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韓国エンタメがここまで世界を席巻している理由

2022.06.23

最近あらゆるメディアにおいてニュースを聞かない日はないほど、勢いのある韓国エンタメ。幅広い世代に受け入れられ、人気が沸騰している理由を探ってみよう。

アジア圏から世界へ。韓国エンタメの勢いが止まらない!

 日本において、韓国エンタメの人気は以前から根強いものだった。2002年放送で、爆発的ブームをつくったドラマ『冬のソナタ』や、音楽シーンにおいては2005年に日本デビューした東方神起、それに続くBIGBANGなどのアーティストがその代表例だ。

 しかし近年、韓国エンタメは、いまや韓国国内や日本に留まらず、世界的なムーブメントとなっているのが事実だ。2020年初めから放映された『愛の不時着』やこの夏日本でもリメイクされる『梨泰院クラス』などのドラマ、今やグラミー賞にノミネートをされるほどのボーイズグループ・BTSなど、その活躍ぶりは枚挙にいとまがない。

 特にコロナ禍になってからは目を見張るほどとなっている。なぜ、これほどまでに韓国エンタメは支持されているのだろうか?韓国エンタメ事情に詳しい、韓流イベントMCで活躍中のみんしる氏にお話を伺った。

デジタルネイティブのZ世代を中心に盛り上がりを見せる、韓国音楽シーン

 まずは音楽シーンから紐解いてみよう。韓国アーティストが世界的に活躍するようになった要因は?

「コロナ禍になり、オンラインでのエンタメの楽しみ方が定着したことに加え、SNSなどのコミュニケーションが圧倒的になったことが考えられますね」とみんしる氏。

「今まで韓国のアーティストといえば、アルバムを出してテレビ番組に出たりする『カムバック』活動があり、それを繰り返すのが定番でした。しかし現在は、SNSにより、極端にいうと365日アーティストの最新情報を見れるようになりました。

 本人のインスタグラムなどもそうですし、韓国独自でいえば『VLIVE』というアプリがあり、これは全世界で何億人という人がダウンロードしています。例えばBTSが、グラミー賞授賞式の数時間後に生配信をしたり、それをファンが視聴してコメントするなど、相互コミュニケーションが可能になっているのです。これにより、遠い存在ではなく常に近い存在として感じられること、そしてお金を使わずに楽しめるコンテンツも多いため、youtubeなどと同様に、いわゆるZ世代に支持を得ているのではないでしょうか」(みんしる氏)。

 SNSには欠かせないインターネット分野においても、世界最先端だという韓国。ここまで発達したきっかけはなんだったのだろうか。

「そもそもの始まりは、1997年に起こった金融危機だと思います。韓国の通貨であるウォンが暴落し、企業の倒産が相次いだ翌98年に就任した金大中大統領が『文化大統領宣言』をしたんです。韓国エンタメをコンテンツとして世界に輸出することで、経済を回そうという国策がスタートしました。日本のエンタメが、韓国国内で解禁になったのも、実は同じタイミングです。そして、エンターテインメント界への支援は現在までも続いています。

 同時にIT改革も始まり、高速インターネットなどが取り入れられました。韓国はスマホ所有率世界一だといわれ、高齢者も普通に使いこなしていますし、公共Wi-Fiもずいぶん前から5Gです。eスポーツなどにおいても強豪国であるのは、ここに理由があると思います」(みんしる氏)。

多種多様な内容、高いクオリティ。韓流ドラマの“沼”にはまる人は、世界中に

 思えば2020年夏、撮影現場の休憩時間の話題は、100%『愛の不時着』と『梨泰院クラス』のドラマの話題。見ていない筆者はまったくついていけなかったけれど、「すごいブームなんだな…。“冬ソナ”以来の盛り上がり?」と感じたのを覚えている。

 今年になっても『二十五、二十一』などをはじめ、周囲は韓流ドラマにどハマリしている人が少なくない。

 引き続き盛り上がりを見せるドラマだが、ここまで大ブームになったのはなぜ?

「やはり、Netflixの影響が大きいでしょうね。

 そもそも、韓国には地上波3チャンネルしかなかったんです。局が少ないため、ドラマの内容が単調になりがちで、日本で見られるのはベタな純愛と、男性にも人気な時代劇くらいだったといっても過言ではありません。

 それが、2011年頃から続々とケーブルチャンネルが登場しました。視聴にはプラス料金がかかるシステムになったけれども、地上波よりも予算があるため、制作側はさまざまなジャンルにチャレンジする風潮になったんです。予算があるから、続々とスター、そして良い脚本が起用されてクオリティも高くなり、結果、地上波よりもケーブルチャンネルのドラマが盛り上がる、という流れが起きました。

 2016年に日本でもNetflixが見られるようになりましたが、やはり世界的に盛り上がるきっかけになったのは、2020年からのステイホームでしょう。その当時、アメリカの『ニューズウィーク』デジタル版で「今見るべき韓国ドラマベスト10」というような記事が頻繁にアップされ、事細かく内容が解説されていました。それを見たとき、世界に広がったんだなぁと私も感じました」(みんしる氏)。

 世界的に人気のある俳優はもちろん、アイドルグループのメンバーがドラマに出ることも多く、「韓国人の友人も『数がありすぎてわからない』というほど」(みんしる氏)、内容がバラエティに富んでいること、そして配信されるタイミングが韓国とほぼ同じ作品が増えたため、幅広い世代と地域で愛されているのではないだろうか。

世界的企業も注目! エンタメ仮想空間での新たな韓流ビジネス

 何事もスピーディに展開する韓国エンタメでは、世界に先駆けての試みも多数聞こえている。例えば、メタバース。エンタメ大手のSMエンターテインメントから昨年デビューしたガールズグループ、aespaは、「自分のもう一つの自我であるアバターと出会い、新しい世界を経験する」というコンセプトで、仮想空間においてファンと交流が可能だという。さらに、大手のYGエンターテインメントも、仮想空間をオープンさせたと話題だ。今後のエンタメの展望は?

「人気アプリ・SNOWの派生として生まれた『zepeto』という、自分のアバターが作れるアプリがあるのですが、これは現在、世界中で3億人以上が使用していて、アイドルのアバターと交流することもできます。加えて、そのアプリ内ではグッチやラルフローレンなどが出店していて、企業が若い世代を取り込もうとしているのも見受けられます」(みんしる氏)。

 日本では考えられない次元において、スピーディにビジネスを展開している韓国。これからも、考えも及ばないような戦略で、わくわくするような驚きを提供してくれるに違いない。

お話を聞いたのは…

みんしる さん
MC、ラジオパーソナリティー。日本語、韓国語、英語のトライリンガルであり、国内外の映画記者会見や舞台挨拶のMCを務める。特に韓流イベントのMCでは日本トップクラスの実力派として定評がある。著書は『「K-pop、韓流ドラマのおなじみフレーズで 身につく基本の韓国語』など。

取材・文/増本紀子(alto)

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