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戸籍へ読み仮名を記載する「戸籍法改正中間試案」の気になる中身

2022.06.21

法制審議会戸籍法部会において、現在戸籍法の改正案が審議されています。現在のところ、2022年5月17日付で中間試案が取りまとめられた状況です。

今回審議されている戸籍法改正では、氏名の「読み仮名」を新たに戸籍の記載事項とする変更が予定されています。

詳細は未だ審議中ですが、中間試案の内容を基に、現時点で見込まれる戸籍法改正の内容をまとめました。

参考:戸籍法等の改正に関する中間試案|法務省

1. 現状の戸籍には、氏名の読み仮名は記載されていない

現行の戸籍法では、戸籍の記載事項は以下のとおりとされています(戸籍法13条等)。

①本籍
②氏名
③出生の年月日
④戸籍に入った原因・年月日
⑤実父母の氏名・実父母との続柄
⑥養子であるときは、養親の氏名・養親との続柄
⑦夫婦については、夫または妻である旨
⑧他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
⑨身分に関する事項(出生・婚姻・離婚・縁組・死亡など)
など

上記のうち、「氏名」とは漢字の氏名のみを指し、読み仮名は含まれません。つまり、現行の戸籍法の下では、戸籍に氏名の読み仮名は記載されていないのです。

2. 戸籍法改正により、氏名の読み仮名が戸籍に記載される

今回審議されている戸籍法改正では、氏名の読み仮名につき、新たに戸籍の記載事項とする変更が既定路線となっています。

これまでも1975年・1981年・2017年の3度にわたって、氏名の読み仮名を戸籍の記載事項とすることが検討されましたが、相次いで見送られました。

しかし今回は、政府が閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」において、迅速に戸籍における読み仮名の法制化を図ることが明記されました。

参考:デジタル・ガバメント実行計画|政府CIOポータル

読み仮名の戸籍への記載が求められているのは、2024年に予定されているマイナンバーカードの海外利用開始に伴い、氏名をローマ字表記できるようにするためです。

デジタル・ガバメント実行計画の内容を受けて、読み仮名の戸籍事項化について急ピッチで検討が進められています。

2-1. ひらがなかカタカナかは未定

中間試案によれば、戸籍上の氏名の読み仮名をひらがな・カタカナのどちらにするかは、現状未定となっています。

なお、小書き(「ぁ」「ァ」)や長音(「-」)などの文字・記号も、読み仮名として許容することが検討されています。

2-2. 戸籍上許容される読み仮名の範囲

氏名の読み方については、現在のところ戸籍上の審査は行われていません。

しかし、パスポート(旅券)に記載されるローマ字表記の氏名については、原則として国字の音訓および慣用により表音されるところによっています。

それ以外のローマ字表記を申請することも可能ですが、その場合には個別の審査が行われます(旅券法施行規則5条2項)。

これらの点を踏まえて、氏名の読み仮名を戸籍へ記載するに当たっては、その許容性や氏名との関連性につき、一定の審査を行うことが検討されています。具体的な審査基準としては、以下の3案が提示されています。

①甲案
戸籍法には規定を設けず、権利濫用の法理・公序良俗の法理など、法の一般原則による。

→反社会的なもの、わいせつなものなど、明らかに不適切な読み仮名を個別に排除する考え方です。

②乙案
法の一般原則によるほか、国字の音訓・慣用により表音され、または漢字氏名の字義との関連性が認められる必要がある。

→甲案に加えて、漢字の氏名から全く連想できない読み仮名を排除する考え方です。

③丙案
法の一般原則によるほか、国字の音訓・慣用により表音されている、漢字氏名の字義との関連性が認められる、または法務省令で定めたものであることのいずれかを満たす必要がある。

→乙案と基本的には同じ考え方ですが、許容される読み仮名を法務省令で例示することが予定されています。

2-3. すでに戸籍に記載されている場合、読み仮名の届出が必要になる

改正戸籍法の施行後、出生などで新たに戸籍へ記載される場合、当初の届出の時点で読み仮名の記載が必要になります。

また、すでに戸籍へ記載されている方についても、改正戸籍法が施行された後、一定期間内に市区町村長へ読み仮名の届出が義務付けられる予定です。現段階では未定ですが、届出義務違反については過料の制裁を課すことも検討されています。

3. 読み仮名だけを変更することも可能になる

現行の戸籍法では、一定の要件を満たす場合に限られるものの、戸籍上の(漢字)氏名を変更することが認められています(戸籍法107条、107条の2)。

参考:知ってる?自分の氏名を変更したい時に必要な条件と手続き|@DIME

戸籍法改正により、読み仮名が戸籍の記載事項となることに伴い、読み仮名だけの変更も認められるようになる予定です。

中間試案では、読み仮名の変更要件について、以下の2案が提示されています。

①甲案
(a)氏の読み仮名の変更
やむを得ない事由がある場合に限り、戸籍筆頭者およびその配偶者が、家庭裁判所の許可を得て変更できる。
(b)名の読み仮名の変更
正当な事由がある場合に限り、本人が、家庭裁判所の許可を得て変更できる。

→漢字氏名の変更と同様の条件で、読み仮名の変更を認める考え方です。なお、氏の読み仮名の変更要件を「正当な事由」に緩和する案も考えられるとされています。

②乙案
甲案に加えて、成年(18歳)に達した時から1年以内に届け出る場合、その他法務省令で定める場合に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、氏名の読み仮名を変更できる。

→本人の自己決定権を重視し、成人のタイミングで読み仮名を自分で決められる特例を設ける考え方です。なお、乙案による読み仮名の変更は1度限りとされています。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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