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隣に高層マンションが建つと確実に日当たりが悪くなりそう…何か対抗策はある?

2022.06.26

マンションや戸建住宅を購入したのに、その後、隣地に高層マンションなどの高い建物が建ち、日当たりが悪化してしまうケースがよく見られます。

この場合、日当たりの悪化を黙って我慢するしかないのでしょうか? それとも、何らかの法的な対抗策を講じることができるのでしょうか。

今回はいわゆる「日照権」について、法的な問題点をまとめました。

1. 日当たりの悪化は我慢しなければならないのか?

土地上に建物を建てた場合、その高さや位置などによっては、隣地の日当たりに悪影響を及ぼす可能性があります。

建物の日当たりは、住んでいる人の健康に大きく関わるほか、資産価値にも影響し得る重要な利益です。そのため、最高裁の判例により、一般に「日照権」と呼ばれる権利・利益が認められています。

1-1. 「日照権」という考え方

「日照権」とは、快適で健康な生活を送るため、建物内において日照を享受する利益を意味します。

最高裁昭和47年6月27日判決では、いわゆる「日照権」に当たる上記の利益を「法的な保護の対象にならないものではない」と判示しました。

そのうえで、権利の濫用にわたる行為によって日照を妨害した場合、加害者は被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負う旨が示されています。

1-2. 日照権に関する「受忍限度論」

「日照権」が認められる一方で、土地所有者の側にも、土地上に建物を建築する自由があります。

この両者の権利・利益を調整するための考え方として、裁判実務上採用されているのが「受忍限度論」です。

前掲の最高裁判例では、日照が害されることによる損害が「社会生活上一般的に被害者において忍容するを相当とする程度を越えたと認められるとき」に、権利濫用として違法となる旨が判示されています。

この判示が、いわゆる「受忍限度論」を示したものです。

日照権侵害の違法性を判断する際には、以下の事情を考慮して「受忍限度」を超えているかどうかを判断すべきと解されています。

①日照妨害の程度
②地域性を考慮した日照保護の必要性
③日照妨害を回避するための配慮の有無(加害建物・被害建物双方)
④被害建物の用途(住居であれば、日照権保護の必要性が高い)
⑤加害建物の用途(公共物であれば、日照権侵害が認められにくい)
⑥加害建物の適法性(建築基準法令に適合しているかどうか)
⑦加害者の被害者に対する態度・対応
など

2. 建築基準法でも、日照権にはある程度配慮されているが…

建築基準法では、日照権侵害の問題発生を極力防ぐため、「斜線制限」と「日影規制」の2つの規制を設けています。

2-1. 建築基準法上の斜線制限・日影規制

「斜線制限」とは、周囲の道路や隣地境界線などを基準として架空の斜線を定め、その斜線を超える建物を計画してはならないとする規制です(建築基準法56条)。

「日影規制」とは、冬至の日を基準として、隣地で一定時間以上の日影が生じないように、建物の高さを制限する規制です(同法56条の2)。

いずれも隣地の日照(+通風)を過度に遮らないように設けられた規制であり、建築確認時と検査時の両時点で遵法性チェックが行われます。

ただし、検査時点では斜線制限・日影規制を満たしていたものの、その後無許可で増改築を行ったなどの理由で、規制違反の状態となった建物も見受けられます。

2-2. 斜線制限・日影規制と受忍限度論の関係

日照権に関する受忍限度論では、建築基準法の斜線制限・日影規制を遵守しているかどうかを、日照権侵害の有無を判断する際の考慮要素と位置づけています。

つまり、斜線制限・日影規制を遵守したとしても、日照権侵害が成立するケースはあるということです。

その反面、斜線制限・日影規制への違反が認められる場合でも、他の事情を総合的に考慮して、日照権侵害が否定される可能性もあります。

もちろん、建築基準法を遵守しているかどうかは重要な考慮要素ですが、それだけで日照権侵害の有無が決まるわけではなく、あくまでも総合的な判断が行われるものとご認識ください。

3. 日照権侵害を受けた場合の法的な対抗策

隣地にマンションなどが建築され、自宅の日照が害された場合、以下の請求により対処することが考えられます。

3-1. 損害賠償を請求する

日照権侵害が認められる場合、加害者は被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条)。

被害者としては、日照妨害が権利濫用に当たることを、受忍限度論を踏まえて立証することが求められます。

3-2. 建築確認の取消しを求める

隣地の建物が未着工または建築中の場合は、審査請求(建築基準法94条1項)や取消訴訟(行政事件訴訟法8条1項)を通じて、建築確認の取消しを求めることも考えられます。

さらに、建築工事を差し止める仮処分を申し立てることもできますが(民事保全法23条2項)、申立ての際にきわめて高額の担保を立てる必要がある点に注意が必要です。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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