夫婦として新生活をスタートする際には、引っ越しや新しい家具の購入などでお金がかかります。新生活の費用を少しでも節約したい人は、国や自治体が行っている結婚助成金の制度を賢く利用しましょう。結婚助成金の受給条件や利用の注意点などを解説します。
結婚助成金はどんなもの?
テレビや雑誌などで『結婚助成金』について知ったものの、自分たちには縁のない制度だと思っていませんか?せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、結婚助成金の特徴を確認しておきましょう。
市町村が新婚夫婦に支給する補助金
結婚助成金の正式名称は、『結婚新生活支援事業費補助金』です。2016年に新婚夫婦の生活費用を補助する制度としてスタートしました。少子化対策かつ、若者が希望する年齢で結婚の選択肢を取れるように環境を整えるのが目的です。
- 住んでいる自治体が条件を満たした新婚夫婦に補助金を給付
- 自治体の補助金にかかる費用の一部を国が負担
21年4月には条件の緩和も実施されており、8月時点では538の市町村が結婚助成金を交付しています。
なお、東京都には独自の結婚支援制度『TOKYOふたり結婚応援パスポート』があるため、538の自治体には含まれていません。
参考:内閣府「令和3年度 地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)交付決定一覧」
参考:「TOKYOふたり結婚応援パスポート」の利用を開始|東京都
支給金額はコースや年齢によって違う
結婚助成金が支給されるのは、30代までの新婚夫婦です。さらに『一般コース』と『都道府県主導型』の二つがあり、年齢や支給金額が設定されています。
1世帯あたり30万円までを補助する一般コース
内閣府が提示する一般コースの受給条件は、『婚姻日における年齢が夫婦共に39歳以下』であることと『世帯所得400万円未満』であることです。
世帯所得は、世帯年収から必要経費を差し引いた手取り額を指します。なお、奨学金の返済をしている場合は、奨学金の年間返済額を世帯所得から差し引くことが可能です。世帯所得が400万以上あったとしても、返済額を引いた後の金額が400万円未満であれば対象となります。
なお、申請先の自治体が追加で条件を出している場合もあります。国と自治体が提示する条件を全て満たしたときにのみ、受給できる点に注意しましょう。補助額は『1世帯あたり30万円まで』です。
参考:内閣府「一般コース」
最大60万円!都道府県主導型市町村連携コース
『都道府県主導型市町村連携コース』は、都道府県が中心となって市区町村の取り組みを支援するものです。21年4月1日時点、12都道府県・142市町村が実施予定としています。
対象となる年齢と世帯所得、市町村の補助要件などは一般コースと基本的に同じです。
ただし、助成金の限度額が夫婦の年齢で変わります。夫婦共に29歳以下の場合は『1世帯あたり60万円』、それ以外は『30万円』です。
また、同コースは、都道府県のモデル事業として内閣府が審査中です。受給者は『自治体が開催するセミナーへの参加が義務づけ』られています。
結婚助成金に関する注意点
お得な結婚助成金にも、申請する前に理解しておきたい注意事項があります。思わぬ損失を招かないためにも、二つの注意点をチェックしておきましょう。
新居や引っ越しの費用に限定
『結婚助成金』と聞くと、結婚生活に関係する費用に使えるように感じるかもしれません。しかし結婚助成金の範囲は、新居や引っ越しにかかる費用に限定されています。
新居を購入した場合に費用の一部が補助される場合や、リフォームの料金を対象にしている自治体もあります。
結婚を機に賃貸のアパートやマンションなどへ引っ越した場合に、対象となる費用の例を確認しましょう。
- 家賃
- 仲介業者に支払う手数料
- 敷金
- 礼金
- 共益費
なお、購入・賃貸に関係なく『引っ越し業者・運送業者へ支払った費用』は、ほとんどの自治体で結婚助成金の支給対象となっています。
一方で、レンタカーを利用して引っ越しした場合のレンタカー代や引っ越しに伴う不用品処分にかかった費用、新居に必要な家具などは結婚助成金の対象外です。
支払いが済んでいるのが前提
「結婚助成金がもらえるから」と、まとまったお金がないうちに住宅の契約や引っ越し業者の予約を決めるのはやめましょう。
申請できるのは、『婚姻と引っ越しが終わってから』です。住宅の購入や賃貸の契約にかかる費用、引っ越し代は、先に自分たちで支払わなければければなりません。
また、結婚助成金を受給するためには、『自治体が定めている婚姻期間』に入籍日が含まれている必要があります。
申請する前には、住んでいる自治体の提示する婚姻期間をクリアしているかをチェックしましょう。
自治体に結婚助成金を申請する手順
自治体が定めている条件を満たすと、結婚助成金の申請が可能です。自治体に結婚助成金を申請する際に必要な書類や提出方法などを確認しましょう。
自治体によって違う!複数の証明書類を準備
結婚助成金の申請には、所得や婚姻の証明書類が必要です。必要な書類は自治体ごとに違うため、ここでは富山県上市町を例にして解説します。
必要な書類は、『全員が提出するもの』と、『状況によって必要なもの』の二つに分類されます。全員が提出する書類は、以下の五つです。
- 交付申請書・実績報告書
- 同意書兼誓約書
- 婚姻届受理証明書または戸籍謄本の写し(窓口交付に限る)
- 夫婦の住所が記載された住民票の写し(窓口交付に限る)
- 夫婦の市区町村が発行する直近の所得証明書
さらに以下のケースに当てはまる場合には、指定された書類を提出する必要があります。
ケース | 必要な書類 |
奨学金の返済中 | 貸与型奨学金の返済額が確認できる書類 |
住宅を借りている |
住宅の賃貸借契約書の写し |
住宅を購入した |
住宅の売買契約書の写しまたは工事請負契約書の写し |
引っ越しをした |
領収書の写し |
市町村によって申請に必要な書類は違うため、詳しい情報は住んでいる自治体のホームページを確認するようにしましょう。
参考:上市町での結婚新生活を応援します!(上市町結婚新生活支援補助金について)|上市町
記入した申請書と領収書を添えて提出
申請書の形式や記入方法は自治体ごとに異なるため、市町村のホームページを確認することが大切です。
申請書に必要事項を記入したら、証明書類と領収書を一緒に提出します。窓口に持参して提出するほか、郵送での提出に対応している自治体もあります。
ほとんどの市町村では申請期間を設定しているため、住んでいる自治体の情報をチェックして期限内に忘れずに提出しましょう。
構成/編集部