能を実装するための知識やノウハウがなかったりする場合は積極的に活用しましょう。

また高度な処理が必要となるプログラムは、実装までに多くの時間とコストを要します。APIを使えば無料で完成したプログラムを導入できるようになるので、開発コストの大幅な削減につながります。

セキュリティーを強化できる

セキュリティーの高さに定評があるサービスとAPI連携すれば、自社でユーザーの個人情報を扱うよりも、安全にサービスを運用できるのもメリットです。

例えばFacebookやGoogleなどのアカウントで、ユーザーがサービスにログインできるようにすれば、認証はSNS側が担当できるようになります。自社で独自に会員登録の機能を実装するよりも、高度なセキュリティーの下で情報を管理できるようになるでしょう。

APIによってサービス全体のセキュリティーレベルが向上するのです。

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