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飼い犬が近所の住民を噛んでしまった…犯罪の責任を問われる可能性は?

2022.07.07

飼い犬が近隣に住んでいる人を噛んでしまった場合、飼い主は被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があります。

さらに放し飼いをしていたなど、飼い犬の管理があまりにもずさんだった場合には、過失傷害罪などの犯罪が成立する可能性もあるので要注意です。

今回は、飼い犬がご近所さんを噛んでしまった場合に、飼い主が負うべき法的責任をまとめました。

1. 飼い犬が他人を噛んだら「動物の占有者等」として責任を負う

飼っている犬が他人を噛んでケガをさせた場合、飼い主は「動物の占有者等」として損害賠償責任を負います(民法718条)。

動物の占有者等の責任は、民法における不法行為責任の特則です。

1-1. 「動物の占有者等」に該当する者

「動物の占有者等」とは、動物の占有者または占有者に代わって動物を管理する者を意味します(民法718条1項、2項)。

具体的には、以下に挙げる者が「動物の占有者等」に当たります。

・動物の所有者(飼い主)
・所有者から動物を預かっている者(一時的に家に置いている場合、散歩中の場合など)
など

1-2. 「動物の占有者等」の免責要件

動物の占有者等は、動物が他人に加えた損害を賠償しなければなりません(民法718条1項本文)。

ただし、動物の種類・性質に従い、相当の注意をもってその管理をしたことを証明すれば、動物の占有者等は損害賠償責任を免れます(同条但し書き)。

<動物の占有者等が責任を負わない場合の例>

家の玄関部分に座っていた飼い犬が、インターホンを鳴らさず無断で立ち入ってきた来客に驚いて噛みついた。来客は全治3週間のケガをした。

→この場合、飼い主は犬を家の中に飼っていたに過ぎません。

来客が無断で家に立ち入ってくるのは異常事態であるところ、動物の占有者等には異常な事態に対処できる程度の注意義務が課されるものではないというのが判例の立場です(最高裁昭和37年2月1日判決)。

したがって飼い主には、無断で家の中に立ち入る来客を想定して犬を係留するなどの注意義務はなく、来客のケガについての損害賠償責任は発生しないと考えられます。

通常の不法行為責任については、過失の立証責任が被害者側にあります。

これに対して、動物の占有者等の責任については、無過失の立証責任が加害者側にあるため、通常の不法行為責任よりも加害者に厳しい規定と言えるでしょう。

2. 飼い犬が他人を噛んだら犯罪?

飼い犬が他人を噛んでケガをさせた場合、その態様によっては犯罪の責任を問われる可能性もあります。

2-1. 飼い犬が他人を噛んだ場合に成立し得る犯罪

飼い犬が他人を噛んだ場合に成立する可能性がある犯罪は、「過失傷害罪」「業務上過失傷害罪」「重過失傷害罪」などです。

①過失傷害罪(刑法209条1項)

過失により他人を傷害した場合に成立します。法定刑は「30万円以下の罰金または科料」です。

動物が他人を噛んでケガをさせた際に、飼い主として払うべき注意を怠った場合には、原則として過失傷害罪の対象となります。

②業務上過失傷害罪(刑法211条前段)

業務上必要な注意を怠り、その結果他人を傷害した場合に成立します。法定刑は「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

動物園の職員など、業務の一環として動物を管理する者が注意を怠った結果として、その動物が他人を噛んでケガをさせた場合、業務上過失傷害罪の対象となります。

③重過失傷害罪(刑法211条後段)

重大な過失により他人を傷害した場合に成立します。法定刑は「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

動物を放し飼いにするなど、飼い主として払うべき注意を著しく怠った場合には、重過失傷害罪の対象となります。

過失傷害罪の法定刑は比較的軽いのに対して、業務上過失傷害罪・重過失傷害罪については、懲役・禁錮もあり得る重い法定刑が設定されている点にご注意ください。

2-2. 過失傷害罪は「親告罪」|被害者などの告訴が必要

過失傷害罪は「親告罪」とされており、被疑者を起訴するためには被害者などの告訴が必要です(刑法209条2項)。

実際には、動物に噛まれた被害者が、飼い主の刑事告訴まで行うケースは少ないと考えられます。

しかしケガの程度が重い場合などには、被害者の飼い主に対する処罰感情が収まらず、刑事告訴が行われる可能性も否定できません。もし被害者が激しい怒りを示している場合には、一定の示談金を支払って解決することも検討すべきでしょう。

なお、業務上過失傷害罪・重過失傷害罪は親告罪でないため、被害者などの刑事告訴がなかったとしても、状況次第で逮捕・起訴の対象になる可能性があります。

3. まとめ

飼い犬が他人にケガをさせた場合、飼い主は民事・刑事上の法的責任を負う事態になりかねません。

飼い犬を巡るトラブルに巻き込まれないためにも、家の外で飼い犬を飼育し、または活動させる際には、十分な注意を払うことをお勧めいたします。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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