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明治、ロート製薬、社員の声から生まれた女性のウェルビーイングをサポートする新しいフードブランド

2022.07.04

近年、女性の健康をサポートする商品が多様化しており、従来からある「女性向け」の域を超えるものも見かけるようになってきた。そうした中、フード領域で女性の健康をサポートするブランドがぞくぞく登場している。

その中でも、注目を集めるのが明治とロート製薬のブランドだ。どちらも共通しているのは、女性社員の生の声がきっかけになったこと。どんな声がヒントになったのか。また専門家の見解と共に紹介する。

1.明治が、女性をケアする食品ブランドを始動

明治が2022年秋から「明治 フェムニケアフード」という新しいブランドから商品を発売することを発表した。「フェムニケアフード」とは「女性(Female)」+「ケア(Care)」+「食品(food)」を合わせた造語で、女性特有の健康課題と向き合い、生涯を通じた女性の心とカラダをケアしていく食品を提供する。

「明治 フェムケアフード」ロゴ

その開発のきっかけは、女性社員の声にあったという。スポーツマーケティング部 アクティブビバレッジGの吉田菜々絵氏に話を聞いた。

「女性社員が集まり、新規事業について検討しているとき、日常で困っていることとして『実は生理のときに…』という声が出てきました。当時のチームはたまたま全員女性でしたが、みんなほぼ同じ意見で、生理痛やPMSなどの症状につらさを感じていることがわかりました。しかも解決方法が分からず、それぞれが一人で悩んでいるという状態でした。そのときに、この会議室だけでなく、多くの女性が女性特有の健康課題に悩んでいるとするならば、とても深刻な問題だと感じました。この現状を改善できたら、多くの方々がもっと豊かに暮らせるようになるのでは?と思ったのが、明治フェムニケアフード立ち上げのきっかけとなりました」

明治 フェムニケアフードにより、どのような課題解決が可能になるだろうか。

「今まで、『仕方ないと我慢をしてきた方』に食品でおいしくサポートをするという新しい選択肢を提供することができ、自分自身の身体にもっと関心を持っていただけるようになると考えています」

どのような食品の提供を考えているのだろうか。

「第1弾商品では20~40代の方を想定し、その年代の方々のニーズに応じた商品を展開予定です。毎日の生活に手軽に取り入れたい方に向け、さまざまな食シーンに合わせた、明治ならではの食品形態や素材を活用する予定です。第2弾以降では、第1弾の商品とは別の素材を活用した、更年期の女性に寄り添う商品の展開を予定しています」

明治 フェムニケアフードによって、社会にどのような影響をもたらしたいと考えているだろうか。

「日本における性教育はまだまだ十分とは言えず、女性自身や男性も含めて女性特有の健康課題に対して知識が不足していることが課題だと考えております。

明治 フェムニケアフードの取り組みを通じて女性特有の健康課題の解決に不可欠な正しい知識を普及することで、ヘルスリテラシーの向上ができると考えております。

知っていれば、事前に防げる症状や病気もあると思いますし、もしかしたら大切な人をサポートできるかもしれません。明治 フェムニケアフードを通じて社会全体で女性特有の健康課題について考え、理解を深めることで、さまざまな方が活躍する社会になることを願っています」

「Femlink Lab.(フェムリンクラボ)」

同ブランドの商品発売に先駆けて、女性の健康啓発プラットフォーム「Femlink Lab.(フェムリンクラボ)」の公開を2022年5月10日より始めた。生理やPMS(月経前症候群)の基礎知識、社会や組織における生理との向き合い方、最新フェムテック・フェムケア事情などを、各分野で活躍する有識者の意見を交えながら情報発信していくという。

女性の健康といっても幅広い。同ブランドでは、商品ごとにある程度、的を絞った商品展開になると考えられる。従来にはなかった女性の健康をサポートし、意識向上につながるものを期待したい。

2.ロート製薬 女性向けスポーツブランド「Propo(プロポ)」

2019年に誕生したロート製薬の「Propo(プロポ)」は、女性のカラダづくりを応援・サポートするブランドだ。「“健康的なキレイ”をめざす女性を応援するブランド」という位置付けで、企画立案から同社の女性社員が中心となり、「女性のしなやかなプロポーションづくりを新しくプロポーズ(提案)していく」というコンセプトで展開しているという。

「プロポ プロテイン(食品)」と「プロポ ウォーミングセラム(化粧品)」の2つのカテゴリがあり、食品では大豆とえんどう豆由来の2種類の植物性プロテインを配合するプロテイン、化粧品では運動前後などに使えるボディ用マッサージジェルを展開している。

左)「プロポ プロテイン(ミックスベリー味)」/右)「プロポ プロテイン(カフェオレ味)」各2,592円(税込)

開発に際して、女性社員向けにアンケートを行ったという。どのような声が挙がったのだろうか。ロート製薬の食品事業推進部 食品マーケティングチーム、桃原淑氏は次のように述べる。

「『女性の身体づくりをサポートする商品』というテーマで開発を進めていた中でプロテインに行きついたのですが、当時は女性向けプロテインが市場にあまり多くなかったこともあり、女性社員へのアンケートやヒアリングでは『プロテインは男性が飲むイメージ』『おいしくないもの』『興味はあってもどれを選んだらいいかわからない』といったネガティブな意見が多く挙がりました。また実際に飲んでいる者からも、味がおいしくなかったり、良さがわかりづらいことから、継続するのはなかなかむずかしいとのコメントがありました。そこで女性が『自分向け』と思える上に続けられる、『女性のためのプロテイン』を目指しました」

女性社員の生の声は、開発に際してパッケージや味、配合成分を検討する際の参考にしたという。

「プロテイン商品によくみられるギラギラしたパワフルなパッケージは自分向けでない、との声から、女性社員と一緒に『自分が手に取るなら…?』という視点で検討を重ね、最終的に柔らかいピンクのブランドカラーを基調としたパッケージが誕生しました。コンセプトは『キッチンに置いていても違和感のないパッケージ』です。

味については、女性社員アンケートで上位に挙がった“飲みたい味”である『ミックスベリー味』『カフェオレ味』の実現にこだわりました。大豆やえんどう豆の癖のある味をマスキングするため、果汁やコーヒー豆の組合せなどをいくつも試し、数種類を独自にブレンドすることでおいしく仕上げました。

プロポプロテインは、大豆とえんどう豆の植物性たんぱく質を主原料としていますが、女性社員アンケートで、入っていたら嬉しい栄養成分の上位に挙がり、かつ実際、女性に不足しがちなミネラル(鉄、カルシウム、マグネシウム)に加えて8種類のビタミン、乳酸菌も配合していることも特徴です」

プロポ発売後、女性客からはどのような反応があっただろうか。

「さっぱりと飲みやすくて続けやすい、アレンジレシピで楽しんでいる、飲んだ後ぽかぽかする感じがある、お通じがよくなった、続けて飲んでいたら肌や爪・髪がきれいになった、運動とセットで摂ることで実際に身体が引き締まった、などの声をいただいています。

特に味については『おいしい』と言っていただけることが多いです。それが継続いただける一番のポイントではないかと思っています。継続することで、いい変化を感じていただいている方が多いように思います。

また、毎日飲むことで自分にいいことをしている感じがします、とのお声もあります。プロポプロテインを飲むことが、生活の一部となりいいサイクルにつながっている方もいらっしゃることを嬉しく思っています」

プロポによって、どのような影響を社会にもたらしたいと考えているだろうか。

「近年、『痩せている女性が美しい』という概念から徐々に解放され、健康的な身体づくりを目指す女性が増えてきています。当社はかねてより社会的な課題として女性の『過度な痩せ』に対する啓発活動を行ってきた経緯があり、この風潮はとても良い変化ととらえております。

プロポプロテインはたんぱく質に、女性をサポートする様々な栄養成分をプラスしています。また商品だけでなく、身体づくりの情報発信や、無料オンラインレッスンの場などを提供しておりますので、忙しい中でも身体作りを頑張る女性に向けて『女性の健康的な身体づくりをサポートするブランド』として、このトレンドを支えていきたいと思っております。その結果、毎日を前向きに、アクティブに過ごす女性のWell-being(ウェルビーイング)を応援し、さらに将来の健康寿命の延伸に寄与できることを目指したいと考えております」

プロポはただのスポーツをサポートするだけでなく、女性の健康にキレイになりたいという一歩踏み込んだ思いにアプローチしている。商品をきっかけに健康的な身体づくりへの願望が生まれることもあるかもしれない。

専門家の見解

これらの女性社員の生の声をきっかけに、細かな女性の健康ニーズにアプローチするブランドが生まれていることに対して、女性の健康の専門家はどう見ているだろうか。薬剤師でフェムテックコーディネーターとして活動する岡下真弓氏に意見を聞いた。

【取材協力】

岡下真弓氏
薬剤師/フェムテックコーディネーター
化粧品会社の研究員時代に「女性は生涯を通してホルモンと付き合っていかなければならない」ことを実感。その後、薬剤師として20年以上勤務。患者様と接する中で、薬が必要になる前に、事前のケアが必要と感じ、女性ホルモンの啓発活動を行う。累計9万人のケアをおこなってきた女性ホルモンの専門家としての情報発信のニーズが高まり、フェムテックDJとしても活動中。
資格所属学会:薬剤師・JAAアロマコーディネーター協会認定講師・日本抗加齢医学会会員・日本性科学会会員・アクティブシニア研究会 会員
実績:大阪府高石市保健福祉部フレイル指導担当・2020年 Well-Being Osaka認定 女性の健康講師
https://biyou-do.jp

「豊富な研究データやエビデンスの蓄積、女性の活躍を長期間かけて見守る包容力ある経営層、豊かな経営資金に優秀な人材や技術者が常に在籍する実績のある2社が、女性に特化した商品開発をすることは、フェムテックベンチャー企業にとって驚異かと思います。

かつての商品開発は、一般的に『売れるための戦略』で、『いかに商品を手にとってもらえるか』をメインに取り組んできたように思います。そのため、消費者が商品を購入後、『ないといけないもの』『あって当たり前なもの』になるまでブランド育成ができていなかったように感じます。しかし今回紹介された2社は共に、女性社員の声から始まった企画・開発であり、『リアルな困りごと』であるため、消費者も商品購入後のストーリーをイメージしやすいと考えられます。

また開発にあたり、病識を身につけるため、組織内の相互理解が高まり、社員のヘルスリテラシーが向上し、その結果、プレゼンティズム・アブセンティズム(※)の改善につながります。これからは、目に見える売上重視の『攻め』の新規事業ではなく、得意な分野を活かしながら、消費者だけではなく自社の職員の健康増進にも活かした商品サービス企画が増えてきてほしいと思います」

※プレゼンティズム・アブセンティズム:プレゼンティズムは出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題からパフォーマンスが上がらない状態のこと。アブセンティズムは、心身の健康の問題から就業自体を行えない状態のこと。

女性特有の健康問題を軽視することは、社会の損失にもつながるといわれる。そうした中、これらの食品ブランドが存在することで、摂取するのはもちろん、女性が自身の健康を意識するきっかけになるだろう。今後、さらに女性の健康に役立つブランドや商品が生まれるのを期待したい。

【参考】
明治プレスリリース「明治フェムニケアフード」
明治「Femlink Lab.(フェムリンクラボ)」
ロート製薬「Propo(プロポ)」

取材・文/石原亜香利

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