小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

実力はハイエンドモデル!?7万4800円で買えるXiaomi「POCO F4 GT」の買い得度

2022.07.06

■連載/石野純也のガチレビュー

 今やハイエンドモデルは10万円以上が当たり前。その一段上とも言える20万円前後のプレミアムモデルも登場している。数万円で購入できた以前と比べると、手の出しにくい存在になっていると言えるだろう。そんな中、コストパフォーマンスの高さに定評のあるXiaomiが、新たな端末を日本に投入した。それが、同社のサブブランドであるPOCOの「POCO F4 GT」だ。

 同モデルは、10万円から20万円するハイエンドモデルと同じ、「Snapdragon 8 Gen 1」を採用しており、処理能力がとにかく高い。熱発生源を離して配置し、面積の広いベイパーチャンバーを搭載したりと、その高いパフォーマンスを維持できるように設計されているのも特徴だ。一見すると、ゲーミングスマートフォンに近い見た目で、本体の側面にはゲームプレイ時などにLRボタンとして使用できるポップアップトリガーを備える。

 ディスプレイもリフレッシュレートは120Hz対応。背面にはトリプルカメラを備えるなど、ハイエンドスマートフォンとしての機能を一通り満たしている。もちろん、5Gにも対応する。一方で、価格はわずか7万4800円から。メモリ(RAM)を12GB、ストレージ(ROM)を256GBに増量したバージョンも8万4800円で販売されている。一般的なハイエンドモデルと比べると、破格の安さと言えるだろう。では、本当にPOCO F4 GTは“安かろう、悪かろう”ではないのか。発売に先立ち実機を触れて、その実力をチェックした。

Xiaomiが日本に導入したPOCO F4 GT。フラッグシップキラーをうたう、ハイスペックな1台だ

サイバー感あふれるデザイン、側面にはポップアップトリガーを搭載

 まずは外観や基本性能から。本体のサイズは幅76.7mm、高さ162.5mm、厚さ8.5mmで、やや大型の端末と言える。8.5mmという厚さは、機能を詰め込んだハイエンドモデルの割には薄型だ。ディスプレイは6.67インチで、片手操作にはあまり向かない。逆に映像の迫力などは高く、リフレッシュレートが最大120Hzと高いため、ホーム画面やブラウジングの際に素早くスクロールしても、動きが滑らか。10億色の表示に対応しており、色合いも非常に鮮やかだ。

ディスプレイサイズが大きく、映像の迫力がある。一方で、片手操作はややしづらい

厚さは8.5mm。スペックが充実しているわりには、薄型と言える

 デザインで特徴的なのは、サイバーパンク感あふれる背面の装飾だろう。本体中央には縦の線が1本入り、中央には2つの三角形模様が施されている。試用したナイトシルバーはこの装飾が同系色でまとめられており、目立ちにくいが、サイバーイエローはこの部分にコントラストがつけられ、はっきりとわかるデザインに仕上げられている。サイバーイエローというカラー名からも、そのコンセプトを理解できるはずだ。

サイバーパンク的な、直線を組み合わせた模様が特徴的な背面。フラッシュライトが稲妻型なのも、珍しい形状だ

 また、カメラの横のフラッシュライトは、稲妻をモチーフにしている。このライトは、カメラのフラッシュとして利用可能。カメラユニットにもLEDライトがあり、電話などの着信時や充電時に光らせることが可能だ。ユーザーが、色合いをカスタマイズできる点は、ゲーミングスマホでおなじみの仕様。一方で、ロゴなどにLEDライトを仕込んで派手に点灯させるゲーミングスマホとは異なり、どこか控えめな印象も受ける。これは、XiaomiがPOCO F4 GTをゲーミングスマホとして訴求していないからだろう。

カメラ部分に内蔵されたLEDライトは、着信などを知らせる役割がある。光の色は、設定で変更できる

 本体側面には、マグネットでポップアップするボタンが搭載されている。横のスイッチをスライドさせると、ボタンが跳ね上がってくる仕掛けだ。キーストロークはあまり深くないが、確かなクリック感があり、対応するゲームをよりスムーズにプレイできる。一方で、このキーには、各種機能を割り当てることが可能となっている。そのため、ゲームはあまり遊ばないユーザーでも、宝の持ち腐れになってしまう心配がない。

本体側面に2つのポップアップトリガーを搭載。スイッチをスライドさせると浮き上がり、キーが押せるようになる

 ポップアップトリガーには、ダブルクリックと長押し、2つの動作が用意されており、カメラ、ビデオ録画、録音、懐中電灯、サイレントモード、バイブレーションを割り当てることが可能。ボタンは2つあるため、計4動作を設定できる。残念なのは、標準機能だけで、選択肢にアプリがない点。自分でインストールした利用頻度高いアプリ——例えば、PayPayやLINEなどをワンタッチで立ち上げられれば便利なだけに、アップデートでの対応に期待したいところだ。

ポップアップトリガーには、カメラや懐中電灯といった機能を割り当てることが可能だ

ハイエンドに匹敵する高いパフォーマンス、充電もとにかく速い

 チップセットにSnapdragon 8 Gen 1を搭載しているだけに、レスポンスは良好。アプリは素早く立ち上がるし、切り替えもかなりスムーズだ。3Dグラフィックスをフル活用したゲームも、サクサク動く。こうしたパフォーマンスの高さは、ミッドレンジのスマホにはない魅力と言えるだろう。「Geekbench 5」で取ったスコアは以下のとおりで、CPUはシングルコア、マルチコアともに高い数値をたたき出している。

ベンチマークアプリのスコアは非常に高い。処理能力の高さは、トップクラスと言えるだろう

 試用したバージョンは、7万4800円にて販売されるバージョンで、メモリは8GB、ストレージは128GBだが、それでもサクサクと快適に動いたのは、おそらく仮想メモリの機能が十分効果を発揮していたからだろう。この機能はストレージの一部をメモリの代わりとして利用するもので、標準でオンになっている。仮想メモリとして追加されるのは3GB。内蔵メモリと合わせた計11GBの容量は、高価格なプレミアムモデルに匹敵する。

ストレージの一部をメモリとして利用する仮想メモリに対応。標準で有効になっている

 ただし、仮想メモリの機能はストレージに十分な余裕がある時にしか利用できない。メモリが8GBのモデルは、上位版と比べるとストレージが半分の128GBで、その余裕を作りにくくなっているのは仕様的に残念なポイントだ。さらに、POCO F4 GTはmicroSDカードに対応しておらず、写真や動画、音楽といったデータサイズの大きなコンテンツを内蔵ストレージから移して保存できない。1万円値段は上がってしまうが、仕様の差分を考えると、上位版がお勧めできる。

 バッテリー容量は4700mAh。ハイエンドモデルとして突出した容量ではないが、うれしいのは120Wの急速充電に対応していることだ。しかも、この価格ながらチャージャーは同梱されている。Xiaomiの独自規格で、一般的なUSB PDのチャージャーを使うとそこまで高速な充電ができるわけではない点は留意しておきたいが、120Wでの充電はとにかく速い。0%から100%までの充電にかかる時間は、わずか17分。専用チャージャーで充電すると、みるみるうちに残量が上がっていく様子を見ることができ、気持ちがいい。

120Wのチャージャーが同梱される

 120Wのチャージャーが簡単に手に入らないのは難点だが、これさえあれば、あまりバッテリーの残量を気にする必要がなくなる。足りないと思ったら、すぐに充電すればいいからだ。充電が利用できるカフェなどで一休みしている間に、すぐ、フル充電まで持っていけるのは非常に便利と言える。120Wの急速充電は、Xiaomiの最上位モデルに搭載されている機能だが、これに対応しているのもPOCO F4 GTがハイエンドモデルと呼ばれるゆえんだ。

 個人的に気に入ったのは、動きが繊細なバイブレーション。同モデルには、X軸リニアモーターの「CyberEngine」が搭載されており、端末を操作した時にフィードバックが返ってくる。廉価モデルの中にはこの振動の制御が“雑”な端末が多く、まったく揺れなかったり、逆にいきなりブルっと大きな振動が起こることがある。これに対し、POCO F4 GTは、微細な振動ながら、しっかり指にフィードバックが伝わってくる。強弱のグラデーションがなだらかで、それが操作感のよさにつながっている。

CyberEngineでフィードバックを細かく制御しており、操作感の向上に一役買っている

 タッチしてからフィードバックが返ってくるまでの感覚も短く、特にキー入力時など、連続して画面をタッチする際に快適だ。バイブのフィードバックのような機能は、こうした記事で取り上げられることは少ない一方で、毎日何回も体験するだけに、操作感に直結する。決してカタログで大々的にうたえるような目立つ機能ではないが、この価格でも、細部にまでこだわって開発している点は、高く評価できる。

カメラのスペックは抑えめ、日本仕様には非対応だがコスパは高い

 カメラは、トリプルカメラでメインカメラは6400万画素。ピクセルを結合して受光面積を広げるピクセルビニングに対応しており、1200万画素相当だとピクセルピッチは1.6μmになることもあり、暗所での写りは非常にいい。ナイトモードを使うと、街のネオンなどがさらに際立った写りになり、幻想的な雰囲気の写真に仕上がる。夜空の黒にもノイズが浮き出ておらず、好印象だ。AIをオンにして撮影すると、料理もおいしそうに撮れる。

カメラはトリプルカメラで、メインカメラは6400万画素

夜景の写りは良好。ノイズも少なく、明暗差が大きいところもはっきり描写されている。料理も、温かみのある仕上がりだ

 ただ、料理写真に関しては、センサーサイズやレンズの問題もあり、被写界深度が浅く、ピントの合う範囲が狭いのは難点。被写体に少し角度がついているだけで、かなりボケが出てしまうからだ。全体を撮りたい時には、なるべく俯瞰に近い構図にするなど、工夫が必要になる。これは料理写真に限った話ではなく、物撮りにも共通する。不必要なところまでボケてしまうのは、いわばスマホカメラ全体の課題だが、可変絞りを採用した「Xperia PRO-I」のような端末はもっと増えてほしい。

被写界深度が浅いこともあり、ボケが大きく出てしまうケースも

 メインカメラの画質は良好だが、超広角カメラは800万画素で少し解像感が落ちる。また、もう1つのカメラはハイエンドモデルで一般的な望遠ではなく、200万画素のマクロカメラだ。マクロカメラは被写体に寄って接写をする際に便利だが、画素数が200万画素と低く、レンズも暗めなため、あまりきれいな写真が撮れない。あくまでオマケといったところで、利用頻度が高いのは超広角カメラとメインカメラの2つになりそうだ。

マクロカメラで撮った写真。確かに近くまで寄れるのは便利だが、画素数が200万画素しかないため、解像感は低い

 その意味で、カメラ機能は一般的なハイエンドモデルと比べると、やや見劣りするのも事実。価格を抑えたことのトレードオフと言えるだろう。逆に、カメラの多機能さをそこまで重視しないのであれば、この仕様で十分と感じるはずだ。メインカメラのスペックが突出しているバランスの悪さはあるが、ハイエンドモデルのユーザー全員が超広角カメラから望遠カメラまで、余すところなく使いこなすわけではない。メインカメラがよければいい——このようなユーザーには、POCO F4 GTがピタッとハマるはずだ。

 5Gに対応しているのも特徴だ。ただし、注意点として、ドコモのn79(4.5GHz帯)には非対応。この周波数帯は、高出力でエリアを広げるのに使われていることが多いため、ドコモやドコモから回線を借りるMVNOでは、5Gをつかまないケースが増える。オープンマーケット版の端末ならではの難点だ。同様に、おサイフケータイなどにも非対応。決済サービスは、NFCを使ったVISAなどのタッチ決済か、QRコード決済に限定される。

5Gに対応しているが、ドコモのn79は利用できない

 このような弱点はあるが、この処理能力の高さで7万円台は“価格破壊”と言っても過言ではない。パフォーマンスの高さは、長く使えることにも直結する。特にゲームをはじめとしたアプリの快適さを重視するユーザーには、コストパフォーマンスが高い1台だ。デザイン的にはやや派手なところもあるが、使い勝手がよく、かつ処理能力の高いスマホを求めていた人には、うってつけの端末と言えるだろう。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★
持ちやすさ     ★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★
バッテリーもち   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。