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なぜ、アメリカ人はマスクを捨てたのか?

2022.07.12

「カルチャーショックだ・・・」

と話すのは、日本からアメリカに訪問中のビジネスマン。

「初めてアメリカに来られたのですか?」と筆者。

「いや。これまで、何度もアメリカには訪れているけれど、コロナ禍での訪問は、今回がはじめて。この光景にびっくりしている。カルチャーショックを起こしそうだ。この光景、とてもアメリカっぽいですね」と。

コロナ禍が生んだ分断、マスクは何処へ行ったのか?

ビフォーコロナと変わらぬ光景が広がるリアル店舗。筆者にとっては、いつもと変わらない当たり前の日常的な光景だ。しかし、どうやら、日本から訪れた方にとっては、この光景は、奇妙なものと映ってしまったらしい。

通常と変わらず、多くの人々で賑わうリアル店舗内を見渡すと我が先にと狭い通路をショッピングカートを押しながら歩く人々の姿が目に留まる。マスクを着用しているのは、ほとんどおらず、高いとはいいがたい天井とその下で密となったフロアでは買い物客らが新しい商品を手にとりながら会話を楽しみ、その隙間を通り抜けて歩くのは、リアル店に隠されているぬいぐるみのマスコットを探す子どもたちの姿だ。

筆者は、仕事柄、毎日、多くの人と接することが多く、コロナ禍当初から、度々、アメリカのマスク紛争にも巻き込まれている。マスク着用に不信感を募らせる側とマスク着用に激励と賛同を示す側の間で挟み撃ちにされながらの対応は、正直、心地が良いとは言い難い。長い間、アメリカで暮らしているけれど、マスクが火花の散る論争となるとは思いもよらず。これまで、経験のなかったことだ。

その度に、一緒に働くメンバーらが

「朝美、日本人はマナーに対して、とても誠実だ。本当に素晴らしいと思う。なぜ、この国は、こんなに騒ぐのだろう。今、ここで起こっていることが本当に恥ずかしい。日本から学ぶべきことは多いと思う」と目の前の光景を見ながら、横で首を振るのである。

これまで、感染状況によってマスク着用が解除となったり、義務化が続行されてたりしてきたけれど、現時点では、アウトドアはもとより一般ビジネス施設のインドアでのマスク着用もワクチン接種の有無を問わず、義務ではなく任意。それぞれの判断に委ねられている形だ。

各小売業企業のリアル店舗によって多少の違いはあるけれど、昨年あたりから、店内はビフォーコロナの流れにほぼ、戻ってきているかと思う。

まず、筆者の知るところでは、入店制限を設けることもなくなり、高齢者のためのシニアアワーもカット。接客デスクやレジカウンターの前に感染予防とされる飛沫防止のアクリルボードも取り外され、レジ待ちで一定の距離を保つための床上のサインも剥がされることになった。また、レジ周りやクレジットカード決済端末機、買い物かご、カートの消毒をマメにすることもなくなり、従業員らのマスクの着用も任意となった。

リアル店を訪れる人々の反応には、マスク着用が任意とされ、自由になったと両手を叩いて喜ぶ人もいれば、感染への不安を隠せない人もいる。特に、お年寄りや健康に不安を抱えている人からの心配の声を聞くことも度々だ。

筆者が働いている職場で一緒に働くメンバーらも、マスクを着用してないメンバーの方が多く、労働時間にマスクを着用しているメンバーは、筆者を含めてほんの数人だけだ。筆者は日本で生まれ、日本で育ち、小中高と日本で学校に通い、日本で暮らしてきているので、マスクの着用には全く違和感を持っていない。しかし、コロナ禍になるまで、マスクなどしたこともなかったアメリカ人にとっては、マスクの着用を意味は、日本で生活してきた(している)わたしたちとは全く、違う意味を持っているのだ。

自分のことは自分で考える。私たちは愚かな羊ではない

よく耳にするのは、マスク着用は感染予防ではない。政治家たちのポリティクスゲームに踊らされているだけ。政治の思う壺=自分の意思が弱いという意味合いがある。自由への抑圧。束縛といったもの。

ある時、一人の男性が大勢の人の中でマスクを着用している筆者に「マスクを着けるのはSheepoだけ」と耳打ちをしてきたことがある。シーポ? SHEEPOとは??

羊(SHEEP)の意味である。

群れを作り、自分の意思を持たず、仲間の後ろをノロノロ歩くだけの羊を意味するそうだ。

なるほど、そういう考え方もあるのか、、、と、あまりのゴッついツッコミに吹き出してしまった筆者は、

「心配しないで。ワタシは、賢い羊なので。アドバイスをありがとう」とその場を微笑んでスルー。コロナ禍で、筆者のスルー力は、ますます向上している。

これまで、筆者の周りには感染した人もいれば、未だに感染する人もいる。人混みの多い密なインドアで一日を過ごす筆者にとっては、まだ、マスクを外す勇気ははない。メエエエエ〜と言われようが、バアアアア〜(アメリカでは、羊の鳴き声は、喉を震わせてバアアアと鳴く)と鳴かれようが筆者にとっては、関係ない。自分のことは自分で考える。自分の意見を持ち、自分の意見を述べる。自分の身は自分で守る。これが、アメリカ暮らしの鉄則であり、それを教えてくれたのは、ここ、アメリカではないか。

最近は、マスクを着用する人としない人が混じり合い、同じ空間を供用している姿を見ることが当たり前の日常だ。マスクを着用するもしないのも自由。他人の目などは気にならない。自分自身のことは、自分自身が管理するのだ。

白井朝美のプロフィール:
米国大学在学中にダンサーに。NYを拠点にダンサーとして活動後、多種多様な業界を渡り歩いた元・3ヶ月坊主のジョブホッパー。米フォーチュン500企業の最も働きやすい企業に籍を置いたのち、アメリカが選ぶ最高の雇用者としてトップに君臨する米大手小売企業に(祝)現職!ライター、ライフスタイルリサーチャー、ブランドアンバサダーとしても活躍。ダンスとヨガとネコと自由を謳歌する自由人。
https://morningbeauty917.wixsite.com/mysite

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