2022年10月から児童手当の支給要件が改正されます。これにより、年収がおよそ1200万円以上の世帯への特例給付が廃止され、児童手当の支給がなくなります。対象から外れる児童の数は61万人で、全体の4% と推計されています(※1)。
※1 参考引用元:内閣府
児童手当の変更点
出所:内閣府HP
児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人に、3歳未満は月額1.5万円、3歳以上小学校終了前までは月額1万円(第3子以降は月額1.5万円/月)、中学生は月額1万円が支給される制度です。
「第3子以降」とありますが、児童手当の「第3子以降」というのは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降のことで、通常の第3子とは数え方が異なります。
児童手当には所得制限があり、基準を超えると「特例給付」として児童1人につき一律月額5000円の支給となります。
「特例給付」に所得制限
これまでは、「特例給付」の所得に上限はありませんでしたが、今回「所得上限限度額」が設けられ、年収がおよそ1200万円以上の世帯への特例給付が廃止されることになります。
出所:内閣府HP
所得が1200万円を超える世帯の特例給付が一律に停止になるのではなく、上の表にあるように、扶養親族などの数によって「所得制限限度額」「所得上限限度額」は異なります。所得が1200万円を超えていても対象となる場合がありますので、安易な判断は行わないよう注意してください。
また、上の表にある「収入額の目安」は、給与収入のみで計算されています。
実際は、「給与所得控除」、「医療費控除」、「雑損控除」などを控除した後の所得額が基準となるため、給与収入では限度額を超えていても、対象になることがあります。こちらもあわせて注意してください。
なお、勘違いされている方も多いのですが、児童手当の基準となる「所得」とは夫婦の所得の合算ではなく、どちらか高い方の所得が基準となります。
つまり、夫のみの所得で1200万円の世帯では、特例給付の対象から外れる場合があるのにたいし、夫800万円、妻400万円の世帯では支給の対象となるなど、同じ世帯収入でも対象となる場合と対象とならない場合があるため、不公平だともいわれます。
「現況届」の提出が原則不要に
児童手当を受給するには、「現況届」の提出が必要でしたが、今回「原則不要」となります。ただし、各市区町村の判断により、引き続き現況届の提出を求められる可能性もありますので、各市区町村の取り扱いに従って対応しましょう。
離婚協議中で配偶者と別居している人など、引き続き現況届の提出が必要になる人もいますので注意しましょう。
児童手当の所得制限はここを確認
「2022年10月から」という案内により、10月まではこれまでと同様の児童手当が支給されると勘違いしている人もいるのですが、正確には「10月支給分から」ということですので、6月分の児童手当から対象になっています。所得が「所得制限限度額」を超えると月額5000円の「特例給付」となり、「所得上限限度額」を超えると、「特例給付」がなくなります。
具体的にどこを確認すればよいのかというと、確定申告をしている人は、確定申告書の「所得金額の合計」、給与所得のみの人は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が目安になります。6月に届く「住民税決定通知書」から「所得額」や「所得控除」などの額も確認できますので参考にしてください。なお、児童手当の「控除」はすべての「所得控除」が対象ではありませんので、気をつけましょう。
参考:千代田区HP
児童手当の所得制限ギリギリな人は
「住民税決定通知書」から「所得控除」などの額が確認できますが、児童手当の所得制限ギリギリだったという人もいるでしょう。
そのような人は、「所得控除」の欄をよく確認しましょう。対象となる控除の額を増やすことで、所得が所得制限を超えていても児童手当を受給できることがあります。特に「医療費控除」や「iDeCo」などが含まれる「小規模企業共済等掛金控除額」は、対象になっている人が多い控除ですので、よく確認してください。
年収が1200万円以上ある世帯は、児童手当だけでなく、その他の補助金なども支給されない場合があります。高所得な世帯ほど、対象となる控除額の確認を怠らないようにしましょう。
参考:児童手当の所得制限がギリギリでも条件をクリアする方法がある
※データは記事執筆時点での情報。公開後に制度や内容が変更される場合がありますので、最新の情報についてはホームページなどでの確認をお願いします。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
文/家計簿・家計管理アドバイザー あき
著書に「1日1行書くだけでお金が貯まる! 「ズボラ家計簿」練習帖(講談社の実用BOOK)」「スマホでできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他