独りぼっちではないはずなのに、みんなで一緒にいるときにふと寂しく感じたことはないでしょうか?それは「疎外感」というグループや今いる場所から外されたような感覚なのかもしれません。なぜ寂しく感じてしまうのかを聞かれたとき、ほとんどの方は「なんとなく」「どこか」と具体的な理由を言うことができないはず。「疎外感」はそんな漠然とした寂しさからくるものなのです。ここでは疎外感の意味、感じてしまいやすい人の特徴、そして疎外感を克服するヒントをご紹介します。
疎外感とは
疎外感とは、「集団の中なのにひとりぼっちだと感じてしまう」ことを指します。
よくひとりぼっちというと、「孤独感」と混合される方がいますが、疎外感は「集団の中で感じるもの」であり、孤独感は「1人でいるときに感じるもの」と区別されます。
孤独感は1人という状況や現状からきているものに対して、疎外感は「なんとなくみんなの輪に入っていけていない」「ずっと聞き役ばかりで会話に入っていけていない気がする」という漠然としたものなのも特徴です。孤独を感じる対象が、周囲という他人なのか自分なのかの違いもあります。
疎外感を感じやすい人の特徴
先ほどご説明した通り、疎外感は漠然としたものであることがほとんどです。なので、個々によって物の見方や価値観が違うように、疎外感を感じやすい人もいれば、まったく疎外感を感じない人もいます。ここでは感じやすい人の特徴をお伝えします。
自己肯定感が低い
自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する感覚」のこと。自己肯定感の高い人は、自分を肯定しているので、自分のやりたいことに素直に行動を起こし、他人の評価を気にしません。
一方、自己肯定感が低い人は、自分がやりたいことが正しいのかどうか自分では判断できずに他人に意見を求め、他人に左右されてしまいます。先ほど疎外感の説明の中にあった「ずっと聞き役ばかりで会話に入っていけていない気がする」という場合でも、疎外感を感じている条項であれば自ら会話の中に入ることはほとんどしないでしょう。行動できない裏には「嫌われているかもしれない」という不安があるからです。自己肯定感の低い人は実際に嫌われているという事実があるかどうかは関係なく、他人から「嫌われる」ことを強く嫌います。
人と比較してしまう
前述の自己肯定感の低さでも触れましたが、疎外感を感じやすい人は、何か行動を起こすときに自分主体ではなく、他人に左右されてしまいやすいという特徴があります。これは他人に嫌われたくないという気持ちの他、他人から評価を受けたいという願望が隠されています。自分の価値を自分自身で決められていないので、自分の価値を他人に求めてしまっているのです。
この特徴がある人は、他人に認めてもらいたい、よく見られたいという思いが常にあり、無理に他人に合わせようとしてしまいます。そしてその無理ができなくなったときに疎外感を強く感じてしまうのです。
ネガティブ思考
ネガティブ思考やポジティブ思考という言葉を聞いたことが一度はあると思いますが、これはどちらも人間の自然な感情であり、否定するものではありません。ネガティブ思考の人は物事の考え方でマイナス面をより強く認識してしまうっている状態というだけなのです。
例えば、いつも一緒にいた仲の良いグループの集まりが最近ない、という事実に対して、「もしや知らないところで開催されているのでは」と不安に思ってしまう人もいれば、「みんな忙しいんだろうな」と深く考えない人もいます。どちらの思考も事実は「グループの集まりが最近行われていない」ということだけ。それなのにネガティブ思考の人はその事実に「他で開催されていて誘われていないのかも」という悪いイメージをプラスしてしまっています。
つまり、その疎外感は、〝事実+悪いイメージ〟から強く感じてしまっている可能性があります。
疎外感を克服する3つの方法
最後に疎外感を克服するためのヒントをお伝えします。
小さな成功体験を重ねて自分に自信をつける
これは自己肯定感を高める方法として有効なもので、小さな「できた!」という成功体験を重ねていくことで自身をつけていく方法です。
小さな成功体験とは、日常の中のいつもできているけれど、日常の中で忘れてしまっているものを指します。これを書き留めていくことで自分の中に成功体験を積み重ねていくのです。
例としては、ダイエットのために一駅前に降りて歩いて帰る、周囲1冊本を読む、1時間早く寝る、または早く起きるなど、日常の中で何げなくやっている目標でかまいません。
これを意識して書き留めていくことで成功体験を重ねて、「自分はやればできる」という気持ちを高めていくことができます。そして、自己肯定感を高められれば、ネガティブ思考を手放すことに近づきます。
他人の評価を気にしすぎない
他人の評価ばかりを気にして行動していると、他人の考えや行動は変えられるものではないので期待した反応をもらえなかったときに自らの価値を下げてしまう結果になってしまいます。
そのためには前述した成功体験を重ねることを試してみる他に、1人で楽しめるような趣味などを見つけることも大切です。
「自分のためになること」「自分が満足すること」をメインにやりたいことを見つけられると自然と自分の価値を他人からの評価から自分の満足度に変えていくことができます。
全員に好かれるのは不可能だということを知る
全員に好かれる必要はないと知ることも疎外感を手放す方法です。
疎外感を感じやすい人は、他人に嫌われることを強く嫌います。しかし、先ほども述べたように他人を自分の意思のままに変えることは難しく、あなたがどんなに努力や無理をしたとしても、全員に好かれることはほぼ不可能なのです。
あなたの中にも「なんとなく合わない」「生理的に無理」など苦手としている人がいるように、他人にも必ずこれといった明確な理由もなく「合わない」人は存在します。
その合わない人が仕事関係であれば仕事と割り切った付き合いをする、プライベートであれば無理して付き合いを続けないのも一つの方法です。
無理に合わせないといけない人といても自分にストレスかけるだけです。全員に好かれる方法などないのですから、自分が好きだと感じる、無理をしないで一緒にいられる人との関係を大切にしてみてください。大切に思い、大切にされている関係であれば疎外感を感じることなく一緒にいられるでしょう。
文・構成/藤野綾子