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日本屈指のクラフトビール街・東京駅八重洲口にオープンした「お酒ドンキ」の歩き方

2022.07.06

【東京八重洲口にクラフトビール店がひしめくワケその1】八重洲地下街「お酒ドンキ」人気の理由は、意外なビールとの出会い!?

東京駅の八重洲口が、日本屈指のクラフトビール街に進化している。国内外のビールを扱う酒販店、日本の有名ブルワリーの直営店、その他ビアバー。この春、アメリカのビール輸入大手アンテナ・アメリカの東京店がオープンしたことで、その勢いはいや増している。なぜここにクラフトビールが集結するのか、探ってみたい。まず、八重洲地下街に昨年オープンした「お菓子ドンキ・お酒ドンキ」を訪ねてみた。

東京八重洲地下街の「お菓子ドンキ・お酒ドンキ」。店頭はパーティグッズが目立つが、店の奥に踏み入れるとビールのワールドが広がる。

なんじゃこりゃ! 意外性にあふれる「お菓子ドンキお酒ドンキ」のビール棚

2021年5月、コロナ禍の真っ最中にオープンした「お菓子ドンキ・お酒ドンキ」。名前の通り、お菓子とお酒の専門ドンキだ。JRの八重洲中央改札口から地下街に入って、比較的すぐの好ロケーションだ。

店内はワインやウイスキー、焼酎、各酒類に加え、パーティリキュールやゼリー酒、光るグラスなど人気の定番商品であふれている。が中でも、クラフトビールの品揃えが際立つ。店奥のコーナーに冷蔵庫が5面、常温ビール棚が5本。ざっと200種ほど並ぶ。

棚はビールスタイル分けされていて案外わかりやすい。

一見、どこから見ようかと迷うビールコーナーだが、棚ごとにビールのスタイルが大まかに分類されており、思いの外わかりやすい。同時に、そのラインナップは意外性に満ちていた。

ベルギーやドイツの世界的知名度を誇るビールや日本の有名なブランドビールも目に入るものの、そのメジャーどころの合間に見たことのないビールがそこに、ここに、挟まっている! たとえばこれ。

えぞ麦酒の「なまらやばい」。

もしかしてパーティ用? と思いきや、そうではない。「なまらやばいビール」は、長いこと日本にアメリカのビールを輸入してきた「えぞ麦酒」がアメリカ・カリフォルニアで醸造したビールだ。「やばい」だけでない。隣に「なまらにがい」という名のビールもずらり。「なまら」は北海道の言葉で「やたら」「とても」という意味だが、やたら苦みの強いビールでIBU(苦みを表す指数)は100以上。ちなみに日本のラガーは10〜20台が多い。

名前は有名だけれど、珍しいビールも売っている。たとえば青島ビールのIPA。青島ビールといえば、日本でもよく知られた中国の最大手ビールメーカー。中国料理店や飲茶店などで目にすることも多い、が、しかし、それはほとんどラガータイプのはず。しかし、ここには「青島IPA」が並んでいる。

IPAの棚。右に青島ビールのIPAがある。説明ポップも親切。

ビール担当が好みに合わせてレコメンドしてくれる

「最近クラフトビールを知って、もっと知りたいと思って来ました」というお客さんも増えていると話すのは、ビール担当の湯田奈々恵さん。最近は女性のお客さんが増えているという。膨大なビールの種類に圧倒されているようなお客さんも多い。

「どれを選べばいいかわからない……というお客様には、お酒の強さや好みの香り、飲み方などをうかがって合いそうなビールをおすすめしています」。

ちなみに記者の「ホップが感じられ、アルコール度数の高くない、気軽に飲めるピルスナータイプ」という好みには、ハワイのコナ・ブルーイングの「BIG WAVE」をすすめてくれた。3本続けて飲めそうな好みの味だった。

クラフトビール初心者をはじめ、「フルーツ系のビールの人気が上昇中ということで、フルーツビール棚が独立。中でも売れ筋は「ももエール」だという。300円代という価格も、手に取りやすい理由だろう。

クラフトビール初心者にうれしいビールスタイルの説明ポップ。

ウイスキー樽で熟成させたツウ好みのバレルエイジドビールもラインナップ。「何でも遠慮なく聞いてください!」とビール担当の湯田奈々恵さん。

変わり種から王道まで。初心者も熟練も通えるラインアップ

ビール酒販店において、いちばん売れるのは当然、日本の大手ビールメーカーのラガータイプかと思いきや、一番人気はマーベリックスのペットボトル生ビール。ドイツの伝統あるブルワリーのエルディンガーのビールだ。容器の軽さも受けて、マーベリックスの白ビールとラガービールが売れ筋のワンツートップを競っている。ちなみに日本の定番ラガービール群は、次点の3位につけている。

手軽に持ち運べるマーベリックスのペットボトル生ビールは冷蔵庫で冷えている。

たくさん種類がありすぎてどれにしようか迷ってしまうのがクラフトビールの楽しみでもあるが、ラベルもその楽しさのひとつ。見慣れたビールラベルのテイストから逸れた個性あふれるデザインが色とりどりに並んで目に眩しい。潤沢な予算があるなら別だが、「1本か、2本だけ買って帰ろう」の人にとっては、ますます選ぶのに時間がかかることだろう。

「ジャケ買いも意識して仕入れています。この季節はラスタカラーのラベルのビールがよく売れています」(湯田さん)と、ラベルのデザインも季節感も考え抜かれたラインアップだ。

とはいえ、有力な定番ビールもしっかり押さえていることも特筆しておきたい。日本のIPA人気の火付け役ともいえる「パンクIPA」のブリュードッグや、アメリカンIPAのファンを惹きつけて止まないストーン、国産なら伊勢角屋麦酒、ベアードビールなどのメジャーブルワリー、安定した人気を保つベルギーやドイツのビールもそろっている。このように、お酒ドンキのビール棚は多様性そのものだ。「初めての方も、ギークの方も、楽しんでいただける品揃えを心がけています」(湯田さん)。

八重洲口に比較的近いロケーションにあり、会社帰りに人も、観光の人もふらりと立ち寄っていく。東側に1分も行けばアンテナ・アメリカ東京店があり、中央通り方向へ向かえば、お酒の老舗リカーズ・ハセガワ本店がある。そんな激戦地にありながら、初めてのビールとの出会いが期待できるのがお酒ドンキのビール棚だ。クラフトビールファンはもちろん、これから知りたいと思っている人、噂を聞いて立ち寄った人、どのタイプにも「なんじゃこりゃ!」の1本が見つかるに違いない。

坂井哲也店長とドンペンとビール担当の湯田奈々恵さん。

●お菓子ドンキ・お酒ドンキ

八重洲地下街北1号 外堀地下2番通り 0570-002-066

取材・文/佐藤恵菜

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