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ピーク時は男性の8割超が愛煙家!昔は当たり前だった「喫煙者」のための社会

2022.06.28

喫煙は、昭和から平成初期にかけては大人のたしなみの1つだった…

タバコの価格がどんどん高くなっている。

それに比例するかのように、年々喫煙者の数自体も減少傾向にある。

昔…それこそ昭和から、平成の初期辺りにかけて喫煙者は今よりも多かったし、そこかしこにタバコの吸い殻も捨てられていた。

今でこそ夜道を歩けば、スマホの明かりに顔を照らされている人ばかり見るが、昔はタバコの灯りを咥えながら往来する人が多かった。

歩きタバコが当たり前の時代も、かつてはあったのだ。

タバコを吸う人と吸わない人の垣根が乏しく、良く言えば双方の距離が今よりグッと近く、悪く言えば副流煙被害を軽視しがち。

そういう時代がほんの少し前までは続いていたのである。

必然、今では考えられないような喫煙者のためのサービスというものも当たり前に存在していた。

今回は、かつて当たり前に見かけていた、タバコを吸う人たちのための設備や喫煙者が多かった頃の日常あるあるなんかを振り返っていきたい。

喫煙者人口のピークは昭和41年!その驚くべき喫煙率

話の前に、そもそも昔はどれだけ日本人とタバコが密接だったかという話をちょろっとしておこう。

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が運営する「健康ネット 最新タバコ情報」の「成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」にその具体的な数字を見ることが出来る。

昭和40年から平成30年までの、成人喫煙率の調査結果がまとめられており、グラフ化もされているので大変分かりやすい。

引用「健康ネット 最新タバコ情報」の「成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」

こちらのデータによると、もっとも喫煙者の数が多かったのが昭和41年。

成人男性の平均喫煙率がなんと83.7%という高水準となっており、同年の女性の喫煙率も18.0%と今と比べるとやはり高い。それどころか、こちらの喫煙率調査結果を見ると、この年の18.0%は歴代の女性の喫煙率でもトップである。

つまり、昭和41年はまさに喫煙者にとっての黄金時代だったと考えることもできるだろう。

実際、これ以降喫煙率の平均は年々下がっていき、見事に右肩下がりのグラフを描いている。

ちなみにJT全国喫煙者率調査は、平成30年を最後に現在は終了している。が、喫煙者の数が令和に入ってさらに減っているであろうことはおおよそ察しがつくところだ。

公共交通機関に灰皿があるのは当たり前!駅のホームにも、車両内にも灰皿!

現在、バスや電車など、公共交通機関のほぼ全てが禁煙車両となっている。

しかしそれもあくまで今現在の話。

昭和の時代はもちろん、平成に入ってからもしばらくは、こういった交通機関で喫煙すること自体は当たり前のものであった。

当時はまだタバコの煙についての健康被害よりも、大勢の喫煙者の声の方が大きかったというか、ぶっちゃけあんまり社会が気にしてない風潮というものがあった。

たとえば筆者は小さい頃に祖母に連れられ電車に乗って遠出することがあったが、電車に乗るために駅のホームに出るとそこかしこに灰皿が置かれていた。

待合室にも灰皿は当然あったし、それなのにホームには吸い殻がちらほら転がっていた。

電車に乗ったら乗ったで、ボックスを相席していた知らないおっさんが、断りもなくタバコに火を点けていたのも覚えている。

そしてそれが当たり前のことなので、僕も祖母も別に気にしないし、せいぜい車窓を開けるぐらいのものだった(昔は車窓も乗客が開けることが出来た)。

そもそも車輌によっては座席に灰皿が備え付けになっているタイプも多かったし、喫煙者が公共交通機関を使う際に、喫煙を咎めるような雰囲気そのものが希薄だったのだ。

観光バスや飛行機でも、同様の措置は見受けられていた。

さすがに最近は飛行機は全面禁煙が徹底されて久しいし、バスの場合も仮にまだ昔のタイプが残っていたとしても、座席の灰皿は封印され、使えないようになっている。

家族間でもお構いなし!副流煙被害から逃げられなかった時代

公共交通機関ですら喫煙者を広く受け入れていた時代である。当然、各家庭においても、今のような分煙意識なんてものはほとんど皆無だった。

子供がいようと、身体の悪いお年寄りがいようと、自宅でタバコを吸う人というのはいたもの。

喫煙者も多かった時代なので、そうなると部屋の壁なんかもヤニで変色しているという世帯も多かった。

あとはガラスにもヤニが付着して濁るものだから、遺影とか掛け時計といったものは、定期的に雑巾がけをするなどして濁りをとる必要もあった。

副流煙による健康被害はあるということ自体は認識されていたが、多くの家庭では子供や孫がいようと喫煙する成人はいたし、ペットがいても同様であった。

筆者も祖父に溺愛されてはいたが、その祖父がチェーンスモーカーだったので、可愛い孫の肺にはそれなりのダメージがあったはず。

だけどそれが当たり前の時代であったので、特にそれが咎められるようなこともなった。

そもそも親戚の集まりなどに出向けば大広間が雀荘ぐらいタバコの煙で曇っていたし、昔は空調も整っていなかったから、結局どこにいても、誰と過ごしても副流煙被害から逃れるのは難しかったのかもしれない。

子供たちの憩いの場である駄菓子屋だって、店主の老婆が咥えタバコで新聞読んでる時代だったし。

学び舎だって喫煙者だらけ!職員室の灰皿を掃除する生徒たちがガチでいた…

昔は特に気にしてなかったけれど、今考えれば「さすがにそれはおかしい」と思うようなことも、昔の喫煙事情あるあるなのかもしれない。

今現在アラサーぐらいの年齢なら覚えている方も多いはずだが、昔は学校でも喫煙が許されていた。

当然未成年はタバコを吸うことは出来ない。しかし先生方の喫煙については、全然まかり通っていたのである。

喫煙者である教員に、タバコの被害を説明するVHSを見せられる授業を受けた記憶を持つ方も多いのではないだろうか(笑)。

筆者は小学生の頃、職員室の掃除当番をさせられていた時期があるが、そもそも職員室が嫌で嫌で。

怖い先生が昔は多かったし、職員室の空気も健全ではなかったのが大きい。

子供ながらに先生同士のいじめとか、今で言うハラスメントにだってちゃんと気付くものだし、そういうのってあまり面白いものではない。

それに職員室の掃除となると、先生の机に置かれている灰皿も綺麗にしなくてはならなかった。

これがめんどくさいのだ。

なにせ喫煙者が多い時代。

小さな子供が端から順番に先生たちの灰皿に溜まった吸い殻を集めていくと、一巡終わる頃には下手すると、数人の先生がとっくに一服していて、また灰皿に吸い殻がチャージされているのだからたまらない。

でもこれも当時は当たり前の光景だったわけで、「めんどくさい」以外の感想は僕も持たなかったわけだから、本当にほんの2、30年も前はおおらかだったんだなぁ。悪い意味で。

病院でだってタバコは吸えた!喫煙者は入院しても「タバコは吸える」と安心出来ていた時代…

今や禁煙外来なんて言って、タバコをやめようとする人が病院に出向く時代である。

または長年の喫煙によって体にダメージが蓄積した人が入院するということもよくある話。

そのため、今では病院で喫煙するスペースなんてのも、小さな規模の病院以外ではほとんどない。

これは当たり前のことだ。

しかしやっぱり昔はこの辺もおおらかであった。

病院には談話室、待合室など色々と入院中の患者さんやお見舞いに来た人が出入り出来る休憩所というものが昔からあったが、それらの場所にはがっつり灰皿が用意されていた。

筆者の祖父は長年の喫煙と飲酒が祟って60代以降はほとんど病院にかかりっきりで、たびたび入院していたが、自分の腕に刺さった点滴を引き抜いて一旦敷地外に出て、近くのコンビニでタバコを買い、病院に戻って待合室で喫煙しまくっていた。

これでお医者さんにもだいぶ迷惑をかけたもので、祖母も参った様子だった。

終いにはナースコールを押して「タバコ買ってきて」と言う始末。流石にこの時は看護師さんにバチギレされていた。

また、昔の喫煙者の数は本当に半端なかったので、怪我をして入院した人に、知人がお見舞い品としてタバコを差し入れることも珍しくなかった。

松葉杖をつきながら、もらったタバコを吸いに屋上なり待合室なりに出掛ける入院患者もいて、「タバコのために歩くリハビリをしてるようなものだな」と驚いた記憶もある。

あと、入院することになって真っ先に「タバコは吸えますか?」と聞いちゃう人ってのも結構いたようだ。

それでお医者さんからも「喫煙所あるんで大丈夫ですよ」と返されて安心しちゃったりしてね。

娯楽の王道、パチンコ店では目玉が痛くなるほど煙が充満していた!

昭和から平成にかけて、喫煙者の滞在比率が非常に高かった遊技施設がある。それがパチンコホールだ。

元々遊技という建前こそあれど、パチンコもパチスロも実際にはギャンブルである。

ギャンブルをやる者は喫煙者の比率が高いというのは、よく知られている話。

それこそ喫煙者の数は年々低下しているが、ことパチンコホールに足を運ぶ人となると、その限りではないのだ。

筆者は高卒でパチンコホールの社員になって現場を見てきたが、ユーザーの8割以上が喫煙者だったと記憶しているし、タバコの吸い殻を掃除するためだけに専門のスタッフさんを雇う店舗もあった。

また、数年前にはパチスロの解析攻略サイトの仕事もしていた時期があるが、出向くホールによっては喫煙者の比率がほぼ100%な上に空調も質が悪く、滞在するだけで目が痛くなるような環境も……。

実は生まれてこのかた1本もタバコを吸ったことがない人間なので、この時は仕事とは言え本当にしんどかった。

もっとも、令和2年に施行された改正健康増進法によって、居酒屋であろうと喫茶店であろうと、原則屋内禁煙となった。

これを受けてパチンコホールもまた、遊技スペースでの紙タバコは一切禁止されていった。

現在ではホールごとに喫煙室を設けて愛煙家の来店ペースを落とさないように尽力しているところである。

ただ、元々パチンコとタバコの親和性は本当に高いもので、パチンコ・パチスロ業界ニュースサイト「グリーンべると」が昨年4月にパチンコユーザーの喫煙率についての記事を配信している。

この喫煙率が凄いのだ。

以下に引用させていただきたい。

「2021年の遊技者の喫煙率は57.3%と、2020年の55.1%からさらに上昇。その一方、一般成人の喫煙率は19.2%と横這いで推移した。

 遊技者の喫煙率は、一般成人の喫煙率に比べ約3倍となっており、遊技と喫煙の相関性は引き続き、高い状況が続いている」

と、このように今の時代ではあり得ない水準の喫煙率が、パチンコホールでは確認出来る。

あくまでも遊技者の喫煙率の合算なので、男女比は不明だが、ことパチンコホールに限って言えば今も昭和から平成初期並みの喫煙率が維持された世界だと考えることも可能だろう。

もちろん改正健康増進法によってしっかりと分煙が徹底されるようになったので、現在のパチンコホールでは副流煙被害などもほとんど考えられないリスクになってしまっているが。

パチンコホールがヤニ臭い施設というイメージは、ここ2年ですっかり過去の物となったというわけである。

やっぱり、周りに迷惑を掛けない方法で吸うことが大事

思えば筆者の周りにいた喫煙者たちも、もう本当に一握りになってしまった。

タバコの相次ぐ値上げでギブアップしたり、健康のために喫煙したり、リタイアする事情は様々だ。

だが面白いのは、元々タバコを吸わなかった筆者みたいな人間と比べると、昔喫煙者だった人ほど、今の喫煙者にやたら当たりがキツい。

喫煙者叩きみたいなことを言う人って、詳しく聞くと元はガンガンタバコを吸っていたって人が妙に多いのである。

この、元喫煙者からの突き上げを食らって、背中を丸めて肩身の狭い思いをしながら今もタバコを吸っている人に対しては、正直ちょっと可哀想に感じてしまうところ。

でもまあ、昔の喫煙者を取り巻く緩い環境がいつまでも続く方がおかしかったのだ。

喫煙というのは、それをする人にとってはかけがえのない休息だしストレスを発散するための行為なのだろうから、個人的には「周りに迷惑を掛けない方法で吸うんなら、愛煙家でいてください」という立場だ。

文/松本ミゾレ

編集/inox.

【参考】
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」
パチンコ・パチスロ業界ニュース グリーンべると「パチンコ店も屋内原則禁煙に、関係者『時代の流れで仕方がない』」

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