「この製品は、説明を聞いてもどういう代物なのかよく分からない」ということがたまにある。
今回取り寄せた『CharaChorder Lite』は、まさにそのような製品だ。「複数キー同時入力で人間離れした速度のキー入力を実現する」という触れ込みなのだが、頭の良くない筆者はそれがどういう意味なのかよく分からなかった。
そんな状態にもかかわらず、筆者はクラウドファンディングGREENFUNDINGに試供品配送を依頼したのだから、無謀もいいところ。
が、実際に試してみないことには仕方がない。本当にタイピングが速くなるのか、検証してみよう。
一体どこがすごいの?
『CharaChorder Lite』はIOS/Android/MacOs/Windows/Linux対応の有線式キーボードである。
正直、無線式が珍しくなくなった今になってわざわざ有線式周辺機器を取り上げるのはどうなのか……というのが筆者の胸の内にある。
そしてこの『CharaChorder Lite』、見た目はごくごく普通のキーボード。実際に触れてみても、特に変わったところはない。
とりあえず『CharaChorder Lite』を使って仕事をしてみる。筆者のタイピング速度は大幅に向上……しているとは思えない。
本当に普段どおりのタイピング速度で、「これは実はコンマ1秒単位で見れば速くなってるのか?」と苦悩してしまうレベル。
おいおいおいおい、こんなんじゃ記事書けねぇら!?
頭を抱えながら、GREENFUDING内の『CharaChorder Lite』のページを改めて確認する。
「以下の例では、ユーザーはh+e+l+l+oをタイプしてhelloを出力し、t+h+e+r+eをタイプしてthereを入力します」と書かれていて、その直後に「hello there」とタイピングするGIF画像が貼られているが、それを見てもこの製品の何がすごいのかさっぱり分からない。
「h+e+l+l+o」とタイプして「hello」と出るのは、当たり前じゃないの?
そう思案しながら、筆者はいつの間にか「h+e+l+o」の各キーを同時に押してみた。「h+e+l+l+o」ではない。つまり「l」を1個飛ばしているのだ。
すると、ここで奇跡が起きた。
文字入力のショートカット
Googleドキュメントの画面に突如現れた「hello」という単語。
上述のように、筆者は「h」「e」「l」「o」の4文字を同時に打っている。普通のキーボードではPCが認識した順にこの4文字が
表示されるだけだが、『CharaChorder Lite』の場合はちゃんと「hello」と出るのだ。
そ、そういうことだったのか!!
要するにこの製品は、予め設定された文字の組み合わせを認識してユーザーの求める単語を即座に出すキーボードなのだ。
たとえば、「keep」と打つ場合も先程と同様に「k」「e」「p」を同時押しする。ここでも2個目の「e」を省いても構わない。
画面上に「keep」という単語がパッと登場する仕組みだ。
「where」の場合は「w」「h」「r」「e」の同時押しで出てくる。な、なるほど! 1単語の中に同じ文字が複数あった場合、それをショートカットすることができるのか!?
シャーロック・ホームズとタイピング
コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの中に『踊る人形』という作品がある。
アメリカのギャング組織が考案した棒人形型の暗号を、名探偵シャーロック・ホームズが解読するという内容だ。
一見、子供の落書きにしか見えないこの暗号だが、僕達私達の英雄ホームズ先生は「E」の文字を手がかりに解読を進めた。
なぜ「E」かというと、英語で最も頻繁に使われる文字だからだ。つまり、踊る人形の中で最も登場頻度の多い形を「E」と仮定すれば、あとは単語を推測できるというアプローチである。
この「英語ではEが多い」という要素は、「where」や「there」や「keep」のようにタイピングの煩わしさにつながっている。しかし『CharaChorder Lite』を使えば、それをぶっつり省略してしまうことが可能だ。
「私たちの使命は、人間の平均的なタイピング速度40wpm(40単語/分)を、CharaChorder Liteによって平均的な読解スピードである250wpm(250単語/分)まで引き上げ、文字と音声のコミニケーション差異を最小限にすることです」
さらに『CharaChorder Lite』は、コードマネージャーソフトウェアを使ってカスタムコードを作成することもできる。
筆者の名前は澤田真一だが、「s」「w」「d」「a」と打てば「sawada」という名を出せるよう設定することも。
使ってみて初めて分かる「驚異的な機能」
もちろんそれはそれで練習が必要ではあるが、一度慣れたら今までとは比べものにならないほどのタイピング速度を得られるはずだ。
いや、これはよく考えたもんだ!
この記事の前半は『CharaChorder Lite』のことをボロクソに言ってしまったが、いざ使ってみると入力文字のショートカットによる驚異的な効率を実現できるということを目の当たりにした。
やはり、ガジェットはこの手で使ってみないことには始まらない。
『CharaChorder Lite』はGREENFUNDINGにて4万3,000円(製品1台提供)からの出資枠を公開している。
【参考】
複数キー入力可能キーボード「CharaChorder Lite」が日本初上陸! タイピング速度速度爆上がりで作業効率やゲームの腕をさらにアップ!-GREENFUNDING
取材・文/澤田真一