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引っ越しをした後に選挙権を得るために必要な手続きと条件

2022.07.04

「今回の選挙は投票したい議員がいる」そう思っていても、引越しをきっかけに投票できなくなる場合があります。なぜ、引っ越すと投票権がなくなってしまう事態が起きるのでしょうか。引っ越しをした際の投票権の有無や確認方法などを解説していきます。

選挙に参加するための条件

選挙に参加するにはいくつかの条件を満たしておかなければいけません。選挙に参加するために必要な条件を解説します。

選挙人名簿への登録が必要

日本で選挙権を持つ人は、一定条件を満たすと市区町村ごとに作られる選挙人名簿へ名前が登録されます。選挙権があっても、選挙人名簿へ登録されなければ投票権はありません。

登録の条件は『満18歳以上の日本国民』であり、かつ『住民票が登録された日から3カ月以上、同じ市区長村の住民基本台帳へ登録されている』ことです。

住民基本台帳とは住民票をまとめたもので、市区町村が管理しています。選挙人名簿に登録されるタイミングは『定時登録』と『選挙時登録』の際です。

  • 定時登録:年4回(3・6・9・12月)の原則1日
  • 選挙時登録:選挙の公示日の前日(選挙ごとに異なる)

参考:総務省|選挙権と被選挙権

引っ越しをすると選挙権はどうなるか?

選挙で演説する人

(出典) photo-ac.com

引越しをした後、選挙権はどのように新住居に移行していくのでしょうか。引っ越しによる選挙権の状態と投票条件について解説します。

新住所に3カ月住まないと得られない

人によっては、選挙名簿の定時登録や選挙時登録に間に合わず、選挙権が取得できないケースもあります。

3カ月ルールは、投票数への不正防止の意味合いです。このルールがないと『ある有権者が選挙のときにだけ全国の支持者を移住させて投票する』といった行為ができてしまうのです。

ただし『18歳の最初の選挙前に転入』『引っ越してからしばらくして転入届を出した』など、状況によって3カ月に満たない場合も例外的に認められるケースもあります。

参考:公職選挙法改正(選挙人名簿の登録制度の改正法) 概要

投票できない場合は旧住所での投票

選挙人名簿の登録が間に合わなかったり、選挙投票日の前後で引っ越しをしなければいけなかったりする場合には、条件を満たせば旧住所で選挙に参加することが可能です。

いずれの選挙も『新住所の選挙人名簿へ登録されるまで』の期間に限定されています。

選挙の種類 同一都道府県内の転居 必要なもの
国政選挙(衆議院・参議院) 指定なし
都道府県選挙(都議会・知事) 必要 市区村長による『転居証明書』の発行
市区町村選挙(市区町村議会・首長) 必要

都道府県選挙と市区町村選挙は、同一都道府県の転居のみ対象です。例えば、東京から千葉へ引っ越したときは、旧住所の東京では選挙に参加できません。

都道府県選挙は、さらに市区町村長が発行した転居証明書が必要です。『同一都道府県内で1回引っ越したこと』を証明する文書になります。

なお、選挙権が旧住所にある場合、投票ハガキは旧住所へ送られます。『旧住所の自治体が指定する場所』で投票を行う点に注意しましょう。

参考:引越したときはどこで投票するのか。(FAQ)|名古屋おしえてダイヤル

海外に引っ越しをした場合も投票可能

引っ越し先が海外であっても、申請を行えば日本の選挙へ投票できます。海外へ引っ越す予定がある場合は『在外選挙制度』を活用しましょう。

在外選挙制度とは、国外にいながら日本の選挙(衆議院選挙・参議院選挙・比例代表選挙・選挙区選挙)に参加できる制度です。在外選挙制度によって集めた投票数を在外投票と呼びます。

在外投票制度は『18歳以上で日本国籍を持っている』ほか、『在外選挙人名簿へ登録している人』が対象です。

在外選挙制度は、出国前でも出国後でも申請ができます。

申請するタイミング 申請先
出国前 住民票のある市町村
出国後 居住地の日本大使館、総領事館

参考:総務省|在外選挙制度について

参考:外務省: 在外選挙人名簿登録申請の流れ

引っ越しによる選挙権を失うケースとは?

選挙用紙

(出典) photo-ac.com

引っ越しをすることによって、選挙権を一時的に失ってしまうケースがあります。引っ越しの頻度が多い人は該当していないかどうか確認してみましょう。

短期間の引っ越しを繰り返す

3カ月以内の引っ越しを繰り返し行うと、選挙人名簿がどこにも登録されておらず、一時的に選挙権を失ってしまうケースがあります。

選挙人名簿に登録するには、3カ月間同じ住所に住んでいることが条件ですが、3カ月以内の引っ越しを繰り返していると、この条件がクリアできません。

例えば、5月上旬に引っ越しをして、7月下旬にまた引っ越しを行い、10月下旬に再度引っ越しを行うとします。すると、どの居住地にも2カ月程度しか住んでいません。

旧住所で登録されていた選挙人名簿が有効なのは『転出届を出してから4カ月まで』です。その後は、新住所の選挙人名簿に登録されるまで、選挙権がない状態になってしまいます。

参考:引っ越しをしたら住民票を移しましょう/とりネット/鳥取県公式サイト

転居手続きを正しくやっていない

引っ越しを行う際には、各自治体へ転出・転入・転居の手続きを行う必要があります。各手続きが正しく行われていない場合や必要な書類が提出されていないと、選挙権が一時的に失効してしまう可能性があります。

旧住所で『転出届』を提出してから、新住所で『転入届』を出しましょう。この手続きをセットで行うことで住民票が登録され、3カ月経過すると選挙人名簿へと登録されます。

なお、同じ市区町村での引っ越しの場合は『転居届』のみの提出です。

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