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コロナ禍で青春を過ごした10代は他の世代より志が高く成熟している!?

2022.06.27

 

コロナ禍が長期化する中、誰もがライフスタイルの変更を余儀なくされてきたが、中でも若い世代は特に制限の多い状況に囲まれていたのではないか。入学式や卒業式などの学校行事は軒並み中止され、オンライン授業で友達づくりやサークル活動などの機会が減り、コロナ入社は研修も不十分で仕事にも会社にもなじめない…などなど。

さまざまなコロナショックに直面する今の10代はどう対処しているのか。

この度、セイコーホールディングスによるインターネット調査の結果をまとめた「セイコー時間白書2022」の中から、「10代のリアル」に関する調査結果を抜粋して紹介する。

「時間」や「自分」にいちばん真剣に向き合っている10代

時間が制限されたり追われたりする方が楽しく頑張れる10代。やることが無いと不安にすらなる

時間の使い方であてはまるものを選んでもらった。すると全体では「モノゴトを始める前に目安の時間を計算して行動」(66.0%)、「何事も効率的に進められるよう工夫」(62.9%)が上位に挙げられた。

10代は全体に比べ、「時間が制限された方が頑張れる」(62.5%、全体48.3% +14.3pt)、「やることが無い時間ができると不安になる」(45.0%、全体30.1% +14.9pt)、「せわしなくさまざまなことに追われることは楽しい」(43.0%、全体24.8% +18.3pt)のスコアが高くなっていた。時間の制限や時間に追われることが10代の原動力となっているようだ[図7-1]。

それ故か、「何もしない時間を減らしたい」と答えた人は全体では19.8%しかいないが、10代では3人に1人(33.0%)と最も多くなっている[図7-2]。

やることが無いと不安な10代だが、コロナ禍で「時間」や「自分」についていちばん考えていた

時間に追われることが原動力の10代にとって、行動が制限され、時間が止まったかのようなコロナ禍は過酷な状況と言える。

しかし、そんな中「時間の過ごし方や使い方」をいちばん考えているのは10代(60.0%)だった[図8]。また、自分自身について考える時間が「増えた」のも10代(54.0%)が最も多く[図9-1] 、その時間が「ポジティブな影響をもたらした」と感じているのも10代(36.0%)が最多だった[図9-2] 。つらい環境の中、10代は自分や時間についていちばん真剣に向き合っているようだ。

社会課題にも敏感で“個立”を重視する、成熟したオトナ10代

将来のビジョンもあり社会課題への関心も高い、志あるソーシャルグッドな10代

コロナ禍においても、時間や自分にきちんと向き合う今の10代。将来のビジョンがあるかと聞くと、64.0%が「将来のビジョンがある」と答えた。同様に他の世代にも10代の頃にビジョンを持っていたかと聞くと、30代38.0%、40代39.0%と今の10代に比べ少なくなっている[図10]。

また、今の10代は環境問題やSDGsなど社会課題への関心の高さで知られている。七つの社会課題を挙げ、関心度を聞いた。

すると、全体の関心が高い「省エネ」 (85.0%>全体84.6% +0.4pt)や「環境汚染対策」(85.0%>全体81.8% +3.3pt)への関心度が高いのはもちろん、「サステナブル消費」(82.0%>全体74.4% +7.6pt)や「人権尊重、ジェンダー平等、ダイバーシティ実現」(80.0%>63.8% +16.2pt)、「貧困問題」(79.5%>66.5% +13.0pt)への関心も高くなっている[図11]。今の10代は、ソーシャルグッドを身に付けた第1世代と言えそうだ。

「ひとり時間」を増やしたいが孤独も感じる10代。孤立ではなく個々が自立する“個立”を目指す

コロナ禍で増えたひとりで過ごす時間。ひとり時間を「増やしたい」と答えたのは全体の54.8%、1日に確保したいひとり時間は5.22時間だった。10代では62.0%がひとり時間を増やしたい、1日に5.51時間欲しいと答え、どちらも全体より高くなっている[図12-1]。

また、ひとり時間のイメージを聞くと、10代は「自由」(57.5%)、「好きなことに使える」(51.0%)、「落ち着く」(50.5%)などの好印象の回答が多いものの、全体平均より「さびしい」(16.5%>全体9.9%+6.6pt)、「孤独」(16.0%>全体9.8%+6.2pt)のイメージも高くなっている[図12-2]。

SNSネイティブとも言われ、1日のほとんどの時間を誰かとつながって過ごしてきた10代だが、「ひとり時間を謳歌したい」「ひとりは寂しい」という、相反する気持ちを抱えているようだ。個々が自立する“個立”を目指しながらも、つながりは持っていたいという10代のリアルな胸の内が明らかになった。

心を動かされる時間を渇望する10代、大人になっても学びたい

コロナ禍で青春イベントが軒並み中止の10代、約半数が「心を動かされる時間」を欲している

コロナ禍で青春の思い出となるイベントの数々が軒並み中止された10代。心が動かされる機会が少なくなっている。感動や驚き、学びなどの感情を揺さぶられる「心を動かされる時間」について聞いた。

コロナ禍以降の「心を動かされる時間」の変化を聞くと、「変わらない」(62.9%)が多いものの、2割は心を動かされる時間が「増えた」(21.3%)と答え、年代別では10代が最も多く、37.5%が心を動かされる時間が「増えた」と感じている[図13]。

またコロナ禍以降、心を動かされる時間が欲しいと感じる頻度を聞くと、3割が「増えた」(30.9%)と答えている。感動できるイベントに参加しづらい中、心を動かされる時間への渇望感がより高くなっているようだ。多感な10代では42.5%と半数近くが、心を動かされる時間を望んでいる[図14]。

心を動かす時間、自ら創出する“感動力”が高い10代

感動への欲求に対し、心を動かす時間を能動的に「作った」のは全体の26.8%だった。年代別に見ると10代では34.5%とより能動的だが、50代まで年代とともに消極的になっている[図15]。

また、感動など七つの時間を100万円を元手に割り振ってもらうと、心を動かされる時間にかける金額は10代は8.62万円と低く、60代は14.31万円と高くなっている[図16]。感動時間を能動的に作ることができる10代はお金をかけずに自分で創造する“感動力”が高いようだ。

2022年の新成人、大人になっても「学び」「自分を成長させる」そんな時間を大事にしたい

今年から成人年齢が「18歳」に引き下げられた。そこで新成人となった18歳・19歳に大人になっても大事にしたい時間を聞いた。すると、「趣味」(70.5%)、「休息」(66.7%)、「おいしいものを食べる」(64.8%)など自分の欲求を満たす時間が上位となったが、「学びを得る」(61.9%)、「自分を見つめる」(57.1%)、「心を整える」(55.2%)、「自分を成長させる」(53.3%)など、自身を磨き高め、自己実現する時間を大事にしたいと考える新成人が半数以上いた[図17]。

具体的に聞くと、「時間の使い方にメリハリを持って計画的に行動する人間でありたい」(男性18歳)、「プライベートの時間を自分にとってよりよいものに有効に使える大人」(女性19歳)、「自分と向き合う時間」(男性18歳)、「将来を見据えて継続的に考える時間」(女性19歳)などが寄せられた。

専門家のコメント

今回の調査結果について、心理的なアプローチによる「時間学」を提唱している千葉大学大学院の一川誠教授の見解を紹介する。

実はポジティブな時間感覚を持つ10代 社会的な視点と自身を見つめる視点を兼ね備えている

今回の調査では、10代の時間感覚について深く掘り下げています。学校行事も無く、友達と会うこともできない、そんな青春時代を過ごすことになって、今の若者はネガティブになっている… と捉えられがちですが、他の世代に比べてむしろポジティブな時間感覚を持っていることがわかりました。

コロナ禍生活で、自分自身や、人生をより豊かにするための時間の使い方について一番考えているのは10代という結果が出ました。またその考えがポジティブな変化につながった、と実感しているのも10代が最も多くなっています。さらに、今の若者は社会的な視点も持っています。図11の通り、特に20代、30代と比べると社会課題に対して非常に関心が高い。

社会的な視点と、自分自身を見つめる視点の両方を兼ね備えているのが今の10代です。これからの時代を担う彼らが、コロナ禍を悲観的に捉えることなく、自分や時間に前向きに向き合っていることがうかがえます。

自ら“心動く時間”を作る コロナ禍での制限から生まれた功績か

また今の10代は、コロナ禍での制限された状況においても、心を動かされる時間が「増えた」と感じています。修学旅行など学校でのイベントは無くなってしまいましたが、その代わりに自ら能動的に感動機会を作っていることがうかがわれます。

決められた学校行事ではなく、自ら立てた計画にしたがって積極的な姿勢で時間を過ごすことによって、より感動の機会が増えているのかもしれません。

自ら行動することで感動が得られることを、彼らはわかっているのでしょう。心を動かす機会を得たい(図14)→自ら動く(図15) →結果、心動く時間が増えた(図13) と考えられます。また、心を動かすことにかけたいと思う金額が他の世代より少ない(図16)のは、お金をかけずとも自分で感動を作るチカラを持っているからではないでしょうか。

「青春イベントが無くなってかわいそう」と思われてきた10代ですが、コロナ禍の2年間で自分たちの身の処し方や、自ら動くことによる感動の見つけ方を学んだのかもしれません。実際、学生たちを見ていると、こちらからの指示を待つよりも、自分でやれることや課題を見つけて積極的に動く学生が増えているように感じます。

人それぞれに合った時間の使い方 そんな社会に変えていく10代のチカラに期待

私も大学で10代を含む学生と日々接しています。以前の学生と比べると、特に最近は積極的に動く学生が多いと感じます。その点で,今回の調査における10代の結果は、彼らについての印象とも一致します。

その一方で、彼らは時間の見積もり方についてはまだ模索中のようで、例えば「レポート提出の期限に間に合わなかった…」といった失敗談をよく聞きます。コロナ禍で環境が大きく変わり前例がなくなったため、時間がうまく読めないのでしょう。

そんな状況に鑑み、こちらも以前と同じ評価基準ではなく、この状況でできることを基準に評価するようになっています。コロナ禍という特殊な環境により、おのおのの事情や状況に合わせた時間の使い方が考慮され、無理のない落とし所を探っている状況です。

彼らが社会に出る頃にはコロナは収束しているかもしれません。しかし、従来の日本社会の「長時間働くことが高評価」という風潮に戻ることなく、それぞれの働き方や時間の過ごし方を尊重した上で、中身や成果を評価する社会へと変わっていくことが望まれます。コロナ禍の青春で自分自身と時間の使い方に向き合った今の10代が、そんな社会への変革を「粛々」と進めてくれることを願っています

<一川 誠(いちかわ・まこと)先生>
千葉大学大学院 人文科学研究院教授
専門は実験心理学。実験的手法により人間が体験する時間や空間の特性、知覚、認知、感性の研究に従事。現在は、視覚や聴覚に対して与えられた時空間情報の知覚認知処理の特性の検討を行っている。『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書)、『時計の時間、心の時間-退屈な時間はナゼ長くなるのか?』(教育評論社)など著書多数。

<調査概要>
調査時期:2022年4月28日(木)~5月1日(日)
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国の10代~60代の男女1,200人
(男女各600人 各年代別に男女各100人ずつ 10代は15歳以上)
調査委託先:マクロミル
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合がある。また、金額は小数第1位以下を四捨五入している。

出典元:セイコーホールディングス株式会社

構成/こじへい

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