髪を洗った後に、ドライヤーで乾かさず自然乾燥でもいいかと思ってしまうこともあるだろう。しかし自然乾燥は、髪を痛める原因になるだけでなく、梅雨のじめじめした湿気や汗ばむ時期には頭皮にもダメージがあることをご存じだろうか。
きちんと乾かし、年間で一番多いとされる、秋の抜け毛を最小限にしたいもの。ロングヘアでなければ、ドライヤーなんてどれも大差ないと思う人も多いかもしれないが、近年のドライヤーの進化は著しいものがある。中でも、髪を乾かすだけでなく、+αの機能を持ったものに注目。
オートクリーニング機能をもつものや、顔や首、肩など気になる箇所を温めてくれるもの、肌のうるおいを保つスキンモードをを持つもの、表情筋や頭皮ケアができるものなど、もはや従来のドライヤーで多くうたわれていた「早く乾く」や「髪がツヤツヤ」などのメリットから、躍進しまくっているのだ。そんな最新の高機能ドライヤーを4つ試してみた。
より便利、より使いたくなる高機能ドライヤー4選
(左から)ビューステージ エレガンジェット/ルーヴルドー 復元ドライヤーmini/パナソニック ヘアードライヤーナノケア EH-NA0G/ヤーマン リフトドライヤー
サロン仕様でオートクリーニング機能付き!『ビューステージ エレガンジェット』
ビューステージ エレガンジェット 2万7940円(消費税込み)
アデランスが展開する美容機器ブランド「ビューステージ」から、サロン仕様のコンパクトなドライヤー「ビューステージ エレガンジェット」が、2022年6月1日に発売された。
近年、サロン仕様モデルのドライヤーは珍しくないが、サロン用と家庭用では一部仕様が異なるものが多い中、こちらはサロン用とまったく同じ仕様だ。小型化と軽量化を追求しながら、パワフルな風を実現した、持ち運びにも便利な小型折りたたみ式のドライヤーである。
従来のドライヤーは、風量や風速を求めると、それに比例してサイズや重量も大きくなることが一般的だった。エレガンジェットは、毎分約11万回転するブラシレスDCモーターとCNC加工(コンピュータ数値制御による加工方法)された、アルミ製タービンファンを搭載したジェイエンジン設計を採用することで、小型でありながらパワフルな風量を実現している。本体約390gという軽さで、長時間使用するサロンスタッフも疲れにくい設計になっている。
折りたたむと片手にのせられるコンパクトさ。
アデランスによると、ホテルに宿泊するときにドライヤーを持参する人もいることが調査でわかった。そこで「バッグに入れて持ち運びやすいサイズで、高機能のものを」と開発されたのが、このモデルだ。
では、なぜサロンと同じ仕様なのか。今回、ドライヤーの開発にエグゼクティブアドバイザーとして参加したヘアサロンafloatの宮村浩気さんによると、
「多くの高機能ドライヤーが生まれました。確かに性能はグッと上がり、選択肢も広がっていますが、大きすぎて持ち運びに向いていないものもあり、サロンワークで1日に何人ものお客さまの髪を乾かすとなると、体力的にも軽い方が助かります」とのこと。
小さくても他に負けないパワフルさがあり、静電気を低減する機能がしっかりしているドライヤーを目指して、アドバイザーを務めたとのことで、もう元のドライヤーに戻れないとも話す。音も小さいため、ドライヤーを使用中にお客さまと話ができるところもポイントが高いようだ。
AIプロテクト機能を搭載しLEDでお知らせ。
エレガンジェットの風量は、弱・中・強の3段階。温度も、低温、中温、高温の3段階と冷風モードがあり、コンパクトなボディに10のイノベーションと特許技術が詰め込まれている。
ほかにも、マイナスイオンとプラスイオンの両方をバランスよく送り出すというバイタルイオンを発生させる機能が搭載され、ブラッシング時に髪に発生した静電気の97%を低減。静電気のダメージを抑制する。
また、JIS企画に準拠した測定法において、イオン発生量は上から2番目のクラス5を取得している。さらに、安全に使えるよう危険を探知するとドライヤーが自動停止し、ハンドル部分のLEDで知らせる安全保護システムも搭載されている。髪にやさしく、使う人にとって安心・安全に配慮したドライヤーというわけだ。
専用ノズルは、特殊構造のマグネットで簡単に着脱。
専用ノズルは、特許取得のマグネットアタッチメント構造「イージョイント」を採用し、スムーズに取り外せ、操作性もいい。美容は、毎日の積み重ねで成果が表れるため、プロも満足するように開発したというエレガンジェット。
清潔に使うことで、モーターの寿命も長持ちするため、ドライヤーの運転時間が累積1時間に達するたびに、オートクリーニング機能が自動作動し、掃除してくれる。これは、盲点だったかも。吸い込み口にフィルターがついているとはいえ、確かにモーターへの負担を考えるとクリーニングは必要だ。
髪が美しくなるために、限りなく快適に使えるようにと開発されたエレガンジェット。サロン兼用のため洗面所で使うにはコードが長いと感じたが、音が小さいため、リビングでテレビを見ながらなど、ながらで髪を乾かすときには、コンセントの位置を気にせず使えそうだ。
・ビューステージ
https://www.beaustage.com/
振動で乾かすので肌に触れても熱くない!「ルーヴルドー 復元ドライヤーmini」
ルーヴルドー 復元ドライヤーmini 1万7270円(消費税込み) ※7月1日価格改定後:1万8150円
ドライヤーで乾かすことによる髪ダメージに着目し、徹底的に髪が傷まないようにと開発された復元ドライヤーシリーズのコンパクトタイプ「ルーヴルドー 復元ドライヤーmini」。当てたい場所によって持ち替えられるように設計したという持ち手部分がコンパクトなデザインだ。心もとない気がしたが、握ってみると手にフィットし安定した。
持ち手が小さく見えるが、しっかり握ることができ安定する。
本体をそのまま握ることも。
復元ドライヤーは、一般的な温風で乾かすドライヤーとは、根本的に髪へのアプローチが違う。熱による蒸発に頼らず、振動で濡れた髪を乾かすという特許取得の振動気化乾燥方式が採用されている。
2枚のセラミックフィルターを吹き出し口に配置し、マイナス電子と育成光線で、ケアしながら髪を乾かすという仕組みだ。
髪が傷んでいるというのは、髪のたんぱく質が部分的に壊れている状態のこと。たんぱく質は、熱を与えることでこわれ、一度こわれてしまうと元に戻らない性質を持っている。復元ドライヤーはHAIRモードでも約80度と低温で、髪に近づけて使用しても、頭皮が熱いとは感じなかった。
この復元ドライヤーは、温風の熱を逃がす必要がないため、髪から離してドライヤーを振りながら乾かすのではなく、できるだけ髪に近づけ、ゆっくり髪に当てるようにして使うのがポイントだ。これは、育成光線とマイナス電子の効果を高めるためだ。従来のドライヤーの使い方とは全く違うため、使い方を間違えないよう気をつけたい。
スイッチ部分には、HAIRモードとSKINモードが。
髪を乾かすのはもちろんだが、スイッチ部分にはHAIRとSKINのモードがあり、全身ケアにも使用可能。頭皮を温めてケアすることで、髪が根元から立ち上がりスタイリングしやすくなるほか、顔や肩、腰回りを温めることで、緊張感を和らげてくれる。
キューティクルを模した、吹き出し口の波打ったデザイン。カッサとして使用できる。
ノズルなどの付属品がない代わりに、吹き出し口が波打った形になっていて、直接カッサとして、マッサージに使うことができる。髪を乾かしたついでに、頭や全身のツボ押しすることも可能だ。この場合、電源はオフで使用する。首や肩をゴリゴリしてみると心地よく、肩こりが辛い人に、特におすすめ。コンパクトで、全身に使えるドライヤーだ。
・ルーヴルドー
https://www.louvredo.com/
スキンケアもできる!「パナソニック ヘアードライヤーナノケア EH-NA0G」
パナソニック ヘアードライヤーナノケア EH-NA0G 2万9700円(消費税込み)
ナノイーの浸透率がアップし、高浸透ナノイーに進化したのが、「パナソニック ヘアードライヤーナノケア EH-NA0G」だ。ナノイーを搭載した従来品に比べ、髪へのうるおいが1.9倍に増加。高浸透ナノイーがキューティクルのわずかな間から入り込み、髪の表面だけでなく、髪の内側にまで水分を与えることでうるおいが浸透し、毛先まで水のベールに包まれたようななめらかな手触りにしてくれる。
この高浸透ナノイーは、発生方式を変えることで、水分発生量を18倍に増やしている。また、キューティクルがはがれにくいよう密着性を高めるマイナスイオンの発生量も2倍と、従来品よりケアする機能が大幅アップ。髪を守るキューティクルの密着性が高まることで、UVケア効果も高まるため、紫外線が強いこれからの季節のケアにもぴったりだ。
うるおうとなると、乾かすのに時間がかかりそうだが、風量が上がり乾燥スピードもアップしている。セットノズルを使うと、毛先などのピンポイントをケアしながら乾かすことができる。
髪を乾かしながらモード切り替えがしやすい操作性。
髪を乾かすときは、TURBOかDRYを選択し、髪の根元から全体に温風を当てる。9割ぐらい乾いたところで、温冷リズムモードに切り替えるとツヤ髪に仕上げることができる。そろそろモードを切り替えようかなと思ったときに、鏡越しに操作ボタンが見えるため操作しやすかった。
ハンドル部分の「ION CHARGE+」に触れながら使う。
ハンドル部分にあるイオンチャージプラスのパネルに触れるように持つことで、高浸透ナノイーとミネラルマイナスイオンを髪に浸透し続けるため、しっかりハンドルを握って使うのが効果的だ。
これは、高浸透ナノイーとマイナスイオンはマイナスの電気を帯びているため、あて続けると髪にマイナスの電気がたまり、マイナス同士が反発することで、髪に付着しにくくなる。パネルに触れることで、たまったマイナスの電気を髪から逃がし、高浸透ナノイーとミネラルマイナスイオンが浸透しやすくなる。
スカルプモードやスキンモードで頭皮とお肌もケア。スキンモードは、SET時のみ。
頭皮の表面に残った水分は、べたつきなどの不快感につながるためスカルプモードでは、地肌にやさしい約60度の風で乾かせる。
また、スキンモードでは、お風呂上がりの乾燥しやすい肌に高浸透ナノイーとミネラルを含んだ風を約1分間顔にあてることで肌のうるおいを保ってくれる。髪を乾かし、頭皮をケアし、顔もうるおうという、お風呂上がりの一連の流れがこれ1台でOKというわけだ。従来からあるドライヤーのデザインで持ちやすく、扱いやすい印象のドライヤーだ。
・パナソニック
https://panasonic.jp/beauty/
表情筋や頭皮をケアできる!ヤーマン リフトドライヤー
ヤーマン リフトドライヤー 5万5000円(消費税込み)
髪を乾かすように、リフトケアも日常に取り入れられるのが、「ヤーマン リフトドライヤー」。ヤーマンとして初めて、美顔器機能を搭載したモデルだ。ヤーマンといえば、ウェアラブル美顔器も人気だが、その40年以上の美容機器開発の過程で蓄積してきた表情筋研究の理論を活かし、ドライヤー機能と美顔器機能のそれぞれに求められる異なる機能の精密制御を実現している。
HAIRモードは、3段階で設定可能。
HAIRモードとLIFTモードは、リフトヘッドを着脱することで、自動で変更される。HAIRモードは、UP、SHINY、SMOOTHの3段階に設定でき、髪を根元から乾かすため、直進性のある風を送り出し根元を立ち上げてくれる。大風量で、約60度という低温ながら早く乾いた。
吹き出し口の大きさとのバランスもよく、使い勝手がいい。筆者のパートナーはトリートメントやコンディショナーを使わないのだが、それでもサラサラになるとのことだった。コンディショナーが面倒な日にも、サラサラヘアが実現できるのは、時短で便利だ。
これは、イオンリセットテクノロジーという新たなイオンバランス技術を搭載し、マイナスイオンだけでなくプラスイオンもバランスよく同時発生させることで、瞬時に整った状態へもっていき、乾かした直後からなめらかでまとまりのある髪へと導いてくれるためだ。また、独自開発の小型高速ブラシレスDCモーターを搭載し、精密に制御された風・熱を送り出すことで速乾性を実現している。
リフトヘッドをカチッと音がするまでしっかり押しこんでセットする。
表情筋と頭皮ケア時には、リフトヘッドを装着する。FACEモードとSCALPモードに設定でき、顔と頭皮、それぞれに適した温度と風量に自動設定される。FACEモードでは、1分間に約6000回の振動で、表情筋をよりしなやかにリリース。約39度で温かく、振動にリズムがあり、これで1タームというのが、初めてでもすぐにわかる設計になっていた。エステサロンでも採用されている赤色LEDのフォトケアも同時にできる。
赤色LEDによるフォトケアも行える。
SCALPモードも、同じく6000回の振動で、頭筋をほぐしてくれる。こちらの温度は50度。頭皮マッサージ専用器具は、億劫でなかなか続けられない筆者だが、温かく心地よいリズムでほぐしてくれるため、1日の終わりのリラックスタイムや、朝の目覚めによさそうだ。こちらのモードでも、赤色LEDで頭皮のフォトケアが行える。頭皮は、健康な髪を育てるための土壌のようなもの。髪を乾かしたついでに、頭筋をほぐすことができ、頭皮ケアが習慣化できそうだ。
・ヤーマン
https://www.ya-man.com
基本スペックを確認
キャプション:4ブランドの基本スペック。
髪を乾かすだけなら、もっとシンプルな機能のドライヤーも安価で販売されているが、髪をケアしながら乾かしたり、肌のケアもできたりと、ドライヤーは進化を続けている。操作性や重さ、温度など、髪型やライフスタイルに合わせて選びたい。
取材・文/林ゆり