夫婦そろって「リモートワーク症候群」の危機
リモートワークが始まり、3年目に突入…。最初は通勤時間が無い分、時間にゆとりが出て喜んでいたのだが、1年たった頃から夫婦ともども、健康診断の数値がいきなり悪化してきた。原因には心あたりがありまくり。家から出なくなったことによる運動不足に加え、毎日の昼食がほぼカップ麺か冷食の麺類に。栄養的に不安があるのはわかっているが、どう考えても仕事しながら、毎日、栄養バランスを考えた昼食を用意するのは無理(気持ち的にも時間的にも)…。
思い悩んでいた時WEBで見かけたのが、日清食品の「完全メシ」の広告だった。
なんと、食べ慣れたカレーメシ、ラ王で、33種類の栄養素が摂れるというではないか。
本当にそんなうまい話があるのか。あるならぜひ乗ってみたい。値段を見ると、「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」が税込み429円。普通のカレーメシの261円に比べると1.5倍強の価格だが、栄養バランスがとれた食事を作る手間や材料費を考えると全然安い。タダ同然と言ってもいいくらいだ。
さっそく「完全メシ」のウエブサイトから、大好物の「カレーメシ」を購入してみた。
仕掛けだらけのパッケージに、高まる期待、深まる謎
2022年5月30日に発売された「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」(429円 ※税込み、以下同)
注文して数日後に届いた「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」(以下「完全メシ カレーメシ」)。本体部分はいつもお世話になっているカレーメシと同じだが、何か巨大なものが乗っている。もしやここに、33種類の栄養素が…?
「栄養バランスを考えるのが、めんどくせぇヤツらに!」という胸につきささる呼びかけ。「管理栄養士9割推奨!」という自信に満ちた文言が頼もしい。残り1割の栄養士の方の意見も少し気になるが、9割推奨なら問題ないだろう。
それにしても、「完全」とはずいぶん大それた表現だが、いったい何が「完全」なのか。そう思ってパッケージを見てみる。
なるほど、完全なのは、「栄養とおいしさのバランス」のことなのか。
深まる謎。まずは作って食べてみた。
「完全謎パウダー」と「仕上げオイル」で調理。むせるほどのスパイスの香り
開封して驚いたのは、「完全謎パウダー」なる袋。通常のカレーメシなら、ご飯の中にカレールウが入っていて、お湯をかけてかきまぜるだけで完成する。しかし、「完全メシ カレーメシ」の場合は、お湯を注いで5分後、このパウダーと「仕上げオイル」をかけて完成するのだ。
お湯を入れてご飯を戻してから「完全謎パウダー」を投入。まるでインドカレー店にいるような、本格的なカレースパイスの香りが広がる。
まぜ続けること数分。本格的なインド料理店にいるような、エキゾチックな香りがキッチンに広がる。これまで「完全栄養食」系のフードには何度も味で裏切られてきたが、これはいけそうな予感がする…。ちなみに日清食品からの情報によると、普通のカレーメシよりも混ざりやすいとのこと。
驚愕!食べ慣れた「カレーメシ」を超える美味しさ
いつも食べているのと同じ、どころか、なんならいつも食べているのよりも美味しいカレーメシだった!カレースパイスの風味が鮮烈かつ複雑で奥深い。公式サイトを見ると、「コリアンダー、カルダモンなどのスパイス」とあるが、これのせいか(カルダモンは高価なので市販のカレー商品ではそんなに使えない、と聞いたことがある)。
これまで食べて来た「完全栄養食」系フードは、どうしても食べるとクセのある食べにくい後味が残った。入っている栄養素特有の味なのでしかたがないと思っていたのだが、「完全メシ カレーメシ」はそれを「完全」にマスキングしている。
ちなみに、「完全メシ カレーメシ」のほかに、「完全メシ 豚辛ラ王 油そば」も試してみた。
こちらもパンチのある味わいで、カップ麺の油そばとして普通に、すごくよくできた商品。完全メシでなくても買いたい味だった。
こちらも、栄養素のクセのある食べにくい味がマスキングされていることがわかる。数あるカップ商品の中から、この2品が「完全メシ」に最初にエントリーされたのも納得。
見た目も味も普通の商品に引けを取らない。でも、栄養成分は大きく違う
味は期待以上だったが、問題は栄養だ。
肝心の栄養バランス(上)を、いつものカレーメシ(下)と比較してみた。
タンパク質が通常品の3倍近くあり、脂質と塩分が少なめになっている。ちなみに炭水化物の量はほとんど変わらないように見えるが、公式サイトによると「完全メシ カレーメシ」に含まれる炭水化物には、食物繊維11.1gが含まれている(※「炭水化物」量は、糖質量と食物繊維量の合計)。
通常品に引けを取らない見た目とおいしさなのに、どうやって完璧に近い栄養バランスを実現したのか。日清食品に聞いてみた。
「食の課題を解決したい」という思いで開発
手にとりやすいジャンクな食品で、健康を目指すというのは確かに新しい。日清食品によると、開発がスタートしたのは、2021年8月。その背景にはやはり、“コロナ肥満”の影響があった。
「弊社では以前から、飽食 (オーバーカロリー) による肥満や健康悪化、間違ったダイエットによる隠れ栄養失調など、現代人が抱える食の課題を解決したいと考えていました。さらに新型コロナウイルスの影響によって、新しいタイプの肥満が急速に広がっていること、普段の食生活の中で手軽に美味しく栄養バランスを整えられる食品が求められていることから、新ブランド『完全メシ』を立ち上げました」(日清食品 ビヨンドフード事業部 金子大介氏)。
「完全メシ」は、カロリーや塩分、糖質、脂質、たんぱく質などがコントロールされ、「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素をバランスよく摂取でき、かつ美味しく味わえる食事。そのための工夫が盛り込まれている。
例えば「完全メシ カレーメシ」に使用されている米は通常のカレーメシに使っているものとは違い、食物繊維とたんぱく質を一緒に炊き込んでいる。また食塩相当量や油脂の量も通常のカレーメシより抑えられているが、「カレーメシ」ならではのインパクトのある味わい、やみつき感を表現するのに苦労したという。「栄養素には苦味やえぐみを持つものがあるため、スパイスの使い方を工夫することで、苦味やえぐみを感じることなく、おいしく食べられるようにしています」(金子氏)。栄養成分、風味、見た目、生産性、コストなど、さまざまな要素のバランスを取る必要があったため、のべ200回以上の試作を繰り返したとのこと。
ちなみに「カレーメシ」は、日清食品が“インスタントラーメンに続く第2の柱”とすべく、長く試行錯誤を続けて来た「カップライス」商品の真打ち的存在。2014年の発売以来、カレールウでもレトルトでもなく、お米とルウが混ざった状態で出来上がる“第3のカレー”と呼ぶべき新ジャンルのカレーと猛プッシュしてきた歴史がある。そのカレーメシが「完全メシ」に進化し、カレー好きの日本人の栄養問題も解決しようとしているのは感慨深い。
オンラインストアのほか、都内の一部セブン-イレブンでも販売
「完全メシ」シリーズにはほかに、スムージーもある。
「朝ごはんを食べる習慣や時間のない方や、子育て世代の働く女性にお試しいただきたい商品です。今後は、冷凍食品や菓子、さらには日清食品がこれまで手掛けたことのない新しいカテゴリーでの商品展開も検討していますので、ぜひご期待ください」(金子氏)。
「完全メシ」シリーズにはほかに、「完全メシ グリーンスムージー」(375円)、「完全メシ バナナスムージー」(375円)がある
「完全メシ」シリーズは、日清食品グループ オンラインストアのほか、都内のセブン-イレブン約2800店(2022年6月時点) で販売されている。これからさらに販売エリアを広げ、他食品メーカーとのコラボも視野に入れているとのこと。秋からは、あっと驚く「完全メシ」商品が続々登場するというから、楽しみだ。
取材・文/桑原恵美子
取材協力/日清食品株式会社
◎関連リンク
日清食品「完全メシ」公式サイト
編集/inox.