スマートフォンやデジタルカメラ、テレビなど、多数のジャンルに製品を展開するソニー。中でも、イヤホンやヘッドホンといったオーディオ製品は、世界的に人気を博しています。
そんなソニーが最新ヘッドホン「WH-1000XM5」を発売。強力なノイズキャンセリング性能に加えて、低遅延で高精細な音を再生可能な「LDAC」コーデックに対応。高音質が魅力の、フラッグシップモデルとなっています。
発売価格はオープンとなっていますが、ソニーストアでは4万9500円となっています。本記事ではデザインや装着感、音質など、使用感をご紹介します。
デザイン・装着感
WH-1000XM5は、前モデルである「WH-1000XM4」の角ばったデザインを刷新し、丸みを帯びたすっきりとしたデザインを採用しています。カラーバリエーションは、ブラックとプラチナシルバーの2色展開となります。
イヤーパッドは柔らかいソフトレザーを採用しており、メガネの上から装着してもあまり圧迫感がないのがポイント。今回は長時間試せていませんが、疲れが出にくい構造になっているので、テレワーク中の使用もおすすめできます。
ヘッドバンドは前モデルよりも細くなっているのですが、こちらもかなり柔らかい素材を採用しているため、頭にピタッとフィットします。サイズを調節するつなぎ目の部分は、段階的に調節する形式ではなく、自由なサイズに調節できる「無段階スライダー」を採用。装着感が高いだけでなく、すっきりとしたデザインにまとまっています。なお、前モデルではイヤーパッド部分を折りたたんで持ち運ぶことができますが、本製品は折りたたみには非対応となっています。
デザイン的にはアップルの「AirPods Max」に近い印象を受けます。高いノイズキャンセリング性能や、迫力のある音質を再現しようとすると、似たようなデザインに行きつくのかもしれません。
AirPods Maxとの相違点として挙げられるのが、イヤーパッドが少し斜めに取り付けられているため、耳へのフィット感が高い点。加えて、AirPods Maxが384.8gなのに対し、WH-1000XM5は約250gと、かなり軽量に抑えられているのも魅力的でした。
購入時には、専用のキャリングケースと、有線接続用のケーブルが同梱されます。本体をキャリングケースに収納した際には、イヤーパッドがケースに触れないように設計されており、ソフトレザーの劣化を防ぐように工夫されています。
機能・操作性
WH-1000XM5最大の特徴は、強力なノイズキャンセリング性能でしょう。前モデル「WH-1000XM4」では、左右に2つずつ搭載された、計4つのマイクで周囲の音を検知し、逆位相の音を生成することでノイズを除去していましたが、WH-1000XM5では、マイクの数が倍になり、左右4つずつ、計8つのマイクにて収音しています。
また、使用者の髪型やメガネの有無、装着ずれを自動で検知し、ノイズキャンセリング特性を自動で最適化する「オートNCオプティマイザー」機能を搭載しています。
ソニーの担当者いわく、「WH-1000XMシリーズのノイズキャンセリング性能はモデルを追うごとに向上しているが、1世代間での向上率は今回が最大」とのこと。
実際本製品を装着すると、音楽を再生していない状態でも、周囲のノイズがスッと聞こえなくなるのがわかります。音楽再生中は、目の前で会話をしている人の声も全く気になりませんでした。
本体の側面には、タップやスワイプの操作で、音量の調節や次の曲の再生、前の曲の頭出しといった操作が行えるセンサーが内蔵されています。WH-1000XM5の新機能として、タップ操作で「Spotify」の音楽を再生できる「Quick Access(クイックアクセス)」機能が搭載されています。
また、音楽の再生中にヘッドホンを耳から外すと、自動で音楽の再生が停止する、装着検知機能も搭載されています。
なお、前モデルに搭載されていたNFCは廃止。NFCは対応のスマートフォンをタッチするだけでペアリングができる、便利な機能でしたが、本製品では「Fast Pair」という、対応のAndroidスマートフォンに近づけるだけで、スマートフォンにポップアップが表示され、簡単にペアリングできる機能が搭載されているため、時代の流れとともに不要になった機能といえるでしょう。
音質
WH-1000XM5には、ソニー独自開発の30mmドライバーが内蔵されており、金入りのはんだや銅メッキを採用することで、ノイズの少ない、ピュアで精細な音の再生が可能となっています。
また、本製品は「LDAC」という、Bluetooth伝送時の劣化が少なく、多くの情報を伝送できるコーデックに対応しており、ワイヤレスながらハイレゾ音質の再生が可能。音源がハイレゾ出なかった場合も、AI技術で分析し、高音質にアップスケーリングする「DSEE Exrteme」機能も搭載しています。
今回は限られた試聴時間だったため、長時間にわたって音楽再生を試せていませんが、ロックやポップスといったジャンルの音楽は、明瞭で伸びやかな高音域、臨場感と迫力のある低音域が魅力的に再生できます。一定の音域が尖って耳に届くタイプの製品ではないので、ストレスなく音楽が楽しめました。
ノイキャン性能・装着感・音質が前モデルから飛躍的に進化したWH-1000XM5
WH-1000XM5は、ソニーのフラッグシップヘッドホンらしく、超強力なノイズキャンセリング機能や、LDAC対応の高音質が特徴。各機能が大幅に進化しているのはもちろん、デザインを刷新し、より装着感が向上しています。
5万円弱という販売価格に購入をためらってしまう人もいるかもしれませんが、個人的には満足度が高く、十分納得いく仕上がりという印象です。ソニーストアや、各家電量販店などより購入可能なので、気になる人はぜひ試してみてください。
取材・文/佐藤文彦