毎日の入浴を、シャワーだけで済ませてしまう人が増えている。20代では毎日湯船に浸かる人はわずか25%という報告もあるそうな。50歳オーバーの編集・テラダは『8時だよ全員集合!』を見て育った世代。エンディングで歌われていた『いい湯だな』の歌詞、ビバノンノン♪の曲間にカトちゃんが入れる「風呂入れよ」という合いの手を守るように、今も湯船に肩までつかるのが当たり前だったりする。――が、遅い時間に風呂を沸かすのが面倒だったり、サッと済ませたい時もあったりするのも事実。これからの暑い季節になると、尚更だ。
そんな中、LIXILが〝湯に包まれるような新感覚のシャワー〟を発売するので、体験してほしいという依頼があった。そこで、どんなものかと、体験しに行ってみた。
従来のシャワー浴よりも身体全体を温められるという、その商品は『ボディハグシャワー』。10個のノズルから吐水することで、文字どおり、〝湯にハグされる〟感覚の浴び心地を得られるという。鏡の両サイドにバー状のボディシャワーアームを備えた設計で、従来式のハンドシャワーがセットになっており、シャワーアームを好みの位置に上げ下げして使用するという。
早速、使ってみた。一般的なシャワーと異なり、両サイドからお湯を浴びる感覚が新鮮! というのが第一印象だ。スーパー銭湯などでも、全身でシャワーを浴びることができる設備があるが、他の客も使うことを考えると長時間、使用するのは憚れるものだから、サッと済ませることが多い。この『ボディハグシャワー』が自宅にあれば、心ゆくまで楽しめるというわけだ。
シャワーアームに搭載された10個のノズルはそれぞれ水の量や出方に変化を持たせているのも特徴だ。上部からはほどよい刺激の吐水を首や肩まわりに当てられ、下部からはやや強めの吐水が足まで届く。中央のノズルは固定されており、霧状の吐水で身体をやさしく包み込む。
「ああ、お湯にハグされるってこういうことか!」と、商品名どおりの実力を実感しながら、しばし浴びていると、湯船につかった時のように身体がポカポカに。もう十分浴びた! とバスルームを出て時計を見ると、約5分しかシャワーを浴びていないことに驚いた。身体を洗わずに浴びただけではあるが、湯船につかったあとのようなのだ。実際、下のグラフで見て取れるように、従来のハンドシャワーによる入浴と比べて、入浴後の温かさが持続し、深部体温が下がりにくいという結果も。
リラックス効果や時短だけではなく、もうひとつ美点がある。DIMEの読者であれば、両親が高齢な人も多いだろう。よくお風呂の事故で聞くヒートショック(急激な温度変化で身体がダメージを受けること)以外に、足腰が弱った高齢者が浴槽をまたぐ際、バランスを崩して転倒してしまう事故も多いのだ。
しかし、この『ボディハグシャワー』を設置すれば、シャワーだけでは身体が温まらない」と言いがちなシニア世代もきっと納得するうえ、転倒の心配もなくなる。また借りに介護が必要になった時も、シャワーヘッドを持つ必要がなく両手が使えるので安心だ。リラックス効果だけでなく、将来のために『ボディハグシャワー』の設置を考えてもいいだろう。
空間を圧迫しないスマートな設計で、本体を壁に取り付け、既存の水栓につなぐだけの簡易な工事で利用可能。既存浴室への取り付け時間の目安は約3時間。シャワーアームを備えたミラー部の設置サイズは、W330×D105×H820mm。価格は施工費込みで21万8900円~。購入検討前の現地調査は無料。水栓もセットになったプレミアムブラック(34万5950円)も用意。
問い合わせ/LIXIL
取材・文/寺田剛治