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使い捨てないビニール傘、傘袋がいらない傘、SDGsにも貢献できる技あり傘3選

2022.06.21

梅雨時期になると、連日使う「傘」。特にビニール傘は使っては廃棄されており、プラスチックと金属を分解するのが困難であることから、リサイクルしにくく、埋め立て処理や焼却処分されているのが現状だ。傘選びを変えることで、何か変化が生まれるかもしれない。そこで今回は、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する環境配慮の傘関連製品を4つ紹介する。

1.サエラ「+TIC」

https://www.caetlaltd.co.jp/product/plus-tic/

「+TIC プラスチック COLOR LINE」1本 2,750円(税込)

「+TIC(プラスチック)」は、従来のビニール傘とは異なり、持ち手も骨もすべてがプラスチックの傘。一言で言って、リサイクルしやすいビニール傘だ。それだけではない。すべての部材が伸縮性や耐久性に優れているため、長く使えるという利点もある。

●開発のきっかけ

株式会社サエラ 広報 吉浦氏は、開発のきっかけについて次のように述べる。

「強い雨や台風が過ぎ去った街並みに、ビニール傘が乱雑に捨てられている光景をよく目にします。大量に廃棄されている一般的なビニール傘は、金属やプラスチックの複合材をボンドや針金で頑強に組み上げているため、分解が困難で、リサイクルがむずかしいのが現状です。ほとんどが埋め立て処理をされている社会問題を解決していきたいと思い、開発しました」

●SDGsへの貢献

本製品はSDGsのどの目標達成に貢献し得るだろうか。

「『12.つくる責任つかう責任』や『13.気候変動に具体的な対策を』等に貢献することが可能です。+TICは単一素材でできているため、各パーツを分解でき、よりアップサイクルに近づいたリサイクル可能製品です。また、もし生地が破れてしまっても、別売りの『+TIC 専用張替生地(税込990円)』に張り替えることができるので、長く使用することができます。傘生地を張り替えるという行為は、傘を長く使いたいという気持ちの表れ。手直しをすることにより、接する機会や考える時間が増え、愛着が芽生え、長く大切に扱っていただけるようになると考えています」

●今後の展望

今後の本製品における展望を聞いた。

「希望ある未来は自分たちの現在の消費や行動によって成り立つものです。サエラが目指すサーキュラーエコノミー(循環型社会)は企業と消費者、共に作り上げて行く社会です。今後も、そういったコミュニケーションの一端として役立てるような傘をご提供する企業でありたいと考えています」

2.Wpc.「バンブープラスティックアンブレラ」

「バンブープラスティックアンブレラ フレンチワーズ」1本 2,200円(税込)

ワールドパーティーの傘ブランドWpc.には、持ち手がバンブー製のビニール傘「バンブープラスティックアンブレラ」がある。ビニール傘でありながらバンブーの持ち手で高級感があり、骨の一部に軽くて折れにくく、強度の高いグラスファイバーが使用されており、丈夫なつくりとなっている。使い手の意識として、従来のビニール傘と比べて、“捨てにくい”製品だといえる。

●開発のきっかけ

株式会社ワールドパーティー Wpc.広報 中村友香氏は、開発のきっかけについて次のように述べる。

「ビニール傘と聞くと、コンビニ等で安価で販売されている傘を想像される方が多いと思いますが、Wpc.のビニール傘は布傘と同等の耐久性を持った骨を使用しています。ビニール傘の『使い捨て』『壊れやすい』『長く使えない』というようなステレオタイプをなくしたい、長く大切に使えるビニール傘を作りたいと考え、質が良く、ファッションとして楽しめるおしゃれなビニール傘を作りました。

Wpc.ではバンブープラスティックアンブレラ以外のビニール傘にも『長く使えるビニール傘』という商品タグを付けており、ご購入されるお客様に対しても傘メーカーとしての想いを発信しています」

●SDGsへの貢献

本製品はSDGsのどの目標達成に貢献し得るだろうか。

「12.つくる責任、つかう責任」

「日本のビニール傘の消費量は世界一とまで言われています。日本はコンビニや駅等、どこでも傘が購入できる一方で、傘を大切にする意識が低い国です。そういった習慣を変えていきたいという想いもあり、長く使用できる傘を作り、大切に使用していただくことを目指しています」

「13.気候変動に具体的な責任を」

「環境に配慮し、傘骨へのプラスチック部品の使用を削減するよう努めています」

「派生的には『1.貧困をなくそう』『3.すべての人に健康と福祉を』にも貢献すると考えています。安価で販売されている傘は、場合によっては非常に環境の悪い労働条件下で生産に携わっている工場の生産者さんたちもいらっしゃいます。Wpc.の傘は中国をはじめとする海外工場で生産しておりますが、価値のあるものを生産し、それに見合う対価・報酬をお渡しすることを目標としておりますので、工員さんの生活にも良い影響を与えられるようになりたいと考えています」

●今後の展望

今後の本製品における展望を聞いた。

「日本に根付く『ビニール傘=使い捨て』という概念を少しずつ変革していきたいと考えています。その概念を変えていくにはどうすれば良いか、という問題ですが、当然のことながら長く使える耐久性のある傘を作ること、そして使う人が愛着を持てる傘を作ることを目標にしています。

私たちは『Wpc.の傘を使うことで憂鬱な雨の日が少しでも楽しくなってほしい』という想いを持って傘作りに取り組んでおり、服やバッグといった雑貨のように、傘もファッションアイテムのひとつとして楽しんでもらいたいと思っています。本商品についても生地にはカラービニールを使用し、最近のトレンドで人気のバンブー持ち手を合わせてファッション的なデザイン性を持たせています。このように商品の特徴やスペックに合わせてファッション系、SNSで映える系、機能で魅せる系など、様々なカテゴリに向けての発信の仕方を考え、傘メーカーのトップランナーとして、愛着を持って大切に使いたいと思える商品作りをすることが使命だと考えています」

3.Waterfront「Sa傘」

https://waterfront-umbrella.com/products/sa%e5%82%98

「Sa傘」1本 2,200円(税込)

傘ブランド「Waterfront(ウォーターフロント)」を運営するシューズセレクションが手がける「Sa傘(さかさ)」は、一風変わった傘だ。

その名の通り、「逆さ(さかさ)」に閉じられるのが特徴。傘を閉じたときに濡れた面が内側になり水滴を閉じ込める。その独特な構造により、雨天時のストレスが軽減されるだけでなく、デパートやスーパーマーケット等の店舗入り口にあるビニール傘袋を使用しなくて済む場合も出てくる。

●開発のきっかけ

株式会社シューズセレクションの、傘ソムリエ 土屋氏は、開発のきっかけについて次のように述べる。

「通常の傘ですと、車に乗り降りするときに傘をしまう際、車内や荷物がびしょ濡れになる経験から開発いたしました。衣類や手、車内を濡らす心配がなくなります」

●SDGsへの貢献

本製品はSDGsのどの目標達成に貢献し得るだろうか。

「内側に水滴を閉じ込めるので、使い捨ての傘袋が不要です。長傘なので、折りたたみ傘のように風を気にすることなくご使用いただけます。自立することで、傘立てが不要です。これら3つの観点からプラスチックを削減し、『14.海の豊かさを守ろう』の達成に紐づくと考えています」

●今後の展望

今後の本製品における展望を聞いた。

「循環型のエコ素材を使用した傘だけにとどまらず、使い続けたくなるデザイン性や機能、使い続けられる耐久性の融合を目指し、常に世の中にない、新たな価値を創造し続けたいと考えています。これはSDGsの目標『11.つくる責任つかう責任』のつくる責任にあたると考えます。また、つかう責任においては傘のケア方法の発信や、傘のケア用品さえも自身で開発していき、世の中に新たに傘を大事に使っていく文化を拡げていきたいと考えています」

4.齊藤明希氏×モンドデザイン「PLASTICITY」

https://plasticity.co.jp/

「トートバッグ ラージ」14,300円(税込)

「PLASTICITY(プラスティシティ)」は、ビニール傘のアップサイクルから生まれたブランドだ。クリエイター齊藤明希氏により創設され、齊藤氏とモンドデザインが共同で製造・販売している。

日本で捨てられたビニール傘をそのままの状態で再利用してバッグ類を生産。「10年後になくなるべきブランド」というコンセプトを掲げている。

バッグは、傘の持つ防水性やメンテナンスのしやすさなどの素材の特徴を最大限保つため、粉砕などをせず、そのままの状態で何層にも重ねてプレスをする独自の加工方法を開発。他の素材にはない独特な表情を持つ製品がさまざまな種類に展開されている。例えば、トートバッグやショルダーバッグ、ウエストバッグなどのほか、ウォレットやハットまである。

●開発のきっかけ

モンドデザインの堀池洋平氏は、開発のきっかけについて次のように述べる。

「当社は、2007年よりSEALというタイヤチューブを再利用したバッグ類を展開していますが、ビニール傘が再利用しにくいという問題から、何かできないかと考えていたときに、ある展示会でクリエイター齊藤氏が手作業でビニール傘を圧着して作成した作品を見たことがきっかけとなり、双方が協力しながら本格的に製造方法の開発を行いました」

●SDGsへの貢献

本製品はSDGsのどの目標達成に貢献し得るだろうか。

「『12.つくる責任 つかう責任』に紐づきます。廃棄されるはずのビニール傘を新たな形で生まれ変わらせることにより、傘の廃棄量を減らします。またこのような製品を知り、使っていただくことにより、廃棄問題への興味を持っていただき、ユーザーの方の行動の変化に影響をもたらすような製品になることを目標としています」

●今後の展望

今後のブランドの展望を聞いた。

「他企業・団体やブランドとの協業を積極的に行っていきます。例えば、現在、商業施設やテーマパークのイベント等で使われたビニール傘を使い、オリジナルの製品を作成する取り組みを進めています。また、ホテル等で働くスタッフ向けの製品を作成することも行っています。今後も、そのような取り組みを地道に行っていき、環境問題に関心を持つきっかけとなるブランドになることを目指しています」

ビニール傘の使い捨て問題は、この梅雨時期にこそ問題意識が高まるものだ。そしてこれらの傘関連製品を知ると、さらに日頃のビニール傘を捨てにくくなり、大事に使おうという意識も芽生えるのは不思議なものだ。これらの製品を利用することで、周囲への啓蒙にもつながるのではないだろうか。

取材・文/石原亜香利

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